更年期で物忘れの症状が出る?簡単にできる物忘れ対策とは

「今何をしようと思ったんだっけ...?」「取引先の人の名前が出てこない...」。

年齢を問わず、誰でも一度は経験したことがある物忘れ。民間の調査会社によると、40代から8割以上の人が物忘れを経験しているという結果が報告されています(2017年5月、株式会社ネオマーケティング調べ)。

実は、物忘れは更年期症状のひとつと言われています。物忘れが更年期症状に由来するものであれば、生活にちょっとした工夫をすることで、悩んでいたことが解決するかもしれません。

今回は、更年期症状のひとつとしての物忘れのメカニズムのほか、認知症との違い、日頃からできる物忘れ対策などについて、医療系ライターのオリビアさんに教えてもらいました。

【PROFILE】

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オリビアさん(43歳)

自身も妊活を経験して授かった1児を育てながら、今も現役で働く医療系ライター。さまざまな学会にも足を運び、ドクターと仲良くなるのが得意。産後に始めたヨガにハマり、最近のリフレッシュ方法はもっぱらヨガスタジオに通うこと。

40代の物忘れは、更年期のサインかも?

仕事が早く終わったある日、いつものヨガ教室にきたオリビアさん。

友達のリョウコさんの隣にマットを敷きましたが、どうもリョウコさんは元気がないようです。

オリビアさん 「リョウコさん、なんだか疲れてるわね」

リョウコさん 「ああ、オリビアさん...。実はさっき、ちょっとショックなことがあって。ヨガの先生と入り口で会ったんだけど、名前が思い出せなかったのよ」

オリビアさん 「気にしないで、私も最近よくあるわ。それ、もしかしたら更年期症状かもしれないわよ」

リョウコさん 「えっ、物忘れが更年期症状?」

オリビアさん 「ええ、実は代表的な症状のひとつなの。ちゃんと対策もあってね...」

女性ホルモンと認知機能の関係

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更年期になると、女性ホルモンのひとつであるエストロゲンの分泌量が急激に減少することによって体内のホルモンバランスが乱れ、さまざまな症状を引き起こします。

その症状のひとつが、物忘れです。

私たちの脳には、記憶を司る左右一対の海馬と呼ばれる器官があり、エストロゲンはその海馬を活性化させるアセチルコリンという神経伝達物質を刺激します。そのため、エストロゲンの分泌が多いときは記憶力が増すといわれる一方、更年期を迎えてエストロゲンの分泌が減少すると、記憶力が低下するのではないかと考えられているのです。

「物忘れ=認知症」というイメージがある人もいるようですが、「物忘れがある」ことを自覚しているのであれば、加齢に伴う症状のひとつと考えていいでしょう。食事や外出などの体験そのものを忘れてしまったり、判断力まで低下してしまったりしない限り、検査を行っても認知機能そのものには問題がない場合がほとんどです。物忘れが気になり出した時期に更年期症状の自覚があれば、「この時期特有のもの」と割りきって、深く悩みすぎないようにしましょう

簡単にできる、更年期の物忘れ対策

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「最近、物忘れが増えたな」と感じたら、心配しすぎず、自分に合った対策を早めにとることが大切です。物忘れによるうっかりミスを防ぐために効果的な方法を、いくつかご紹介します。



スケジュール管理

やるべきことや予定をうっかり忘れてしまったときに確認できるよう、スケジュールを手帳に書き出して管理します。重要なのは、仕事、プライベート、子供の用事といったすべての情報を、一元管理すること。情報がひとつにまとまっていると、次に何をすべきかがすぐにわかるほか、それぞれのつながりから記憶をたどりやすくなります。

絶対に忘れたくない予定は、スマートフォンのカレンダーやタスクリストを活用し、指定した時間にお知らせをしてくれるリマインドの設定をしておくと便利です。


脳を休める

過労やストレスは更年期症状を悪化させるので、意識的に休息を取り、脳を休めることが大切です。特に睡眠は、重要といわれています。

寝る前のカフェイン摂取やスマートフォンの使用は脳を興奮状態にしてしまうため避けるようにし、質の良い睡眠を十分にとりましょう。

体がほてってなかなか眠れない人は、寝る2時間前までにお風呂に入るようにして、体温が下がるタイミングを利用したり、水枕や氷枕などを使ってほてりを抑えたりすると寝付きが良くなります。


程良い運動をする

有酸素運動には、認知機能を改善させる効果があることがわかっています。ウォーキングやジョギングのほか、プールで水の抵抗を感じながらゆっくり歩く水中歩行もおすすめです。

なかなか時間が取れない人は、「エスカレーターではなく階段を使う」「歩くスピードを少し早める」「いつもより大股で歩くようにする」といった意識をするだけでも運動効果が上がりますよ。

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ホルモン補充療法(HRT)を行う

物忘れだけでなく、生活に支障をきたす重い更年期症状がある場合は、ホルモン補充療法(HRT)でエストロゲンを補うのもひとつの手です。

不足した分のエストロゲンを外部から補ってあげることで、ホットフラッシュや動悸といった身体的な症状ほか、イライラや不安感といった精神的な症状も抑えることができます。

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HRTで行う更年期障害治療――ホルモンを補充することで諸症状を改善

更年期の物忘れは脳の老化予防を始めるタイミング

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更年期の物忘れは、気に病みすぎるとストレスが増して、より症状が重くなる可能性がありますので、「気にしすぎず、できることから対策すること」を心掛けましょう。

また、将来的な認知症予防の観点からも、積極的に脳を使う意識を持つことには大きな意味があります。更年期の物忘れは、脳の老化予防を始めるいいタイミングです。前向きに、楽しく、有酸素運動で体をトレーニングしつつ、脳の活性化を心掛けましょう。


※掲載している情報は、記事公開時点のものです。
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