齋藤薫の老けない人。老けない話。

見える老化と、見えない老化。
見えないなら、見に行くのが本当のエイジングケア!

老化には"見える老化"と"見えない老化"がある。例えば、肌のシワやたるみは、目に見えるエイジングの象徴と言ってもよく、初めて深いシワを見つけた時、自分にもやっぱり衰えはやってくるんだと、ショックでありながらも気持ちを引き締めたはず。本気のアンチエイジングに取り掛からなければ、と、そういう覚悟を決めたはずなのだ。

だから、"見える老化"はまだいい。すぐに対策を打つことができるから。問題は"見えない老化"。見えない衰えを、たぶん人は信じない。生まれて初めて、"元に戻らない深いシワ"を見つけた時も、なぜ自分にも?と自ら衰えはすぐには受け入れられなかったりするもの。年齢が進んでいるのにそう思えない。それが人の心情なのだと思う。

だから、"見えない老化"を受け入れるはずもなく、逆にそれが、結果として見た目の年齢差につながっていくというふうに考えることはできないだろうか。つまり気づかずに進んでいる老化にこそ、大きな個人差がでてしまうということ。だから、今すぐ"見えない老化"と取り組むべきなのだと思う。

そして、"見えない老化"において最も深刻なのは、おそらく「骨の老化」。私自身、50代の頃に転倒で骨折、なかなか骨がつかないので骨密度を調べたら、既に骨粗しょう症になっていた。もちろん全く自覚がなかった。その数値を見ても信じられなかったほど。

それ以降ずっと薬を飲み続けていて、幸い少しずつ骨密度は増えてきているけれど、もしあの時、骨密度を測っていなかったら、骨はどんどんもろくなっていただろう。

しかもその後にちょっと怖い情報を得た。 "顔のたるみ"の原因の1つは、この骨密度低下にあるということ。確かにそう。顔の骨だって、年齢とともに萎縮する。しかも脚や大腿骨の骨は、運動などで負荷をかけることにより、骨密度を高めていくことができるけれど、顔の骨に負荷をかけるのは難しい。まさしく顔の皮膚のずっと奥で、"見えない老化"がなす術なく進んでいると考えるべきなのだ。

知らず知らず進んでいく顔の骨の老化で、たるみではなく、内側からの構造的なたるみが進んでいるとしたら......。

大切なのは、見えなくても、気づくこと。"見えない老化"の可能性を知ること。具体的には"骨密度を測ること"になるだろうが、何よりもまず、自分に限ってそうはならないと信じ込まないこと。自分にもその可能性があるとあえて考えてみることなのだ。

さらに問題の多い"見えない老化"は血管。人を衰えさせる根本原因は、血管の老化にあり、とりわけゴースト毛細血管=加齢による毛細血管の劣化、および減少にあると言われる。

人間の血管の99%は毛細血管。それが加齢とともにどんどん減って、役割を果たさなくなるわけで、だから今やスキンケアの世界でも、血管強化が大きなテーマとなっているのだ。

けれども、やっぱり見えないから、私たちはあくまでもそういう可能性を疑って想定して知ることしか方法は無い。まずは自分の血管年齢を検査などで調べておくこと。

つまり見えないならば、見に行くこと、自分で確かめて知ることなのだ。"見えない老化"といち早く向かい合う人がいつまでも若々しい。そう言っても良いほどに。

SUPERVISER

この記事を監修した人

齋藤 薫
profile

齋藤 薫(さいとう かおる)

美容ジャーナリスト/エッセイスト

女性誌編集者を経て独立。女性誌において多数の連載エッセイを持つ他、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍。『Yahoo!ニュース「個人」』でコラムを執策中。『大人の女よ!清潔感を纏いなさい』(集英社文庫)、『美人だけが知っている100の秘密』(角川春樹事務所)、『"一生美人"力セカンドステージ63の気づき』(朝日新聞出版)など著書多数。

※掲載している情報は、記事公開時点のものです。
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