30代後半、40代の妊娠...高齢出産のリスク・デメリットを準備して対策

結婚しても仕事をバリバリ続ける女性が増えている今、特に都市部で女性の初産年齢が高齢化しているといわれています。妊娠を考えているILACY(アイラシイ)世代は、35歳以上の出産が増加していることに勇気をもらう一方、高齢出産のリスクに不安を感じることがあるのではないでしょうか。
仕事は続けたいけど子供も欲しい...という女性にとって気になるのが、「出産は何歳までできるのか」ということ。若いうちに出産したほうがいいのはわかっているけど、キャリアも捨てたくない。「30代後半から40代での出産にはリスクしかないの?」など、高齢出産のあれこれについて、医療系ライターのオリビアさんが解説してくれました。



【PROFILE】

オリビア.jpg



オリビアさん(43歳)

自身も妊活を経験して授かった1児を育てながら、今も現役で働く医療系ライター。さまざまな学会にも足を運び、ドクターと仲良くなるのが得意。産後に始めたヨガにハマり、最近のリフレッシュ方法はもっぱらヨガスタジオに通うこと。

何歳から高齢出産なの?

心地良い風が吹く初夏の朝。保育園に向かうオリビアさんが、我が子を抱いてエントランスを出ると、後ろから声をかけられました。同じマンションに住む、同い年のキャリアウーマン・よしえさんです。同じ時期にマンションの役員になったことがきっかけで仲良くなりましたが、最近はお互いに忙しく、ほとんど会っていませんでした。

よしえさん 「オリビアさん、お久しぶり!わあ、お子さん、大きくなったね~。かわいい!」

オリビアさん 「本当に久しぶり。同じマンションでも、なかなか会えないわね」

よしえさん 「最近は新しいプロジェクトに参加していたから、朝も早かったし残業続きで...」

オリビアさん 「たいへんだったのね。だいぶ落ち着いた?」

よしえさん 「うん。実は今、妊娠3ヵ月なんだ。ちょっと働き方を変えなきゃと思って、余裕のあるプロジェクトに回してもらったの」

オリビアさん 「きゃー、おめでとう!良かったわね!」

よしえさん 「そうなんだけど...。私、もう43歳じゃない?会社では高齢出産なんだから気を付けるようにって言われて、なんだか不安になっちゃった。そもそも、何に気を付けていいかわからないし...」

オリビアさん 「うーん、それは不安になるわね。一般的には、1人目なら35歳以上、2人目以降なら40歳以上の出産が高齢出産なの。でも、初婚の年齢が上がっている今、35歳以上の出産は決して珍しくないわ。ただ、35歳以上から医学的なリスクが上がるのは確かだから、知識をつけて準備をしておく必要はあるわね。それに、高齢出産は一概にデメリットばかりじゃないのよ。高齢出産の正しい知識、教えてあげるわ!」

高齢出産はなぜリスクが高い?

オリビア.jpg

高齢出産は、なぜリスクが高いといわれるのでしょう。

それは、35歳を過ぎると生殖機能の低下やホルモンが減少し、妊娠・出産にさまざまなトラブルが起きやすくなるからです。よく知られているのが、卵子や精子の老化による染色体の異常。例えば21番目の染色体が1本多いことによって起きるダウン症の子供が生まれる確率は、妊婦さんの年齢が上がるほど高まることがわかっているんです。

コラム_30代後半から40代の妊娠_01.jpg

また、染色体異常は、流産の原因にもなります。

初期の流産は胎児側に原因があることがほとんどで、妊婦さんが責任を感じる必要はまったくまったくないのですが、流産の確率は妊婦が高齢になるほど上がり、残念ながら有効な予防策はありません

それから、妊娠中や分娩中の産科異常の確率も上がります。むくみや蛋白尿、高血圧といった症状が現れる妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病など、妊婦特有の病気にもかかりやすくなりますね。特に妊娠高血圧症候群は、胎児の発育不全や機能不全につながる可能性があるので、注意が必要です。

高齢出産に際して、準備しておくべきこととは?

オリビア.jpg

高齢出産のリスクを少しでも軽減するためには、病院選び、費用の確保、産後の環境づくりという3つの事前準備が肝心です。





病院選び

高齢出産の病院選びは、緊急時の対応がポイント。病院の規模ではなく、産科が24時間体制である(当直医がいる)か、NICU(新生児集中治療室)があるかなど、母体や胎児が急変したときに対応できる医療設備を備えているか、といった点をチェックするといいですね。

費用の確保

出産一時金などが出る自治体もありますが、高齢出産で想定外の入院などがあった場合、一時金だけでは賄えないかもしれません。できるだけ余裕を持たせた金額を用意しておきましょう。

産後の環境づくり

つい目の前のことに気を取られて忘れがちですが、高齢出産は体へのダメージが大きく、回復に時間がかかります。両親や信頼できる友人・知人、ベビーシッターなど、産後の生活をサポートしてくれる人がいると助かりますよ。もちろん、家事・育児の分担について、パートナーと話し合っておくことも忘れずに!

<こちらもCHECK>
実はできていない人多数!高齢出産を乗り切る体づくりは「妊娠前から」

高齢出産はデメリットだけ?

オリビア.jpg

高齢出産というと、デメリットばかりがクローズアップされますが、決して悪いことばかりではないのです。

高齢出産の場合、「母親になりたい」「子供を生みたい」という強い思いで妊娠を待ち望み、不安や恐れよりも「やっと母親になれる」という喜びを抱いて出産に臨む人が多いようです。精神的にも落ち着いていて、産後も穏やかに子供と向き合える傾向があります。

若いころからキャリアを積んできて経済的に安定していれば、ベビーシッターや託児所といった第三者の助けも利用しやすいですよね。心身ともに余裕を持って子育てできるのが、高齢出産のいいところです。

<こちらもCHECK>
40歳以降の育児がつらい...そんなときのマインドセット

コラム_30代後半から40代の妊娠_02.jpg

「安全なお産」は存在しない!心と体の準備を整えて

オリビア.jpg

高齢出産になると染色体異常などが発生する確率が高まるのは確かですが、年齢が若ければ確実に安全に生めるわけではありません。すべての出産には等しくリスクがあり、リスクのないお産というものは存在しないのです。

高齢出産をやみくもに恐れるのではなく、正しい知識を得る努力をしましょう。出産時のトラブルや、産後の回復の遅れを念頭に置いて、心と体の準備を整えたいですね。

※掲載している情報は、記事公開時点のものです。
ヘルスケア
この記事をシェアする

この記事は、働く女性の医療メディア
ILACY(アイラシイ)の提供です。

“おすすめ記事recommended

CATEGORYカテゴリー