家族歴(既往歴)はなぜ重要?将来のリスクを知る手掛かり

コラム・心地よいわたし

健康診断の問診や、家族の既往歴(家族歴)には、将来のリスクを知るヒントが隠されています。例えば、両親ががんや心筋梗塞、脳卒中などいわゆる3大疾病にかかったことがある場合、遺伝子を受け継いだ子供も、同じ病気のリスクが高くなる傾向に。それは、糖尿病や腎臓病でも同じことです。
医療・美容記事を多く手掛ける編集者/ライターのライラさんに、家族歴を知ることの重要性について教わりました。

【PROFILE】

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ライラさん(40歳)

医療・美容を多く手がける編集者/ライター。気になった健康法は試さないと気がすまない性質。「ストレスを明日に持ち越さない」をモットーに、日々体を動かすことを欠かさない。最近、ボルダリングに目覚めた。

家族の既往歴を知っていますか?

仕事帰りに、会社近くのカフェへ急ぐライラさん。高校の友人ゆかりさんから「相談したいことがある」と連絡を受けて駆け付けました。

ライラさん 「お待たせ!遅くなってごめん」

ゆかりさん 「忙しいところごめんね。ちょっと聞いてほしいことがあって」

ライラさん 「どうしたの?」

ゆかりさん 「実は、うちの父ががんになってしまって」

ライラさん 「あら、それは心配ね...」

ゆかりさん 「父方の親戚って、がんにかかる人が多いのよ。祖母も伯父もがんで亡くなっているし...。がん家系というのかしら。自分や自分の子供にも影響するのかと心配になってしまって」

ライラさん 「身内の方が、いつどんながんになったか、詳しく知ってる?」

ゆかりさん 「詳しくはわからないかも...」

ライラさん 「家族歴を知ることは、将来のリスクを知る大きな手掛かりになるのよ。家族歴をきちんと把握しておくことがなぜ重要か、説明するわね」

家族歴(既往歴)で何がわかる?

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家族歴とは、親族の治療中の病気や既往歴(病気にかかった時期やそのときの治療法、薬の副作用、アレルギーなどを年齢ごとにまとめたもの)の記録のこと。子供が両親から受け継いだ遺伝子には、身体的特徴や体質などの情報のほかに、病気のなりやすさも含まれているの。関わる病気としては、次のようなものが挙げられるわ。


<家族歴に関わる病気>
・脳の病気(脳梗塞やくも膜下出血、アルツハイマー病など)
・心臓の病気(心筋梗塞や狭心症など)
・がん(乳がんや大腸がんなど)
・生活習慣病(糖尿病や高血圧など)

例えば、遺伝性のがんが発症する頻度は、全体の約5~10%といわれているわ。以下にあてはまる人が血縁者にいれば、がんに罹患しやすい体質であることが疑われるわね。

・がんに罹った人が特に多い(目安として3人以上)
・若くして(目安として50歳未満)がんに罹った人がいる
・何度もがんに罹った人、様々な部位にがんができた人がいる
※これらにあてはまる人が、必ず遺伝性のがんを発症する体質というわけではありません。

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病院にかかった際、家族歴を医師に伝えることが診断の手掛かりとなり、病気の早期発見・早期治療につながりやすくなるの。ただし、ほとんどの病気の発症には、遺伝子だけでなく、食事や運動、ストレスなどの生活環境が大きく影響するわ。可能性が高いというだけで、その病気にかかりやすい遺伝子を持っていても発症しない人もいるのよ。

家族歴(既往歴)に必要な情報

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家族歴に必要なのは、第一度近親者(両親、子供、同父母の兄弟・姉妹)と第二度近親者(祖父母、おじ・おば、甥・姪、孫、異父異母の兄弟・姉妹)の情報。第一度近親者・第二度近親者がかかった病気の種類や、病気と診断されたときの年齢を控えておくといいわね。身内の中に遺伝子検査を受けた人がいれば、その結果を入手できると、より正しい診断をしてもらえるわ。

<家族歴に記載すべき共通の情報>
・年齢(生年月日)
・死亡年齢(死亡した時期)
・死因
・血縁関係
・身長と体重
・疾患に関連する健康状態
・診断年齢
・罹患/診察/検査の有無
・妊婦の場合:最終月経日/出産予定日/妊娠週数/流産/死産/子宮外妊娠
・子供がいない理由
・祖父母の民族的背景(遺伝子変異の頻度に人種差がある疾患が存在するため)
・近親婚
・家族歴を聴取した理由
・情報提供者
・情報収集日(更新日)
・情報収集者(更新者)

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遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)に関する韓国の大規模な調査では、いとこの病歴が発症リスクに影響することが示されているの。そのため、臨床遺伝専門医や認定遺伝カウンセラーが行う「遺伝カウンセリング」では、第三度近親者(いとこなど)までの病歴を聞かれることが多いのよ。

家族歴の記録には、国際ルールに従った家系図記載法を用いることが望ましいとされているわ。ASCO(アメリカ臨床腫瘍学会)では、「Cancer Family History Questionnaire」という質問票を用意しているわ。家族歴を作る際は、そちらを利用するのもおすすめよ。

家族歴(既往歴)を把握し、病気の早期発見・早期解決を

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病気の種類によって、収集する情報は変わってくるのよ。例えば、心筋梗塞や脳梗塞など血管系の病気にかかった家族がいる場合、血圧やコレステロール、糖尿病の検査の数値などを知っておくことが大切。家族によく説明して理解してもらい、正しい情報を集めることが、病気の早期発見・早期解決に結び付くわ。



※掲載している情報は、記事公開時点のものです。

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