更年期の「眠い」を解決するには?睡眠トラブル対処法

しっかり睡眠時間を確保しているのに朝から眠気が続いたり、日中強い眠気に襲われたりと、日常生活に影響を及ぼしかねない眠気。特に、女性ホルモンが急激に減少する40代以降は、自律神経の乱れやのぼせ、発汗といった更年期の症状の影響で、眠気が起こりやすい傾向にあります。
今回は、更年期世代の「眠い」を解決する方法について、医療・美容記事を多く手掛ける編集者/ライターのライラさんに教わりました。

【PROFILE】

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ライラさん(40歳)

医療・美容記事を多く手掛ける編集者/ライター。気になった健康法は試さないと気がすまない性格。「ストレスを明日に持ち越さない」をモットーに、日々体を動かすことを欠かさない。最近、ボルダリングに目覚めた。

いくら寝ても眠い...それって更年期の睡眠トラブルかも?

ある休日、お昼を簡単に済まそうとコンビニに立ち寄ったライラさん。偶然、同じマンションに住むエミさんに会いました。

ライラさん 「エミさん、おはよう。お買い物?」

エミさん 「ライラさん、おはよう。そうなの、眠気覚ましに栄養ドリンクでも買おうと思って」

ライラさん 「寝るのが遅かったの?それともあまり眠れなかった?」

エミさん 「それがね、毎日8時間は寝ているのよ。なのに、日中ものすごい眠気に襲われることがあるの...」

ライラさん 「もしかして、女性ホルモンの影響じゃないかしら。良かったら、眠気の原因と対策を教えておくわ!」

更年期の睡眠トラブル、感じ方は人それぞれ

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40代、50代は、睡眠の質に不満を感じる女性が増える世代。厚生労働省が2018年に発表した「国民健康・栄養調査」でも、女性のうち「睡眠で休養が十分に取れていない」と回答した人の割合が最も高いのは40歳代だったわ。



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「平成30年国民健康・栄養調査報告」よりグラフ作成

一口に睡眠トラブルといっても、その感じ方は人それぞれで、個人差があるの。代表的なのは、目が覚めてもなかなか起き上がれなかったり、睡眠時間は十分なのにあまり眠れていないと感じたりというように、朝起きたときに感じる疲れや体のだるさね。

また、家事や仕事をしている昼間に強い眠気に襲われる人もいるわ。疲れているのになかなか寝付けないというのも、この世代によくある睡眠トラブルよ。やっと寝入ったと思ったら急に目が覚めて、夜中に寝たり起きたりを繰り返してしまう人も多いわね。

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更年期に眠くなる2つの原因

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40歳以降、60歳くらいまでの女性に睡眠トラブルが起きやすい原因は、大きく2つあるわ。ひとつは加齢によるもの、もうひとつは更年期の症状によるものよ。それぞれ説明するわね。



加齢によるもの

人は眠っているあいだに、体は休止していて脳は活発に動いている状態の「レム睡眠」と、体も脳も休止状態にある「ノンレム睡眠」を交互に繰り返すの。でも、年を重ねるにつれて、ノンレム睡眠の割合は減っていくのよ。これは、体の老化が進んで運動量が減り、深い睡眠で体の疲労を回復する必要がなくなるから

「若い頃に比べて睡眠時間が減った」「眠りが浅い気がする」と感じる人は多いと思うけど、あまり不安に思わず、年齢とともに睡眠も変わっていくと考えたほうがいいわね。


更年期の症状によるもの

女性ホルモンのエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)は、眠気を促したり抑えたりといったように、睡眠中枢に影響を及ぼすの。更年期に睡眠のコントロールが利かなくなる要因のひとつは、この女性ホルモンの減少にあるといわれているわ。

また、ほてりやのぼせ、発汗といった更年期の症状も、睡眠を妨げる可能性があるわね。就寝中にこうした症状が現れると、息苦しさや暑苦しさで目が覚めてしまったり、汗をかいて着替えるために何度も起きたりして、睡眠が浅くなってしまうのよ。

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更年期もしっかり眠りたい!快眠のためのセルフケア

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睡眠不足や強い眠気が続くことで、仕事に支障が出るおそれも...。ここからは、更年期にしっかり睡眠を取るためのセルフケアについて教えるわ。



規則正しい生活をする

二度寝を繰り返したり、寝付けないからといって夜更ししたりすると、体内時計がずれて睡眠トラブルが悪化する可能性があるわ。毎日、決まった時間に起きて太陽の光を浴び、夜は布団に入って目を閉じる習慣をつけて、生活リズムを整えてね。


短時間の昼寝をする

午後の生産性や集中力が上がるとして企業などでも注目されている昼寝は、更年期の眠気にも有効よ。30分以上寝ると逆にぼんやりしてしまうから、10~15分程度の仮眠を取るのがコツ。スマホで目覚ましをかけるなど工夫して、寝すぎないように注意しましょう。

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睡眠環境を整える

自分の体に合うマットレスのほか、通気性のいい掛け布団やパジャマなどを選んで、睡眠時の環境を整えるのも有効よ。ほてりやのぼせがつらい場合は、夏は室温26℃、冬は18~23℃くらいを目安に室温にも気を配ってみて。


食生活を見直す

睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニンの分泌を促すセロトニン(神経伝達物質のひとつ)は、朝食に「トリプトファン」を含む食べ物をとることで作られやすくなるわ。「トリプトファン」は、バナナや乳製品、大豆製品などに含まれているので、朝に摂取するのがおすすめよ。

更年期の睡眠トラブルは早期解決が重要

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眠れない、寝た気がしない、日中眠くて動けない...といった睡眠トラブルが長期化すると、うつ病を発症するおそれがあるわ。思い当たる更年期の症状がある場合や、睡眠トラブルを自覚している場合は、我慢せず医療機関に相談しましょう。

受診するなら、女性の心身を総合的に診てくれる更年期外来や女性専用外来がおすすめ。更年期の症状が原因なら、漢方薬やホルモン補充療法など、適切な治療を提案してくれるわ。強い不安や体重の減少などがあるときは、メンタルの専門家である心療内科や精神科の受診も考えてみてね。


※掲載している情報は、記事公開時点のものです。
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