更年期は口内炎が起きやすいって本当?お口のケアを見直そう

心身にさまざまな影響が出る更年期は口内の環境が変わりやすく、口内炎ができやすい時期でもあります。口内炎になってしまうと、食べられる物が限られたり、ちょっとした刺激で強い痛みを感じたりして、QOL(生活の質)がグッと下がってしまいますよね。
毎日を快適に過ごすために、口内炎の原因や種類のほか、更年期の口内炎対策について知っておきましょう。

口内炎の原因は?

そもそも、口内炎はなぜできるのでしょうか。まずは、口内炎ができるおもな原因について解説します。


1 感染

口内炎の原因のひとつであるウイルス感染症は、単純ヘルペスウイルスによって生じる「口唇ヘルペス」と、口蓋にできる「潰瘍(かいよう)」が最も広く知られています。それ以外にも、水痘(水ぼうそう)や帯状疱疹という痛みを伴う皮膚の病気の原因である水痘帯状疱疹ウイルスなど、多くのウイルスによって口内炎が生じることがあります。
また、細菌感染によって口内炎が生じることもあります。細菌感染は、正常時に口内に存在している細菌の異常増殖や、新たにもちこまれた細菌によって起こる場合があります。


2 免疫力の低下

栄養不足や疲労・ストレスによる免疫力の低下が起こると、口内炎ができやすくなります。これは、免疫力の低下によって、口の中に細菌が繁殖しやすくなるためです。


3 ドライマウス

ドライマウスとは、口の中が乾燥してしまう状態のこと。唾液には、細菌を洗い流して口内を常に清潔に保ち、外的刺激を防ぐ役割があります。そのため、ドライマウスになると口内の自浄作用が働かなくなり、口内炎のリスクが高まるのです。特に、女性ホルモンの分泌量が低下する更年期以降の女性は、ドライマウスになりやすいといわれています。

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4 口の中のケガ

頬や舌を噛んでしまったり、口の中をやけどしたりすると、そこから炎症が起こって口内炎ができてしまうことがあります。また、歯列矯正の矯正器具や、入れ歯・差し歯などが口の中を傷つけて口内炎ができることもあります。

更年期の女性は口内炎ができやすい?

女性ホルモンが乱れやすい更年期の女性は、口内炎のリスクが高いといえるでしょう。
女性ホルモンが低下すると、脳は「女性ホルモンをもっと分泌して」という命令を出しますが、これがうまくいかないと、自律神経が乱れます。そうすると、免疫力の低下や口内の乾燥が起こり、口内炎ができやすくなってしまうのです。
また、更年期の睡眠不足や心身の疲労、ストレスなども、口内炎ができやすくなる一因といわれています。

口内炎の種類

口内炎は、原因によってさまざまな種類に分類できます。ここからは、おもな口内炎の種類について見ていきましょう。


アフタ性口内炎

口内炎の中で最も一般的なのが、アフタと呼ばれる直径数ミリの大きさの円形や楕円形の浅い潰瘍(かいよう)の再発を繰り返しやすいアフタ性口内炎です(再発した炎症は「再発性アフタ性口内炎」と呼ばれます)。
特徴は、頬の内側や舌などに白っぽい突起ができて、周りが赤くなること。ふれると痛みがあり、口唇の粘膜や頬の粘膜、舌などによく発生します。痛みを伴いますが、1~2週間程度で自然に治る場合がほとんどです。


カタル性口内炎

カタル性口内炎は、矯正器具などの接触や、口内に傷ができたときの細菌の繁殖のほか、熱湯や薬品の刺激などが原因でできる口内炎です。口の粘膜が赤く腫れたり水疱ができたりするのが特徴で、刺激のある食べ物などによってしみたり、痛みを伴ったりすることがありますが、通常は1~2週間程度で自然に治ります。
アフタ性とは異なり、口内炎と正常な粘膜の境界が不明瞭で、口臭が発生したり、口の中が熱く感じたりすることもあります。


ウイルス性口内炎

ウイルス性口内炎は、ウイルス感染によってできる口内炎です。原因となるウイルスによって、ヘルペス性やカンジダ性などの種類に分けられます。
口唇などに小さい水疱ができ、特にヘルペス性は強い痛みや発熱を伴うのが特徴です。痛みによって水分や食物がとりにくくなる可能性があり、抗ウイルス薬で治療が行われます。


そのほかの口内炎

アレルギー由来の口内炎や、細菌を原因とする口内炎など、口内炎には多くの種類があります。
起こる頻度の高いアフタ性口内炎やカタル性口内炎は、時間の経過とともに自然に治りますが、なかなか治らない場合は、アレルギーやウイルス感染など、異なる原因が潜んでいる可能性も。
1週間以上経っても口内炎が治らない場合や、症状がひどくて日常生活に支障をきたす場合は、歯科クリニックで診察を受けましょう。

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自宅でできる口内炎対策

日々を健康に過ごすために、口内炎ができにくい生活を心掛けたいもの。最後に、自宅でできる口内炎対策についてご紹介します。


睡眠をしっかりとる

睡眠サイクルが不規則になっている人や睡眠不足の人は、免疫力が落ちやすく、口内炎ができる可能性も高くなります。口内炎に悩まないためにも生活リズムを整え、心身の疲労を癒やすのに十分な睡眠時間を確保しましょう。


食事内容を見直す

栄養バランスの良い食事を1日3食、なるべく同じ時間にとりましょう。口内炎の予防には、ビタミンA・B・C、たんぱく質、亜鉛などの栄養素が役立ちます。口内炎を予防するために、香辛料のような刺激物やアルコールのとりすぎにも注意したいところです。

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うがいを習慣化する

うがいをすることで、口の中を清潔に保ちやすくなります。最初に、ぶくぶくうがいで口の中の汚れを洗い流してから、喉の洗浄を目的とするガラガラうがいをしましょう。数回繰り返すと効果的です。


毎食後の歯磨き

毎食後に歯磨きをすることも、口の中を清潔に保つことにつながります。磨き残しを防ぐために、ヘッドの小さいブラシを使うのがおすすめです。
また、歯と歯のあいだの汚れを取るために、デンタルフロスや歯間ブラシの活用を習慣化しましょう。


意識的に水分をとる

水分をとることで、口の中の乾燥を防いで、健康な口内環境を保つことができます。水分をあまりとらない自覚がある人は、今日から意識して水分をとるようにしましょう。
水以外の飲み物を飲むときは、ノンシュガー、ノンカフェインの物がおすすめです。

生活習慣を見直して口内炎を予防しよう

口内炎は、更年期に起こりやすいトラブルのひとつです。
さまざまな症状に見舞われやすい更年期に不快な症状を増やさないためにも、睡眠や食生活など生活習慣を見直して口内を清潔に保ち、口内炎を予防しましょう。


この記事を監修したのは...
大西 孝宣(おおにし たかのり)歯科医師

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※掲載している情報は、記事公開時点のものです。
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