冷たい水で歯がしみる原因は...これって知覚過敏?

テレビCMなどでよく耳にする知覚過敏。冷たい水を飲んだときや、冷たい物を食べたときに歯がピリッと痛んで、知覚過敏ではないかと考えたことがある人も多いのではないでしょうか?
ここでは、知覚過敏の症状や原因、治療法のほか、知覚過敏にならないための予防法についてもご紹介します。

歯がしみるのは知覚過敏のせい?

知覚過敏の正式名称は「象牙質知覚過敏症」。歯の象牙質がむき出しになって、外部からの刺激が象牙細管を通って歯の内側の神経に伝わり、鋭い痛みを感じるようになる症状のことを指します。

知覚過敏の代表的な症状に「歯がしみる」といったものがありますが、歯がしみたからといって、必ずしも知覚過敏とは限りません。歯がしみるおもな原因としては、「むし歯」「歯周病」「知覚過敏」の3つが挙げられます。


むし歯と知覚過敏の痛みは似ている

むし歯と知覚過敏の痛みはよく似ています。どちらも、冷たい物や歯ブラシがふれたときなどに突然痛みが走ることがありますし、歯の状態によってしみる状況が異なることも珍しくありません。

知覚過敏になると歯肉が下がって根元が露出してしまい、歯が長く見えることがあります。しかし、歯自体は目視では問題がありません。一方、むし歯は黒くなって穴が空いていることもありますが、自分ではわからないことが多いでしょう。

むし歯と知覚過敏の違いとしては、おもに下記のようなことが挙げられます。

・痛みの持続性
知覚過敏の痛みは一時的だが、むし歯は継続的に痛い。

・歯を叩いたときの痛み
知覚過敏は歯を叩いても痛くないが、むし歯は痛い。

とはいえ、むし歯も一時的に痛みが落ち着くことはありますし、知覚過敏なら必ず叩いても痛くないとは限りません。自分で判断するのは難しいといえるでしょう。


歯がしみる原因を特定するには歯科クリニックへ

歯がしみると感じたら、自分で対処しようとするのではなく、歯科クリニックで診察を受けましょう。むし歯と歯周病の検査をした上で、該当しないのであれば知覚過敏であると判断できますし、知覚過敏の原因についてもある程度特定できます。

また、知覚過敏ではなく、むし歯や歯周病だった場合は、それぞれの原因に応じた治療を受けなければなりません。いずれにせよ、歯科クリニックで原因を特定し、適切に対処することが大切です。

知覚過敏の原因とは?

象牙質が何らかの原因で露出してしまうと、冷たい液体や風などによって神経が刺激されることがあります。これを知覚過敏といい、痛みに近い感覚を覚えることがあります。続いては、象牙質が露出してしまうおもな原因について見ていきましょう。

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加齢による歯肉の下がり

歯肉は、年齢とともに徐々に下がっていってしまいます。そうすると、これまで隠れていた歯の根元部分の象牙質が露出してしまうのです。


歯のすり減り

歯は、年齢とともに少しずつ摩耗していきます。それによって、歯の表面のエナメル質がすり減り、内部の象牙質が露出することがあります。また、強い力で歯磨きをすることは、歯肉の下がりや歯のすり減りの原因になる場合があります。


歯が溶けている

酸性食品をよく食べる人は、歯の表面が溶けて象牙質が露出することがあります。


歯の欠けや折れ

歯が欠けたり折れたりすることでも、象牙質が露出します。


むし歯治療

むし歯の治療で歯を削った際に、エナメル質が薄くなって知覚過敏が起こることもあります。

知覚過敏の治療法

知覚過敏があると、うがいや歯磨きの際に歯がしみて日常生活に支障をきたしますし、食事も楽しめません。「これって知覚過敏?」と気になる人は、歯科医院で適切な治療を受けましょう。続いては、知覚過敏の治療法を4つご紹介します。


こまめな歯磨きによる再石灰化

軽度な知覚過敏であれば、時間とともに自然と治ることもあります。これは、唾液や歯磨き粉の成分で歯が再石灰化することで、象牙質が覆われるためと考えられています。知覚過敏で歯が痛いからといって、歯磨きを怠らないようにしましょう。

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薬を塗布する

歯科クリニックで知覚過敏が起こっている象牙質の象牙細管をふさぐ薬を処方してもらい、それを塗ることで、症状をやわらげることもできます。また、知覚過敏の症状をやわらげる薬が配合された歯磨き粉も販売されています。


象牙質を覆う

露出してしまった象牙質をコーティングしたり詰め物をしたりすることで、刺激が伝わらないようにする治療法があります。


歯肉の手術などを行う

歯周病による歯肉の下がりが原因で知覚過敏になっている場合は歯肉の手術を行うほか、重症の場合は歯の神経を抜くこともあります。

知覚過敏の予防はできる?

知覚過敏は、人によって症状の出方が異なります。同じ生活を送っていても、知覚過敏になってしまう人と、ならずに済む人がいます。

とはいえ、知覚過敏は、こまめな歯磨きや歯周病予防である程度防ぐことが可能です。完全に予防することはできませんが、むし歯と歯周病対策をしっかり行うことが、知覚過敏の予防につながるといえるでしょう。

そのほか、酸性の飲み物を飲みすぎない、歯磨きをする際に力を入れすぎない、強い薬剤を使ったホワイトニングを避けるといった予防も有効です。

健康な歯を維持するために歯のケアを見直そう

知覚過敏をできる限り防ぐためにも、むし歯や歯周病になってしまわないためにも、こまめな歯のケアが大切です。
正しい方法で歯磨きを行うとともに、定期的な歯科検診とクリーニングを受けて、歯の健康を守っていきましょう。



この記事を監修したのは...
大西 孝宣(おおにし たかのり)歯科医師

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東京ミッドタウンデンタルクリニック
大江戸線「六本木駅」直結の歯科「東京ミッドタウンデンタルクリニック」。 むし歯、歯周病などの一般歯科診療から、矯正、インプラント、麻酔、口腔外科など、国内外で専門技術を磨いた医師が、患者様お一人おひとりにあった施術を提供しています。 治療は半個室、個室で対応。患者様が快適に過ごせる空間を創り上げ、リラックスできる環境で治療を受けていただくよう取り組んでいます。


※掲載している情報は、記事公開時点のものです。
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