口内フローラを良好に!菌バランスを整えてむし歯や歯周病を予防

一生懸命歯磨きをしているのに、なぜか口の中のトラブルが多い...。それは、もしかしたら口内フローラの乱れが原因かもしれません。
今回は、むし歯や歯周病の予防に役立つ、口内フローラの整え方をご紹介します。

口内フローラとは?

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口内フローラとは、善玉菌、悪玉菌、日和見菌の3種類の菌がバランス良く口内に存在する状態のこと。無数の細菌が集合体を作り、その様子がお花畑(フローラ)のように見えることから、口内フローラと呼ばれるようになりました。

・善玉菌
乳酸菌など、口内を健康に保つ働きをする常在菌のこと。善玉菌が多いと、口内フローラのバランスは良好です。

・悪玉菌
悪玉菌は、口内のさまざまなトラブルを引き起こすほか、全身の健康にも影響を与えます。歯周病を引き起こすジンジバリス菌と、むし歯の原因となるミュータンス菌の2つが代表格といわれています。

・日和見菌
口内細菌の多くを占めるのが日和見菌です。健康なときはおとなしくしていますが、口内環境が悪化して悪玉菌が優勢になると、それを抑え込めずに口内で悪い働きをします。

口内フローラの善玉菌・悪玉菌の割合は、善玉菌9割、悪玉菌1割程度が理想的。そのため、できるだけ善玉菌を優勢に保ち、日和見菌を味方につけておくことが大切です。

口内フローラが乱れる原因とその影響

口内フローラが乱れる原因は、大きく2つあります。
ひとつは、歯磨きが不十分であること。汚れが溜まった口内は、細菌の繁殖に絶好の環境です。悪玉菌は糖質がエサになるため、白米や砂糖などの炭水化物をとりすぎることも、悪玉菌が活性化する要因になります。

もうひとつは、唾液が減少することです。唾液は、口に残った食べ物を洗い流したり、菌の増殖を抑えたりと、口内フローラを維持する上で欠かせない存在。また、自浄作用を発揮し細菌を洗い流して、口内を常に清潔に保ってくれる働きもあります。
唾液はストレスや加齢、口呼吸などで減少し、これによって自浄作用や殺菌作用が落ちるため、悪玉菌が優勢に転じてさまざまなトラブルを引き起こします。

では、口内フローラが乱れると、どのようなことが起きるのでしょうか。具体的な影響を挙げてみます。

・歯が溶ける/むし歯ができる
むし歯菌であるミュータンス菌の好物は、食べかすに含まれる糖分です。歯磨きで落としきれなかった糖分を分解してプラークを作り、さらに酸を作って歯のエナメル質を溶かします。これが進行し、歯に穴が空いた状態がむし歯です。

・歯周病菌が増える
歯周病菌が増殖すると、歯周病を発症しやすくなり、歯と歯肉を支える骨が破壊されて歯がぐらついたり、抜けたりします。歯周病菌が血液にのって全身に回り、動脈硬化や脳梗塞といった全身疾患のリスクを高めることも。

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・口臭がきつくなる
歯周病菌がたんぱく質を分解するときに出すガスは、口臭の原因のひとつです。歯周病菌が増えるにしたがって、口臭もきつくなってしまいます。

口内は呼吸器の末端であり、口内フローラの乱れは、さまざまな疾患の引き金になりやすいといわれています。また、口内細菌は血管内に侵入する可能性が高く、それがきっかけとなり、深刻な疾病につながることも...。
更年期以降のQOL(生活の質)を保つには、口内フローラをいかにいい状態で保てるかが重要になってくるのです。

口内フローラを整える生活習慣

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では、口内フローラを良好に保つには、どうすれば良いのでしょうか。善玉菌を増やす生活習慣のポイントを3つご紹介します。


1 正しく歯磨きをする

口内フローラのバランスを維持する上で、歯磨きは最も重要です。
歯を1本1本丁寧に磨くことはもちろんですが、歯と歯の境目や歯と歯肉の境目など、汚れが溜まりやすい所は、特に意識して磨くようにしましょう。歯間ブラシやデンタルフロスなども使って、しっかり汚れを落とすことをおすすめします。

歯を磨くタイミングは毎食後が望ましいですが、さらに「就寝前」の歯磨きが重要です。睡眠中は唾液の分泌が低下して細菌が繁殖しやすいので、少しでも口内をきれいにしてから寝るようにしてください。


2 ドライマウス対策をする

唾液には、細菌を洗い流して菌の増殖を抑え、口内を清潔に保つ効果があります。
唾液の分泌が減る原因は、年齢を重ねて口の周りの筋肉や唾液腺の働きが低下することや、ストレスや糖尿病、甲状腺などの病気、薬の副作用などさまざま。特に更年期は、女性ホルモン分泌量の低下に伴って、唾液の分泌量も減少するため、ドライマウスになりやすいといわれています。ドライマウスになると、口内の自浄作用が低下するため、歯周病の原因となる歯周病菌が活動しやすくなるのです。

乾燥が進む前に原因を見極めて、鼻呼吸を意識する、唾液腺のマッサージをするなど、できるだけ早く改善を図りましょう。

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3 定期的にプロフェッショナルケアを受ける

歯磨きのブラッシングには人によって癖があり、無意識のうちに磨きやすい所にばかり歯ブラシをあててしまうものです。そのため、どんなにきれいに磨いているつもりでも、磨き残しは必ず発生します。
重要なのは、磨き残しを放置しないこと。定期的に歯科クリニックを受診して、プロフェッショナルのクリーニングを受けましょう。
歯科クリニックでは、いつも磨けていない場所のケアや、正しいブラッシングの仕方を教えてもらうことができ、ホームケアに活かせます。

口内フローラを整えて、すこやかな毎日を!

口内フローラのバランスを良好に保つには、食事によって口内の乳酸菌を増やしたり、悪玉菌の繁殖を抑えたりすることも有効です。口内の乳酸菌は年齢とともに減り続けるため、手軽に乳酸菌をとれるヨーグルトなどを毎日の食生活にプラスするといいですね。また、緑茶などに含まれるカテキンは、歯周病菌のような悪玉菌の繁殖を抑える働きを持っていると考えられています。
口内フローラのバランスを整えると、むし歯や歯周病のリスクを防ぐだけでなく、全身の健康維持にもつながります。すこやかな毎日を送るためにも、今すぐできることから始めてみましょう。

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この記事を監修したのは...
大西 孝宣(おおにし たかのり)歯科医師

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東京ミッドタウンデンタルクリニック
大江戸線「六本木駅」直結の歯科「東京ミッドタウンデンタルクリニック」。 むし歯、歯周病などの一般歯科診療から、矯正、インプラント、麻酔、口腔外科など、国内外で専門技術を磨いた医師が、患者様お一人おひとりにあった施術を提供しています。 治療は半個室、個室で対応。患者様が快適に過ごせる空間を創り上げ、リラックスできる環境で治療を受けていただくよう取り組んでいます。


※掲載している情報は、記事公開時点のものです。
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