糖尿病の初期症状?疲れやすい、喉が渇く...こんな症状に注意!

40歳を過ぎたあたりから増え始める糖尿病。初期の頃ははっきりした自覚症状がないため、気付きにくいともいわれています。とはいえ、症状がまったくないわけではなく「疲れやすい」「喉や口の中が渇く」など、体のちょっとした変化が、実は糖尿病のシグナルかもしれません。
そんな糖尿病の基礎知識と、初期に現れやすい症状について、医療・美容記事を多く手掛ける編集者/ライターのライラさんに解説してもらいました。

【PROFILE】

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ライラさん(40歳)

医療・美容記事を多く手掛ける編集者/ライター。気になった健康法は試さないと気がすまない性格。「ストレスを明日に持ち越さない」をモットーに、日々体を動かすことを欠かさない。最近、ボルダリングに目覚めた。

健康診断で「糖尿病予備軍」と言われたら...

記事の打ち合わせのために編集部を訪れたライラさん。担当編集者のサヤカさんが迎えてくれましたが、なんだか浮かない表情です。

ライラさん 「サヤカさん、こんにちは。もうすぐ打ち合わせの時間だけど、元気がないみたい。大丈夫?」

サヤカさん 「健康診断で血糖値が基準値よりも高かったから、午前中に再検査を受けてきたんですけど、医師から『糖尿病予備軍』と言われて...」

ライラさん 「それは心配ね。何か心当たりの症状はある?」

サヤカさん 「それが、何もないんです。なので、まさか自分がと思って、余計に落ち込んでしまって...」

ライラさん 「そうだったのね。実は、糖尿病の初期は自覚症状がないことも多いのよ。糖尿病の基礎知識と、初期に見られる症状について知っておくといいわ」

糖尿病とはどんな疾患?

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私たちが口にする食べ物には糖質が含まれていて、体の中に入った糖質は分解されてブドウ糖になり、血液によって全身に送られるの。ブドウ糖は通常、膵臓から分泌されるインスリンの働きによって細胞の中に吸収され、エネルギーへと変換されるけれど、何らかの原因でインスリンの分泌量が少なかったり(インスリン分泌不全)、十分に作用しなかったりする(インスリン抵抗性)と、細胞へのブドウ糖の吸収がうまくいかなくなってしまうわ。

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そうして、血液中にあふれたブドウ糖(血糖値)の量が増えて過剰な状態が続くと、体のさまざまな部分に不調が現れるようになるの。糖尿病は、インスリンの分泌異常によって血液中の血糖値が慢性的に高くなる疾患だけど、大きく分けると次の2つのタイプがあるのよ。


1型糖尿病

1型糖尿病は、急に発症することが多いといわれているわ。原因は、感染症などによる免疫不全によって、膵臓でインスリンを分泌する細胞が壊されてインスリンの生成が正常に行われないケースのほか、原因不明で突発的に起こる場合も。10代など、比較的若い年代に発症しやすいとされているものの、高齢者も含めてすべての年代で発症する可能性があるわ。


2型糖尿病

2型糖尿病は、インスリンが出にくくなったり、効きにくくなったりすることで、少しずつ血糖値が上昇していくのが特徴。糖尿病の9割以上はこのタイプと考えられているわ。中高年に多く見られ、原因は食生活の乱れや運動不足、ストレスといった生活習慣のほか、遺伝も原因となりうるの。初期症状がないことも多く、気付いたときには病気が進行していることもあるから注意が必要よ。

糖尿病の初期に見られるおもな症状とは?

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糖尿病の中でも、特に2型糖尿病は自覚症状がないまま進行し、気付いたときには悪化していた...ということも少なくないわ。健康診断の結果、血糖値に異常が見られたなど、「糖尿病予備軍かもしれない」と気になる人は、次のような症状がないかチェックしてみて。



体が疲れやすい

インスリンの働きが低下すると、ブドウ糖をエネルギーに変換できないため、体が疲れやすくなるの。さらに、脳へのエネルギー供給が低下して、集中力がなくなったり、イライラしたりすることも増えるそうよ。


喉や口の中が渇く

血糖値が上がると、血液は濃くドロドロした状態になるわ。脳は、それを脱水状態と判断するため、水などの飲み物を欲するようになるのよ。


トイレが近くなる

水分の摂取量が増えるほか、腎臓がブドウ糖を水分と一緒に尿として排出するようになるため、トイレが近くなったり、尿の量が多くなったりすることがあるわ。

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以上のような症状は、糖尿病の初期症状として1型糖尿病、2型糖尿病に共通するもの。さらに、1型糖尿病では「体重の減少」という症状も加わり、どれも突然発症するといわれているわ。

糖尿病の合併症

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糖尿病になると、神経や目や腎臓などにさまざまな障害が起こることが知られているの(3大合併症)。また、心臓病や脳卒中など、死亡リスクに直接関係する動脈硬化を引き起こすこともわかってきているわ。

ただし、血糖値をきちんとコントロールできれば、これらの合併症を予防できることもわかっているのよ。合併症を引き起こさないためにも、糖尿病とわかったらしっかり治療を行い、きちんと血糖値を下げることが必要ね。

ここからは、おもな糖尿病の合併症について紹介していくわ。


糖尿病性神経障害

神経障害や血行不良の影響で、手足にさまざまな不調が現れるようになるわ。手や足がしびれたり、感覚の低下あるいはチクチクとした痛みがあったり、皮膚が乾燥したり、タコができやすくなったりするのも、糖尿病性神経障害から起こる症状よ。痛みが慢性化する場合や、進行して知覚が低下した結果、足潰瘍(かいよう)や足壊疽(えそ)になる人もいるのよ。


糖尿病網膜症

糖尿病網膜症は、目の後ろにある網膜の細い血管がむしばまれていく合併症。視力が低下したり、視界がぼんやりかすんだりすることもあるの。自覚症状がないまま進行し、失明に至ることもあるわ。


糖尿病性腎症

糖尿病性腎症は、高血糖によって腎臓の細い血管がむしばまれていく合併症よ。進行すると老廃物を尿として排泄する腎臓の機能が失われて、徐々に体液過剰になり、むくみが出たり血圧が上昇したりするの。最終的には透析治療が必要に...。

自覚症状がないまま進行するため、早期発見するには定期的に腎臓の機能を検査する必要があるわ。

「体の調子がいつもと違う...」と感じたらすぐに医療機関へ

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初期のうちは、症状を自覚しにくいのが糖尿病の特徴。一方で、生活習慣に気を付けたり、早期発見・治療したりすることで、症状の悪化や合併症の進行を防げる病気でもあるわ。

日頃からバランスのとれた食事や適度な運動を行うことで予防するのはもちろん、体に不調を感じた際には、すぐに医師に相談するようにしましょうね。


この記事を監修した人

ミッドタウンクリニック名駅
安藤 豪将(あんどう たけまさ)医師

日本内科学会 認定内科医/日本糖尿病学会 糖尿病専門医
専門分野:糖尿病

ミッドタウンクリニック名駅

IMG_5219.jpg JR名古屋駅徒歩1分。JPタワー名古屋5階、立地・快適性を追求した男女別の健診施設。「女性に優しい」をコンセプトに、女性専用エリアやパウダールームの設置など様々なホスピタリティを用意。女性特有の検査には女性医師・スタッフが対応します。また、外来診療もおこなっているため、風邪などの疾患や身体の不調なども相談可能です。


※掲載している情報は、記事公開時点のものです。
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