女性は痔になりやすい?3種類の痔とその治療法

痔は、肛門や肛門周辺の病気の総称です。男性に多い病気というイメージがありますが、実は女性も痔になりやすいのだとか。

ここでは、痔になる原因やさまざまな痔の種類、その治療法について、医療・美容記事を多く手掛ける編集者/ライターのライラさんに教わりました。

【PROFILE】

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ライラさん(40歳)

医療・美容を多く手がける編集者/ライター。気になった健康法は試さないと気がすまない性質。「ストレスを明日に持ち越さない」をモットーに、日々体を動かすことを欠かさない。最近、ボルダリングに目覚めた。

もしかして痔!?実は女性に多いお尻の病気

取材帰りの電車の中で、高校時代の友人・みちこさんに会ったライラさん。みちこさんは、目の前の座席が空いているのに、吊り革につかまって立っていました。

ライラさん 「みちこ!偶然ね。今帰り?」

みちこさん 「あ、ライラ!ちょうどあなたに相談したいと思っていたのよ」

ライラさん 「どうしたの?席が空いているけど、座らないの?」

みちこさん 「それが...ちょっと言いにくいんだけど、お尻に違和感があって座りたくないのよ。もしかして痔なのかな?」

ライラさん 「それは、早く病院に行ったほうがいいわね」

みちこさん 「でも肛門科って、なんだか受診しにくいのよ。男性が多そうで、恥ずかしいじゃない?」

ライラさん 「心配しなくて大丈夫。痔といえば男性という印象があるけど、実は女性もなりやすいのよ。女性に痔が多い理由や治療法について、説明するわね」

女性が痔になる原因は?

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痔になる原因は、便秘や下痢といった排便トラブル、排便時のいきみや座りっぱなしの生活習慣のほか、辛い物や刺激物を食べすぎる食習慣などさまざま。お尻や肛門に負担をかけることが、大きく影響するわ。
人間は二足歩行で、下半身に負担がかかる生活をしているから、お尻の血流が悪く、痔になりやすいの。さらに、女性が痔になりやすい原因として、次のことが考えられるわ。


便秘になりやすい

一般的に、女性は男性に比べて腹筋が弱いため、便を押し出す力が弱く、便秘になりやすいの。それに加えて、月経前などに分泌される黄体ホルモンの影響で、水分を体内に貯め込むため、腸の働きが抑制されて便が硬くなり、さらに出にくくなってしまうのよ。 ほかにも、ダイエットなどで食事制限をしすぎることや、外出先で便意を我慢することなども、便秘を引き起こす要因として挙げられるわね。


冷えやすい

女性の7~8割が冷え性といわれるほど、冷え性に悩む女性は多いわ。男性に比べて筋肉量が少なく、脂肪が多いことに加え、ホルモンバランスの乱れによっても冷え性を引き起こしやすいの。 お尻や腰周りが冷えると、肛門付近の血の巡りが悪くなって、痔になりやすくなるわ。寒い季節はもちろん、冷房の効いた夏の室内も要注意よ。


妊娠や出産

妊娠時は、黄体ホルモンの影響によって、便秘になりやすいの。おなかが大きくなることで、腹部に血流が集中したり、腸を圧迫したりして、肛門付近の血流が滞ってしまうことも便秘の原因よ。 出産時に強くいきむことで、痔核(いぼ痔)ができてしまうこともあるわね。

3種類の痔とそれぞれの治療法

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まずは、肛門のしくみについて、簡単に解説するわ。私たちが体内に取り入れた食べ物は、胃や腸、直腸を通って、消化された後に便として排泄されるの。その消化管の出口が、肛門と呼ばれるのよ。 直腸と肛門の皮膚が接合する歯状線(しじょうせん)を境にした、長さ3cmほどの管を肛門管と呼ぶわ。

肛門管は、内肛門括約筋と外肛門括約筋という2つの筋肉、内痔静脈叢(ないじじょうみゃくそう)と外痔静脈叢(がいじじょうみゃくそう)という2つの結合組織に取り囲まれているの。静脈叢には、たくさんの血管が集まっていて、筋肉の隙間をふさぐクッションのような役割を果たしているのよ。

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肛門に負担をかけたり、肛門の血液循環が悪くなったりすると、周りの組織が影響を受けて、痔になってしまうわ。痔の種類は、大きく分けて3つ。それぞれ、症状と治療法について説明するわね。


いぼ痔(内痔核/外痔核)

いぼ痔は、内痔静脈叢と外痔静脈叢という血管が集まった、肛門の「クッション部分」がいぼ状に腫れる病気よ。歯状線より直腸側にできると内痔核、肛門側にできると外痔核と呼ばれるわ。内痔核は痛みを感じないのに対して、外痔核は排便するときに痛みを伴うのが特徴。いぼ痔は、排便時に強くいきみすぎることがおもな原因だけど、お酒を飲みすぎた後や妊娠中になることも多いわね。

基本的には、食事や生活習慣を改善することで自然に治るけれど、市販の坐剤や軟膏を使うことで症状をやわらげられるわ。内痔核は痛みがなく、気付かないことも多いけれど、排便時に出血があれば疑わしいわね。内痔核は、進行すると肛門の外に飛び出してくることがあって、そうなると手術が必要よ。


切れ痔(裂肛)

女性の痔で一番多いといわれているのが、切れ痔(裂肛)。便秘で硬くなった便が、肛門を通過するときに、周りの皮膚を傷付けてしまうことで切れ痔になってしまうの。ほかにも、辛い物など刺激物を食べた後や、激しい下痢などで皮膚がこすれたときも、切れ痔になることがあるわね。

排便をする度に、出血したり痛んだりする場合は、切れ痔だと考えられるわ。切れ痔は、生活習慣に気を付ければ、1~2週間程度で回復することが多いのよ。市販されている軟膏などを使用することで、痛みをやわらげられるわ。肛門の内部に切れ痔ができた場合は、注入型の軟膏も効果的よ。


痔ろう(あな痔)

痔ろう(あな痔)は、直腸と肛門の境目、歯状線にあるポケット状のくぼみから便や大腸菌が入り込み、肛門腺が化膿してしまう病気よ。通常は、肛門腺に便が入り込んでも炎症を起こすことはないけれど、免疫力が低下しているときに下痢状の便が入り込むことで、細菌に感染してしまうわ。

膿が肛門腺からお尻の皮膚へと移動すると、トンネルのように通り道ができてしまうの。肛門が腫れて高熱が出ることもあるわね。一度、トンネルができると再発しやすいから、根治的な手術が必要よ。心当たりがあれば、すぐに受診しましょう。

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痔になりにくい生活習慣を

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便秘や下痢などの排便トラブルが続く人は、痔になるリスクも高いわ。排便トラブルを防ぐためにも、生活習慣や食習慣を見直すことが大切よ。



<痔を未然に防ぐための心掛け>

・排便のリズムを整える(毎日決まった時間に排便する)
・トイレで強くいきまない、何分もトイレにこもらない
・排便後はお尻をきれいに洗う
・ストレスを軽減する
・食物繊維を積極的にとる
・アルコールや刺激物は控えめにする
・適度な運動を心掛ける

冷え性や座りっぱなしで長時間働いている人も要注意。適度に体を動かして、お尻周りの血流を良くしたり、使い捨てカイロや重ね着などで、体を温めたりする習慣を身に付けましょう。

※掲載している情報は、記事公開時点のものです。
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この記事は、働く女性の医療メディア
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