再生医療発のスキンケア ~注目が集まる幹細胞コスメの魅力と選び方~

再生医療の発展とともに、美容の世界でも"幹細胞"の持つ可能性への注目が集まっています。なかでも、"幹細胞"に関わる技術を参考にした「幹細胞コスメ」は、年齢とともに増える肌悩みへの新たなアプローチとして、多くの女性たちから支持を集めています。特に更年期世代は、ホルモンバランスの変化によって、心や体だけでなく肌の調子も不安定になりがち。そんなゆらぎ肌に寄り添うケアとして、肌本来の力を引き出す幹細胞コスメが注目されているのです。
幹細胞コスメとは?
まず知っておきたいのは、「幹細胞コスメ」に"幹細胞そのもの"が入っているわけではないということ。一般的に「幹細胞コスメ」と呼ばれるのは、幹細胞を培養する過程で使用する培養液をろ過などで処理した成分を配合した化粧品のことを指します。幹細胞とは、もともと体内でさまざまな細胞に分化する特殊な細胞です。この性質から組織の再生や修復などが期待され再生医療などで活用されています。幹細胞を培養する過程で、幹細胞から分泌されたさまざまな成分を含む成分が化粧品成分として応用されるようになっているのです。
"由来"と"働き" から読み解く、幹細胞コスメの選び方
多くのメーカーから幹細胞コスメが発売されていますが、見た目や使い心地が似ていても、中身の成分に違いがあることも。一口に幹細胞コスメといっても、使われている幹細胞の"由来"によって種類があり、それぞれ肌へのアプローチや期待できる効果が異なるのです。さらに近年では、肌の幹細胞そのものに働きかけるような研究成果を活かしたコスメも登場しています。だからこそ、いま求められているのは、正しい知識と自分に合った商品を見極める力。ここでは、幹細胞コスメの代表的な種類と働きを解説し、自分に合った商品を選ぶヒントをご紹介します。
【1】肌との相性に期待!「ヒト幹細胞由来」
ヒトの皮膚や脂肪から採取した幹細胞を培養した際に得られる培養液から得られる成分のこと。皮膚のさまざまな細胞に働きかけて成長や修復を促す成長因子(グロースファクター)や細胞から分泌されるエクソソーム、サイトカインなどの成分が豊富に含まれています。

- 主な働き
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- 成長因子(グロースファクター):肌リズムにアプローチし、ハリや弾力のサポート
- エクソソーム:ダメージ修復や肌全体の若々しさを保つサポート
- サイトカイン:健やかな肌の維持や回復をサポート
- こんな人にオススメ
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- 年齢肌のサイン(ハリの低下・シワ・くすみなど)が気になる
- 肌の土台を整えたい
【2】研究を応用!「幹細胞活性型」
近年は「肌にある幹細胞そのもの」を活性化することを目的にしたコスメも登場しています。これらは、ヒト幹細胞由来の成分のように幹細胞から分泌された成分を利用するのではなく、肌にある「表皮幹細胞」や「真皮幹細胞」に働きかけて、「自分自身の幹細胞」を活性化することを期待して開発されたコスメ。肌本来のコンディションを整え、健やかな状態へと導きます。
- 主な働き
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- 健やかな幹細胞の状態を維持させる
- 加齢や紫外線で衰えた幹細胞の働きを助ける
- 肌力の底上げ
- こんな人にオススメ
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- ゆらぎやすい肌を立て直したい
- 肌トラブルを繰り返したくない
- 加齢による肌の現象に向きあいたい
【3】肌を守る予防美容!「植物幹細胞由来」
リンゴやアルガン、エーデルワイスなどさまざまな植物の幹細胞から抽出されたエキスを配合したコスメ。ポリフェノールなど各植物に由来する成分を含み、抗酸化力や外的ストレスから肌を守る作用などが期待できます。プレ更年期世代の"予防ケア"として取り入れるのもオススメ。

- 主な働き
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- 紫外線や乾燥など外的ストレスから肌を守る
- 肌バリア機能を整え、ゆらぎにくい肌へ導く
- 抗酸化作用で健やかな肌をキープ
- こんな人にオススメ
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- 季節の変わり目に肌がゆらぎやすい
- エイジングケアを始めたい
- ナチュラル志向のスキンケアが好き
幹細胞コスメの気になるQ&A
幹細胞コスメに興味はあるけれど、「何がすごいの?」「安全性は?」など、気になることもたくさん。初めての人でも安心して使えるように、幹細胞コスメに関するよくある質問をQ&A形式でまとめました。
話題だけに流されない、賢いスキンケア選びを
幹細胞コスメは、年齢とともに変化する肌悩みに寄り添う、新しいスキンケアの選択肢。ヒト由来・植物由来の違いや、アプローチの違いがある中で、大切なのは「自分の肌にとって何が必要か」を見極めること。成分や特徴を正しく知り、自分の年齢や肌悩みに合った1本を選ぶことが、美しさへの近道に。肌と向き合うことは、自分自身と向き合うこと。幹細胞を応用した美容医療の考え方をヒントに、未来の肌に向き合う第一歩を踏み出してみませんか?
writer
この記事を書いた人
本田じゅり(ほんだ じゅり)
日本化粧品検定協会認定コスメコンシェルジュ、コスメライター
日本化粧品検定協会認定コスメコンシェルジュ、コスメライター。美容業界歴20年以上。『好きなことをして自由に生きる』をモットーに、現在はフリーランスとして化粧品の商品開発、コスメライター、スキンケア講師など幅広く活動中。
監修コメント
幹細胞コスメは、エイジングケアのための化粧品として、近年、認知度が向上しています。
WEB調査アンケートでは、41.8%もの人が「肌にすごくよさそう」と回答するなど、その期待が高まっています。(2024年10月2日~10月8日スキンケアに関してのWEB調査、20代~70代の女性245人)さらに、「ヒト幹細胞培養液を配合した化粧品を使ったことがありますか」という質問に対しては、67.5%が「使ったことがあり、よかった」と回答しました(2024年12月7日~21日、20代以上の女性114名)。
では、今までのエイジングケアと幹細胞コスメは何が違うのでしょうか?
一般的に、肌のエイジングケアの化粧品や医薬部外品は、できてしまったシミやしわを目立たなくするアプローチのものが主流でした。イメージでいうと紙があれば、それに折り線ができたら、紙を引っ張ったりして目立たなくするイメージです。基本的に、紙もそうですが、一度折り目ができたものは、どんなに引っ張ったり伸ばしても折り目は残ります。一方、幹細胞コスメは、基本的に再生を促し一から肌を作り直すため、紙が折れたので、新しい紙に作り直すイメージです。そうすると、つくりたてのきれいな紙ができるわけです。
いかがですか?まだ、幹細胞コスメを試したことがない方は、ぜひ、挑戦してみてください。特に、秋は肌が落ち着いている季節。新しい攻めの化粧品はこの時期に挑戦してみましょう。
SUPERVISER
この記事を監修した人

小西さやか(こにし さやか)
8年間にわたり化粧品の研究(処方開発)や商品開発に従事。一般社団法人日本化粧品検定協会を設立し、受験者累計158万人を超える美容業界最大級の資格へと成長させ、文部科学省後援の唯一の美容資格とする。現在は各種協会顧問や学会幹事を務め、科学的視点から美容・コスメを評価するスペシャリストとしてテレビや雑誌で活躍。著書累計75万部突破。現在、東京農業大学食香粧化学科客員准教授、北海道文教大学客員教授、日本薬科大学招へい准教授、日本流行色協会トレンドメイクカラー選定委員を務める。
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