長引く不調、アレルギーが原因かも?アレルギー検査でわかること

子供に多いイメージのあるアレルギー。しかし実は、大人になってから突然アレルギーを発症する例も珍しくありません。アレルギーと一言でいっても、気管支喘息やアレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、アレルギー性結膜炎、花粉症、食物アレルギーなど種類はさまざまで、症状も人それぞれ。アレルギーの重症化を防ぐには、早期発見・早期治療がカギとなります。

アレルギー症状を引き起こす物質を突き止めるには、「アレルギー検査」を受ける必要があります。今回は、アレルギー検査の種類や、検査によって何がわかるかについて、医療・美容記事を多く手掛ける編集者/ライターのライラさんに教わりました。

【PROFILE】

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ライラさん(40歳)

医療・美容を多く手がける編集者/ライター。気になった健康法は試さないと気がすまない性質。「ストレスを明日に持ち越さない」をモットーに、日々体を動かすことを欠かさない。最近、ボルダリングに目覚めた。

大人になって突然アレルギーが発症することがある?

同僚のみつきさんとランチをしにきたライラさん。甘い物好きのみつきさんが、食後のデザートに手をつけないことが気になりました。

ライラさん 「みつきさん、そのフルーツタルト食べないの?」

みつきさん 「実は最近、フルーツを食べると口の中がかゆくなるのよね...」

ライラさん 「口の中がイガイガする感じかしら?」

みつきさん 「まさに、そんな感じよ。今までは平気だったのに...」

ライラさん 「もしかしたら、アレルギーかもしれないわね」

みつきさん 「アレルギーって、突然発症することもあるの?」

ライラさん 「それまで口にしていた食べ物が、ある日突然アレルゲンとなって、アレルギー症状を引き起こすことがあるのよ。口の中のかゆみが何によって引き起こされているか、早めにアレルギー検査を受けて突き止めたほうがいいわ。さまざまなアレルギーとその検査について説明しましょう」

おもなアレルギーの種類と検査

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私たちの体には、外部から体内に侵入する細菌やウイルスなどの異物(抗原)を撃退するしくみが備わっていて、これを「免疫」と呼ぶわ。抗原が体内に入ったとき、体はそれに対抗する物質(抗体)を作って排除しようとするのよ。

ところが、抗原が体内に侵入したときに、免疫機能が過剰に働いてしまうことがあるの。これが「アレルギー反応」で、抗原の中でも特にアレルギーを引き起こしやすい物を「アレルゲン」と呼ぶのよ。

アレルゲンの種類としては、食物や薬物、室内のゴミやホコリ(ペット類の毛やダニの死骸を含む)、花粉などが挙げられるわ。これらのアレルゲンによって、じんましんや皮膚炎、喘息、発熱などを発症するのが「アレルギー疾患」よ。ここでは、おもなアレルギー疾患の種類について紹介するわね。


気管支喘息

気管支喘息は、気道に慢性の炎症が生じることで気道が狭くなり、「ゼーゼー」「ヒューヒュー」と音がする喘鳴(ぜんめい)や、呼吸困難が生じる病気よ。ダニやペットの毛などのアレルゲンを吸い込んだり、激しい運動をしたり、ストレスを感じたりすることが、喘息発作の引き金となるわ。


アレルギー性鼻炎(花粉症)

アレルギー性鼻炎は、風邪でもないのに鼻水やくしゃみ、鼻づまりを繰り返す疾患。体内に入ってきた抗原をくしゃみで吹き飛ばし、鼻汁で洗い流し、さらに異物を入れないようにするために、このような反応が起きるのよ。おもなアレルゲンとしては、一年を通して症状を引き起こすハウスダストやカビ、一年のある時期だけ症状を起こす花粉などが挙げられるわ。


アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎は、かゆみを伴う湿疹が、皮膚に繰り返し発生する病気よ。目や耳の周り、首、ひじやひざのくぼみなどに湿疹ができやすいわね。かき壊しが続くと発疹が拡大し、症状がひどくなってしまうのよ。皮膚のバリア機構が不十分な人に発症しやすく、最近では成人してからの発症や悪化も多く見られるわ


