健康リスクの軽減に!更年期以降は良質な油にこだわろう

女性ホルモン(エストロゲン)の減少により、中性脂肪が増えたり、太りやすくなったりする更年期。そのため、油の摂取を極力控えている人も多いと思います。
しかし、油の構成成分である脂肪酸は、体内で重要な役割を担っており、すべての油が「悪」というわけではありません。中には、更年期世代の女性にこそおすすめの油があるといいます。

ここでは、メノポーズカウンセラーの三浦知代が、更年期以降の女性におすすめの良質な油について、その理由と効果、食事での取り入れ方をご紹介します。

体にとって油は大切!ただ、とりすぎ注意の種類も...

――体内で油は、どのような働きをしているのでしょうか。

栄養学的にいうと、油は「脂質」にあたり、たんぱく質や炭水化物と同様、私たちの体に欠かせない成分です。おもな構成要素の「脂肪酸」は、エネルギー源になったり、ホルモンや細胞膜、角膜を構成したり、脂溶性ビタミンの吸収を促進したり、体を冷えから守ったりなど、体内で重要な働きをしています。

ただ、すべての種類の油が体にとって良い働きをするとは限りません。更年期世代は、どういう油を選ぶかが大切です。

――油を選ぶとは、どういうことですか。

脂肪酸は、次の図にあるように、大きく飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の2つに分けられ、不飽和脂肪酸はさらにいくつかに分かれます。これらは基本構造が違うほか、含まれる食品、体に与える影響も異なるものです。

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更年期世代の方に特に注意してもらいたいのが、飽和脂肪酸とトランス脂肪酸。飽和脂肪酸はお肉の脂身やバターなどの乳製品などに多く含まれているのに加え、体内ではたんぱく質や炭水化物の代謝物からも生成されます。おもにエネルギー源として使われる重要な栄養素ですが、中性脂肪の原料にもなるので、とりすぎには注意したいところです。

トランス脂肪酸は、マーガリンやショートニング、加工油脂など、植物油を高温にする過程で生成されるもの。悪玉コレステロールを増やすため、更年期世代の女性はとりすぎに注意したほうがいいといわれています。

また、スーパーなどで販売されているお惣菜を食べる方もいらっしゃると思いますが、その調理に使われている油にも要注意。特に、作ってから時間が経過した揚げ物は、油の酸化が進んでトランス脂肪酸が生成されています。

更年期以降は、えごま油やアマニ油など「オメガ3系」の油が◎

――では、更年期世代が積極的にとりたい油はどういうものでしょうか。

特に意識してとっていただきたいのは、多価不飽和脂肪酸の中でも「オメガ3系脂肪酸」と呼ばれる種類の油です。

オメガ3系脂肪酸とは、えごま油やアマニ油、しそ油に含まれるα-リノレン酸、青魚の油に多く含まれるDHAやEPAのこと。これらは必須脂肪酸と呼ばれ、私たちの健康維持に重要な働きを持っていますが、体内で作ることができないため、食事から摂取することが大切です。

――オメガ3系脂肪酸の油を、特に更年期世代におすすめする理由はどういうところにありますか。

更年期を迎えた女性は、女性ホルモン(エストロゲン)の減少によって、心臓や血管にまつわる疾患のほか、コレステロールや中性脂肪の増加といったリスクが高まります。

それに対し、オメガ3系脂肪酸の油は、心臓・血管系疾患の予防や改善、血中の中性脂肪を減らして動脈硬化を予防する効果、血栓ができるのを防ぐ働きが期待できるとされています。そのため、更年期以降の女性は、オメガ3系脂肪酸の油を意識してとっていただくことをおすすめします。

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1日小さじ1杯を毎日の習慣に

――オメガ3系の油を使うときのポイントはありますか。

オメガ3系の油は、熱に弱い性質を持っています。そのため、揚げたり炒めたりする加熱調理は避けてください
そのまま飲んでも、ドレッシングとしてサラダにかけてもいいですし、無味無臭の物が多いアマニ油ならヨーグルトや納豆にかけたり、コーヒーに入れたりするのもおすすめです。

また、光に弱く、空気にふれると酸化しやすいのも、この油の特徴。それらを防ぐため、購入する際は遮光容器に入っている物で、かつ短期間で使い切れる小さいサイズの物を選びましょう。

――オメガ3系の油は、1日にどれくらいの量をとるといいのでしょうか。

オメガ3系の油は、健康効果が明確になっているにもかかわらず不足しがちといわれているので、1日小さじ1杯程度の摂取を習慣化していただきたいです。

ただ、やはりバランスは大切。普段の食事にそのままオメガ3系の油をプラスしたのでは、全体として油のとりすぎとなってしまう場合も考えられます。ですから、飽和脂肪酸やトランス脂肪酸の油を多くとっている人は、その分減らすことを心掛けましょう。

――1日小さじ1杯程度でも健康効果が期待できるなら、すぐに取り入れやすいですね。

どの家庭でも魚が日常的に食べられていた頃に比べると、オメガ3系脂肪酸の摂取は足りていないのが現状です。必須脂肪酸というくらいなので、それだけ体にとってなくてはならない働きをする脂肪酸です。

加熱をしないで食べなければならないのは、少し面倒に感じるかもしれませんが、サラダや豆腐にかけるなど、自分の好きな食べ方を見つけると習慣にしやすいと思います。ぜひお試しください。




SUPERVISERこの記事を監修した人

三浦先生

PROFILE

三浦知代 (みうら ちよ)

管理栄養士/メノポーズカウンセラー

産婦人科病院の栄養課で、病院給食業務を経て、入院する前の食生活や、栄養摂取の必要性に興味を持ち、サプリメントの企画・販促に携わる道へ。

現在は(株)アドバンスト・メディカル・ケアに在籍し、エクオールサプリメントの販促担当として、日々、更年期症状に悩む女性へ向けて情報発信を行っている。


※掲載している情報は、記事公開時点のものです。
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