閉経の前兆かも?生理が終わる・あがる更年期世代の兆候やサインとは

「更年期を迎えて月経不順が起きてきたら、一度婦人科で相談してほしい」というのが多くの産婦人科医の意見のようです。しかし、「今月はたまたまこなかっただけ」「年齢的に閉経にはまだ早い」などと思って、やり過ごしてしまう女性は少なくありません。
そこで、更年期症状との関連性も深い閉経について、そのメカニズムと、閉経の前兆として気を付けたいサインについて解説します。

[2021年4月16日更新]

閉経とはどういうもの?

女性にとって、生理は初潮を迎えて以降、毎月当たり前のようにやってくるもの。ところが、年齢を重ねると卵巣の機能が徐々に消失して生理が不規則になり、やがて閉経を迎えます。

日本産科婦人科学会雑誌で発表された調査「本邦女性の閉経年齢」では、閉経を35歳以上の女性における月経の自然停止と定義し、1年以上無月経の状態が続いた場合に閉経と判定するとしています。

また、同調査によれば、45~55歳のあいだに閉経する人が多く、閉経年齢の全体平均は49.47歳でした。

■記憶による閉経年齢

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公益社団法人日本産科婦人科学会「本邦女性の閉経年齢(1995)」を参考に作成

閉経と更年期、女性ホルモンの関係って?

女性の卵巣機能は40歳を過ぎた頃から衰えはじめ、排卵期に卵子を排出する卵胞も次第に減り、生理のサイクルが乱れて閉経に向かっていきます。

そして、更年期とは閉経の前後約10年にあたる期間のことをいい、閉経の平均年齢から考えると、40代半ばから50代半ばまで。卵巣の機能低下によって女性ホルモンのエストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌が急激に減少する時期で、ホルモンバランスが崩れて心身にさまざまな症状が現れるようになります。中には、30代後半から40代半ばの、まだ若いうちから更年期症状に似た症状を経験する人もいます

更年期前後の女性ホルモンの分泌量は、次のように変化していきます。

■女性ホルモンの分泌量の変化

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プレ更年期:30代後半~40代半ば

年齢的にはまだ更年期ではないものの、20〜30代といわれる女性ホルモンの分泌のピークは超えており、心身のゆらぎが出始めます。この時期を、プレ更年期とも呼びます。


更年期:40代半ばから50代半ば

卵巣の衰えとともに、卵巣から分泌される女性ホルモンの分泌が減り、ホルモンバランスが乱れて更年期症状が現れるようになります。症状の種類は多岐にわたり、のぼせや発汗(ホットフラッシュ)、肩こり、めまいなど、身体的なものに加え、イライラのような精神的な症状が出る場合も。

さらに下記のように、月経にも変化が現れるでしょう。

・月経周期が短くなる
・月経量が極端に多かったり少なかったりする
・月経日数が減る

そのうち月経周期が長くなり、やがてこなくなって閉経に至ります。


ポスト更年期:50代半ば以降

閉経を迎えた50代半ば以降は、心身ともに落ち着きを取り戻す時期。

一方で、体が女性ホルモンに守られなくなるため、皮膚や粘膜の乾燥が進行したり、血管が弱くなって心血管系の疾患になりやすくなったり、骨密度が低下して骨粗しょう症のリスクが高まったりするため、注意が必要です。

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閉経の前兆ってあるの?

誰もがやがては迎える閉経ですが、そこに至る過程は人によってさまざまで、一概にはいえません。

多くの人が経験する閉経までのパターンをご紹介しますので、参考にしてみてください。


1 月経周期が短くなる

更年期を迎えると、それまで通常なら25〜38日周期で訪れていた生理の周期が早まります。同時に、月経量が少なくなり、生理が続く日数も短くなる傾向があります。


2 少ない量の生理が8日以上続くようになる

卵巣機能が低下してホルモンバランスが崩れると、月経の周期が短い・長いにかかわらず、少ない量の生理が8日以上続くようになることがあります。長い人では、2週間〜1ヵ月続くケースもあるようです。


3 月経周期が長くなる

続いて見られるのが、生理の周期が2ヵ月に1度、3ヵ月に1度...というように、長くなっていく状態です。

大切なのは、ここで「更年期だから」と自己判断しないこと。何らかの病気による不正出血の可能性もあるので、一度産婦人科に相談しましょう。

こういった出来事を経て、最終の月経開始から1年経っても生理がこなかったら、閉経と診断されることになります。ただ、こうした月経の変化はあくまでも一例に過ぎません。

ほかにも、下記のようなことも閉経の前兆として挙げられます。

・経血の色が茶色や黒っぽい色になる
・おりものの量が少なくなる
・基礎体温の変動時期がなくなる

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監修者・婦人科医の吉形玲美先生より

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閉経は、女性の体にとって大きな節目。生理がなくなるだけでなく、閉経後は病気のリスクも高まります。

とはいえ、これらは閉経したから起こるものではなく、女性の体は30代半ばを過ぎたあたりから、少しずつ変化が始まっています。特に、ホルモンバランスが崩れる更年期を迎えたら、ちょっとした不調も見逃さないようにすることが大切。気付いた時点できちんと対処し、解決しておけば、必要以上に恐れることはありません。

女性の中には、閉経を迎えるのに抵抗感を持つ人が少なからずいます。しかし、閉経は、長年わずらわしく思っていた生理の不快感や生理痛から解放されるということでもあります。閉経後の体に何が起きるかを把握し、閉経を知らせるサインに早めに気付いて、「第2の人生」を楽しく、すこやかに過ごしましょう。



SUPERVISERこの記事を監修した人

吉形先生

PROFILE

吉形 玲美 (よしかたれみ) 医師

医学博士/日本産科婦人科学会 産婦人科専門医
専門分野:婦人科

1997年東京女子医科大学医学部卒業
産婦人科臨床医として医療の最前線に立ち、婦人科腫瘍手術等を手掛ける傍ら、女性医療・更年期医療の様々な臨床研究にも数多く携わる。女性予防医療を広めたいという思いから、2010年より浜松町ハマサイトクリニックに院長として着任。現在は同院婦人科専門医として診療のほか、多施設で予防医療研究に従事。更年期、妊活、生理不順など、ゆらぎやすい女性の身体のホルモンマネージメントを得意とする。
2022年7月「40代から始めよう!閉経マネジメント」(講談社刊)を上梓。
2023年9月より「日本更年期と加齢のヘルスケア学会」副理事長に就任。

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※掲載している情報は、記事公開時点のものです。
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