アレルギー性結膜炎

アレルギー性結膜炎は、眼球の表面から瞼の裏を覆う粘膜である「結膜」に炎症が起こる病気。おもな症状は眼のくぼみで、そのほかに白目が赤くなったり、涙が出たり、目やにが出たりといった症状も伴うわ。スギ花粉症もスギ花粉によるアレルギー性結膜炎の一種で、スギ花粉の飛散時期(国内では2~4月)に症状が出るわね。


食物アレルギー

食物アレルギーには、食べてすぐ症状が現れる「即時型アレルギー」と、数時間から数週間後に症状が現れる「遅延型(遅発型)アレルギー」の2種類があるの。即時型アレルギーの症状としては、皮膚のかゆみや口の中のイガイガ、くしゃみ、鼻水、呼吸困難、腹痛や下痢などが挙げられるわ。

一方、遅延型アレルギーの症状としては、頭痛やめまい、倦怠感、肌荒れ、情緒不安定などが挙げられるわね。遅延型アレルギーの場合、発症が遅いことから、食べ物との因果関係になかなか気付かない人が多いの。原因不明の不調が続いたら、その不調が起こる前に、何を食べたかチェックしてみましょう。

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アレルギーの診断を行うための検査

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アレルギー疾患の治療・予防を行うためには、アレルゲンを特定することが先決。ここからは、アレルギーの診断を行うための、おもな検査について紹介していくわ。



血液検査

血液検査は、個別のアレルゲンごとの血液中の「IgE抗体」の量を測る検査よ。IgE抗体とは、体内に入ってきたアレルゲンをやっつけようとするたんぱく質のこと。特定のアレルゲンに対するIgE抗体の値が高い場合、そのアレルゲンを吸い込んだり、摂取したりすることで、アレルギー症状が出る可能性が高くなるの。

血液検査は、ハウスダストのアレルギー検査、甲殻類のアレルギー検査など、各項目の検査を個別に行うのが一般的。ただし、医療機関によっては、30項目以上のアレルゲンを、一度の採血で確認できる検査を実施しているところもあるのよ。複数の項目を一度に確認したいなら、こういったアレルギー検査を実施しているかどうか、医療機関に問い合わせてみましょう。

ただし、IgE抗体の値だけを見ても、食べられる可能性がある食物の量や、誘発される症状の強さを正しく測定することはできないの。血液検査は、あくまでも、アレルギーの診断を行うための補助的な検査と考えるべきね。

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皮膚テスト(プリックテスト)

皮膚テスト(プリックテスト)は、即時型アレルギーの診断に用いられる検査よ。アレルゲンと疑われる物質を腕の内側に1滴たらし、プリック針と呼ばれる器具で皮膚を少し傷付けて、15分後に赤くはれるかどうかで陰性か陽性か測定するの。

アレルギー性鼻炎やアトピー性皮膚炎、アレルギー性結膜炎、食物アレルギー、薬剤アレルギーなど、さまざまなアレルギー疾患に適用されているわ。採血の必要がなく、手軽にできてその場で結果がわかるから、乳幼児のアレルギー診断に用いられることも多いわね

血液検査と同じく、食べられる可能性がある食物の量や、誘発される症状の強さを正しく測定することはできないわ。アレルギーの診断を行うための補助的な検査と考えましょう。


食物経口負荷試験

食物経口負荷試験は、医師の指導のもと、アレルゲンと疑われる食物を実際に食べて、アレルギー症状の有無を確認する検査よ。重篤なアレルギー症状が出る可能性もあるから、緊急処置ができるように、入院設備など体制の整った病院で検査が実施されるの。食物アレルギー検査の中で、最も確実な診断法といえるわね。

原因不明の不調はアレルギーが原因かも?

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乳幼児のアレルギーは、成長に伴って治ることも多いけれど、大人のアレルギーは、一度発症すると治らないケースが多いそうよ。自覚症状がなかったり、症状が軽いけれど実はアレルギーが原因だったりすることもありうるの。

原因不明の不調が長く続くときは、アレルギー検査を受けて、アレルゲンを調べてみましょう。


※掲載している情報は、記事公開時点のものです。
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