40代以降は下半身の筋力が重要!将来の歩行困難リスクを減らすエクササイズ

コラム・心地よいわたし

女性は、閉経を迎える50歳前後から筋肉量が急激に減るといわれています。中でも、下半身の筋肉は衰えやすく、何もせずにそのまま年齢を重ねていくと、将来的に歩くのが困難になったり、骨折や転倒がきっかけで寝たきりになったりすることも。そうしたリスクを軽減するには、40代のうちから筋肉を鍛えておくことが大切です。

マストで鍛えておきたいといわれる、太ももを形成する大腿四頭筋(だいたいしとうきん)と、上半身と下半身をつなぐ腸腰筋(ちょうようきん)のエクササイズをご紹介した前回に続き、今回も「40代からの体づくり」と題して、40代以降に鍛えるべき部位のトレーニングを紹介。

第2回は、下半身にフォーカスして、鍛えておいて損はない部位「ハムストリングス」「内もも」「おしり」のエクササイズを、更年期トータルケアインストラクターの永田京子さんに教えていただきます。

<40代からの体づくり>
太ももと腸腰筋が健康的な生活のカギ!40代から心掛けたい体づくり

ハムストリングスは、歩く・走るといった基本動作に不可欠

前回、エクササイズをご紹介した大腿四頭筋(太ももの筋肉)と腸腰筋は、衰えやすい下半身の筋肉の中でもマストで鍛えていただきたい部位でした。なぜなら、スムーズな歩行には、この2つの筋肉が必要不可欠だからです。

そして、今回紹介する「ハムストリングス」「内転筋(内ももの筋肉)」、「大殿筋(だいでんきん:尻の大きい筋肉)」も、歩くのはもちろん、走ったり、しゃがんだりと、日常の動作に欠かせない部位。今から鍛えておいて損はありませんよ。

ではまず、ハムストリングスのエクササイズから見ていきましょう。

ハムストリングとは、太ももの内側から裏側にかけての筋肉の集まり(大腿二頭筋、半腱様筋、半膜様筋)をいいます。

■ハムストリングスを構成する筋肉

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ハムストリングスは、下半身を曲げたり、伸ばしたりするときに使われる筋肉で、大腿四頭筋と同様に、歩く、走るといった日常的な動きに欠かせない部位。大きな筋肉なので、代謝アップにもつながります

<ハムストリングスを鍛えるエクササイズ>

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1. 仰向けになり、脚を肩幅に開いた状態でひざを立てる。

2. 肩からひざが一直線になるようにお尻を浮かせて10秒キープし、下ろす。

3. 「2」の動きを10回行う。

慣れてきたら、片方の脚をひざの上にのせ、片脚で体を支えるようにしてみましょう。ハムストリングスへの負荷がより大きくなり、効率的に鍛えることができます。

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内もものエクササイズは、尿もれの予防・改善に◎

内転筋とは、ももの内側にあり、大腿骨(だいたいこつ)と骨盤をつないでいる筋肉のこと。おもに、脚を閉じるときに働きます。

更年期世代の女性にとって内転筋はとても重要。女性ホルモンの減少によって筋肉量が低下すると、骨盤周りの筋力が弱くなり、尿もれに悩む人も少なくありません。そこで、内転筋を鍛えることによって、尿もれの予防、改善につながります。また、O脚の改善や、骨盤のゆがみを整えるといった効果も期待できます

内転筋がしっかり働くと、股関節や骨盤周りの安定性が向上するので体のバランスがとりやすく、美しい姿勢が保てるようになります。一方で、内転筋は衰えやすい部位でもあるため、意識して鍛えるようにしましょう。

<内転筋を鍛えるエクササイズ>

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1. 横向きになって下の脚を伸ばし、上の脚は曲げて下の脚の前に立てる。

2. 下の脚を天井に向けて持ち上げる。

3. ゆっくりと下の脚を下ろす。

4. 「2」~「3」を10回繰り返し、反対側の脚も同様に行う。

脚を上げる高さは5〜10cm程度でOK。ここでは、上半身は起こして片ひじで支えるようにしていますが、それがつらい場合は、上半身を起こさず横になったままでも大丈夫です。

スタイルアップも目指せるお尻のエクササイズ

お尻は、大殿筋(だいでんきん)・中殿筋(ちゅうでんきん)・小殿筋(しょうでんきん)という3つの筋肉から形成されていて、中でも一番大きいのが大殿筋です。大殿筋は、"動くためのエンジン"といっても過言ではないほど、歩く、走る、階段を上る、しゃがむ、立つなど、すべての動きに必要となります。

■大殿筋・中殿筋・小殿筋の位置

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大殿筋を鍛えることで、それらの動きがスムーズにできるようになるだけでなく、代謝アップや疲れにくい体を作ること、持久力や瞬発力の向上にもつながります

今回は、大殿筋を中心にお尻全体を鍛えられるエクササイズをご紹介。お尻をキュッと上げる効果もあるので、スタイルアップが目指せますよ!

<大殿筋を鍛えるエクササイズ>

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1. 肩の下に手首が、股関節の下にひざがつくように四つんばいになる。

2. その状態のまま、片方のひざを横に開く。

3. ゆっくりと元の状態に戻す。

4. 「2」~「3」の動きを左右交互に5回ずつ行う。

体は動かさず、脚だけを動かすのがポイント。できるだけひざと床が平行になるように上げると、しっかり鍛えることができます。

普段の生活を快適に送るために、下半身の筋肉を保っておくことはとても重要です。1日1エクササイズでも構いませんので、前回ご紹介した大腿四頭筋や腸腰筋と合わせて、少しずつでも継続して取り組むようにしてください。


お話を伺ったのは...

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永田京子(ながた・きょうこ)さん

兵庫県出身、愛知県小牧市在住。2児の母。東映アカデミーに所属し、役者として舞台やドラマなどで活躍した後、ピラティスや整体、経絡、アロマ、リフレクソロジーなどを学び、ピラティス指導者、産後ケアのインストラクターとしての活動を開始。受講者の声と、更年期障害が悪化して苦しむ母を見ていた経験から、女性ホルモン・更年期の正しい情報と対策を伝えるNPO法人「ちぇぶら」を創設した。「ちぇぶら」は更年期を英語でいう「the change of life」の意。著書に「女40代の体にミラクルが起こる! ちぇぶら体操」(三笠書房)があるほか、先日「はじめまして更年期」(青春出版社)が発売したばかり。

NPO法人ちぇぶらホームページ
YouTube「ちぇぶらチャンネル」

本「はじめまして更年期♡」-min.jpg

はじめまして更年期」(青春出版社)
著:永田京子 定価:1,540円




※掲載している情報は、記事公開時点のものです。

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