足がだるい、重い、灼熱感...その違和感はあの病気の初期症状かも?

長時間の立ち仕事をしたり、たくさん歩いたりしたわけでもないのに、なぜか足がだるい、重いと感じたことはありませんか?夕方になると靴がきつく感じるなど、むくみに悩んでいる人もいるでしょう。
足がだるくなったり、重くなったりするのは、ふくらはぎの血液循環が悪くなり、老廃物が溜まることが原因といわれています。足の静脈がコブのように盛り上がったり、浮き出したりするのは「下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)」のサインの可能性もあります。
ここでは、足の違和感の原因や、下肢静脈瘤を悪化させないためのセルフケアについてご紹介します。

足の血行はなぜ悪くなる?

ふくらはぎの筋肉は、足の静脈を流れる血液を、ポンプのように上へ上へと送り出す役割を担っています。そのため、「ふくらはぎは第二の心臓」ともいわれています。

ところが、筋肉がこわばると、このポンプが十分に働かなくなってしまいます。それによって、足の血液の流れが滞ってしまうと、筋肉に酸素や栄養が届かなくなり、足の重さやだるさを感じる原因になります。

静脈がコブのように膨らむ下肢静脈瘤ってどんな病気?

日本血管外科学会によると、血液が心臓に戻りやすいよう、手足の静脈には逆流防止のための弁(静脈弁)がついているそう。下肢静脈瘤は、この弁の働きが悪くなって逆流が引き起こされたり、太い静脈が詰まったりして、血液の流れが停滞することで引き起こされる病気です。

静脈弁の働きが鈍くなり、血液が下方へ流れたり静脈の中に溜まったりすると、足の血管が浮き出たり、コブのように膨れたりします。足に重だるさや痛みを感じる、むくみが起こるといった軽度の症状から、皮膚に変化が生じる、色素沈着、皮膚硬結(皮膚が硬くなる)など重度のものまで、自覚症状には個人差があります。

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2005年に行われた40歳以上を対象とした調査(※1)では、調査した集団の8.6%に下肢静脈瘤が認められました。男女別の割合を見ると、男性は3.8%、女性は11.3%で、女性に多い病気ということがわかっています。

また、別の調査(※2)では「出産経験のある女性の2人に1人が下肢静脈瘤を発症している」といった調査結果が報告されています。妊娠出産によって骨盤が圧迫され、下半身の血流が滞ることがその原因といわれています。

(※1)小西正光教授ら:西予地区コホート研究、2005
(※2)平井正文、牧篤彦、 早川直和 妊娠と静脈瘤 静脈学:255-261,1997

こんなサインに注意!下肢静脈瘤の初期症状

足のむくみやだるさを日常的に感じている人は、たとえそれが下肢静脈瘤の初期症状であったとしても、見逃してしまいがちです。早期発見のためにも、どのような初期症状があるのかを知っておきましょう。

<下肢静脈瘤の初期症状>

・足のむくみ、だるさ、かゆみ、痛みを感じる
・足の血管が網目状になって目立つ
・就寝前や就寝中、明け方などに、こむら返りを起こす
・血管が浮き出て見える
・膝から足首にかけて湿疹が出る、色素沈着が起こる

4種類の下肢静脈瘤と見た目の変化

下肢静脈瘤は、下記の4種類に分けられます。症状が悪化すると潰瘍(かいよう)ができたり、皮膚に色素沈着が発生したりして治りにくくなるため、早めに対処することが大切です。


網目状静脈瘤

網目状静脈瘤は、皮膚のすぐ下にある細い静脈に発症する静脈瘤です。太ももの外側やひざの裏側・内側などに症状が現れ、青い血管が網の目のように枝分かれして見えます。


クモの巣状静脈瘤

クモの巣状静脈瘤は、皮膚内の毛細血管が拡張することによって発症する静脈瘤です。青、赤、紫など、さまざまな色の血管が、クモの巣のように広がって見えます。


側枝(そくし)静脈瘤

側枝静脈瘤は、静脈の枝にあたる部分に発症する静脈瘤です。伏在型よりやや細く、網目状・クモの巣状より太い血管に起こります。太ももやすね、ふくらはぎなどに症状が現れます。


伏在型(ふくざいがた)静脈瘤

伏在型静脈瘤は、大伏在静脈や小伏在静脈の弁が機能しなくなることで発症します。大伏在静脈の場合は、太ももからふくらはぎの内側やひざの内側、小伏在静脈の場合はひざの裏やふくらはぎの外側に症状が現れます。

伏在型静脈瘤は下肢静脈瘤の中で最も多く、特に大伏在静脈の弁が機能しなくなった場合は、太い血管に血液が溜まるため症状が目立ちます。

下肢静脈瘤を防ぐためのセルフケア

下肢静脈瘤の発症や悪化を予防するためにも、日常的に足の血流を良くする習慣を取り入れたいもの。

ここからは、下肢静脈瘤を防ぐセルフケアについてご紹介します。


ふくらはぎのマッサージ

ふくらはぎのだるさや重さなどの不快な症状には、リンパマッサージが有効です。リンパの流れを促すことで、血液の流れも良くなります。

1. お尻を床につけて座り、片方のひざを立てます。
2. ひざを裏側から両手のひらで包むようにして、親指以外の4本の指でリンパ節を刺激します。
3. 両手を足首に下ろし、下から上へ血流を促すようにさすります。


土踏まずを刺激する

足の裏の土踏まず付近には、静脈の血液が溜まる「足底静脈叢(そくていじょうみゃくそう)」という場所があります。足底静脈叢を刺激すると、ふくらはぎのポンプ機能が活性化し、血液が流れやすくなります

指の腹を使って足裏全体を押すほか、階段のへりで体重をかけて刺激するのもおすすめです。


ツボ押し

下肢静脈瘤の予防には、血行改善や疲労回復のツボを押すのも効果的です。

・足三里(あしさんり)
ひざのお皿の下あたりに人差し指がくるように指を並べたとき、小指があたるところが足三里です。血行改善のほか、むくみや疲れに有効です。

・三陰交(さんいんこう)
内くるぶしの最も盛り上がった位置に小指がくるように指を並べたとき、人差し指があたるところが三陰交です。足の疲労軽減のほか、女性特有の症状にも効果を発揮します。

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日常的に足の血流を促し、下肢静脈瘤を予防しよう

下肢静脈瘤は、立ちっぱなし・座りっぱなしの生活を見直し、血液の流れを促進する習慣をつけることで予防できる病気です。

デスクワークならつま先を上げ下げして足を動かす、立ち仕事なら休憩時に足を高く上げるなど、足の血流を促す習慣を取り入れましょう。


【参考文献】
世界一わかりやすい"下肢静脈瘤"の治療と予防 見過ごしてはいけない脚の"むくみ"と"だるさ" (医学通信社/2019)


※掲載している情報は、記事公開時点のものです。
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