続くだるさや疲れ、乾燥の改善に...長いもの効能とおすすめプラス食材

「医食同源」「食薬」といわれるように、毎日食べる食材は体づくりに重要な役割を果たしています。更年期に現れるつらい症状の改善にも、食材が持つ力がとても有効。日々、自分の体と会話し、体調や状態に合った食事をとることで、心身のバランスが整います。

中でも、更年期によくある症状に力を発揮するのが「長いも」「エビ」「セロリ」の3つ。今回は、その中から長いもをピックアップし、特徴と効果、更年期症状の改善におすすめの組み合わせ食材について、漢方・薬膳の専門家である杏仁美友さんに教えていただきます。

長いもはどんな食材?

長いもは、薬膳でいう「平性(へいせい)」の食材で、体を温めもせず、冷やしもしないのが特徴です。長期間、たくさん食べても問題が起こりにくいので、毎日食べても構いません。

長いもの効能は、大きく下記の5つがあります。


うるおいを補う

漢方では、活動エネルギーのもとになる「気」、全身に栄養を届ける「血」、全身に潤いを届ける「水」の3つが影響し合って、心身をすこやかに保っていると考えます。

長いもは、「水」を補う力が強い食材。水は、皮膚や髪の毛のうるおいを保ったり、関節の動きを滑らかにしたりします

■気・血・水の役割

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<気・血・水の詳しい解説はこちら>
更年期世代の心身のバランスはどう測る?漢方ならではの考え方


体温が保たれ、新陳代謝が高まる

長いもには、気・血・水の「気」を補う力もあります。体内に十分な気が存在する人は、「元気」や「気力」が満ちていて活動的な状態。体温や新陳代謝が高まり、細菌やウイルスへの抵抗力が強くなるといわれています。


老化を抑える

漢方の考え方によれば、体は「肝・心・脾・肺・腎」の五臓がほかの内臓や器官、組織の司令塔となっていて、それぞれが本来の内臓器官以上の働きをしています。

長いもが特に効果を発揮するのは、生殖、成長、発育、老化といった幅広い分野をコントロールし、元気を保ってくれる「腎」。そのため、体が弱い方や病中・病後、お年寄りなど体力のない方の滋養強壮にも効果的です。

■五臓とそれぞれが司る役割

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<五臓の詳しい解説はこちら>
更年期世代の心身のバランスはどう測る?漢方ならではの考え方


筋や骨を強化する

「腎」は、脳や骨、筋にも関係があります。長いもで腎を補うことは、年齢とともに衰えるこうした部位を強化し、老化を予防することにもつながります。


呼吸器や胃腸の機能を高める

長いもには五臓のうち、呼吸器系を司る「肺」や、食物の消化・吸収を司る「脾」の働きを促す作用も。呼吸器系や胃腸を整え、トラブルを予防・改善します。

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長いもは、更年期のどんな症状に効く?

長いもの働きを更年期の症状にあてはめると、次のような不調の改善が期待できます。

・ほてり
「手足は冷えているけど、頭はのぼせている」「頬の部分だけほてる」など、体の一部がのぼせたりほてったりする。

・乾燥
全身の潤い不足に伴う、髪の毛のパサつき、口の乾き、皮膚の乾燥による肌荒れ、口の乾きなど。

・足腰がだるい、腰が痛い
気が足りないことによる足腰のだるさのほか、腎との関係の深さから「腎の府」ともいわれる腰の痛みなど。

・耳鳴り
「聞こえにくい」「耳鳴りがする」など、腎の状態の影響が強く出る「耳」の諸症状。

【気になる更年期症状別】長いもと組み合わせたい食材は?

長いもそのものを食べることでもさまざまな更年期症状の改善が期待できますが、ほかの食材も組み合わせることで、さらに多くの更年期症状に効果を発揮します。

ここからは、更年期症状別に長いもと組み合わせて食べていただきたい食材をご紹介しましょう。

なお、通常、薬膳では消化がいい加熱料理をおすすめしていますが、長いもには生で食べても消化にいい酵素が多く含まれています。よって、消化力を高めたい場合は生食でもOKです。


多汗に悩む人に「長いも+梅」

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梅には、
・筋肉を引き締めて、汗や尿が出すぎるのを防ぐ
・唾液の分泌を促すなど、体の水分を補う
・腸の機能を整え、下痢を止める
といった働きがあります。

「暑くないのに、やたらと汗が出る」多汗に悩む方は、潤いを補う長いもと梅を合わせて、水分や腸の機能を調整しましょう。

<おすすめメニュー>
・長いもの梅和え...長いもを角切り、または短冊切りにして、叩いた梅干しで和えます。


足腰の衰えや冷えに悩む人に「長いも+ラム肉」

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ラム肉は、腎と胃腸を温める効果に優れています。長いもは腎の働きを補いますが、温める働きはないので、足腰の衰えや冷えに悩む方はラム肉をプラスしましょう。

<おすすめメニュー>
・ラム肉と長いものグリル...ラム肉と長いもをいっしょにグリルするだけ。ラム肉にシナモンやペッパーなどのスパイスをプラスすると、体を温める作用がより高まります。


口の渇きに悩む人に「長いも+トマト」

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トマトには、
・水分を補い、体の中の余分な熱を冷ます
・のぼせを解消する
といった働きがあります。

のぼせやほてり、口の渇きに悩んでいる人は、いずれもそれらの症状改善におすすめの長いもとトマトを合わせて、より効果を高めましょう。

<おすすめメニュー>
・長いもとトマトの簡単サラダ...長いもとトマトを角切りにして、ポン酢で和えます。
・長いもとトマトの炒め物...長いもは厚めの半月切りに、トマトは一口大に切り、フライパンで炒めて塩コショウやめんつゆで味をつけます。

長いもはいつでも買える優秀食材

長いもは、幅広い症状に効果を発揮する上、日常的に食べても問題のない優秀な食材。しかも、一年を通して安定した価格で購入できます。
体の状態や不調の内容によってプラスする食材を変え、つらい更年期症状の改善を目指しましょう。


お話を伺ったのは...

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杏仁美友(きょうにん・みゆ)さん

一般社団法人薬膳コンシェルジュ協会代表理事、国際中医師、中医薬膳師、漢方&薬膳アドバイザー。

漢方薬や薬膳で自身の体調不良を改善したことをきっかけに、漢方や薬膳の世界に興味を持ち始める。2011年に薬膳コンシェルジュ協会を設立して、薬膳や薬膳茶の資格講座の運営を行うほか、テレビや雑誌などの取材、レストランのメニュー監修、総合情報サイト「All About」の漢方・薬膳料理ガイド、薬膳サプリの商品開発、講演会なども精力的にこなしている。

マンガでわかるおうちで簡単! 薬膳・漢方」(池田書店)をはじめ、薬膳にまつわる著書も多数執筆。最新著書は「まいにちの食で体調を整える! プレ更年期の漢方」(つちや書店)。

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まいにちの食で体調を整える! プレ更年期の漢方」(つちや書店)
著:杏仁美友 定価:1,400円(+税)




※掲載している情報は、記事公開時点のものです。
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