歯列矯正、大人は何歳まで?更年期世代が矯正するメリットと注意点

近年、歯列矯正を行う大人が増えています。皆さんの中にも、コロナ禍でマスクが必須になり、「口元が隠れているうちに歯列矯正をしたい」と考えている人がいるかもしれません。
「歯列矯正は子供がするもの」というイメージを持っている人も多いようですが、大人になってから矯正をしても、十分効果が期待できます。ここでは、更年期世代が歯列矯正を行うメリットや注意点についてご紹介します。

歯列矯正は何歳まで効果がある?

歯並びの乱れは「不正咬合(ふせいこうごう)」と呼ばれ、その原因は大きく分けて、遺伝や乳歯のむし歯、口腔習慣の3つといわれています。
歯列矯正ができるかどうかは、歯や歯肉、歯槽骨、顎などの健康状態によって決まります。これらの状態に問題がなければ、更年期以降であっても歯列矯正が可能です。

治療法は、ワイヤーによる矯正や、近年ではマウスピース型装置による矯正が一般的。歯並びの乱れを1歯ずつ整えていくことで、不正咬合の改善を目指します。効果の程度は人によって異なりますが、きれいな歯並びや健全な噛み合わせを手に入られる場合が多いでしょう。
実際に、矯正歯科専門医による治療事例には、70歳代で矯正をして、歯並びを整えたケースも学会等において紹介されています。

更年期の歯列矯正は時間がかかる?

これから永久歯に生え変わる子供の歯列矯正と比べると、大人の矯正は時間がかかる可能性が高いでしょう。成人であれば、青年期でも更年期でも矯正期間に大きな違いはなく、個人差はありますが約半年~3年程度です。

ただし、口の中の状態や治療方法によっては、完了まで長くかかることも。具体的に、どのくらい時間がかかるか知りたい人は、矯正歯科で診察を受けてみてください。

大人が歯列矯正を行う3つのメリット

大人の歯列矯正には、子供の矯正とは違うメリットがあります。続いては、大人ならではの歯列矯正のメリットを3つご紹介します。


1 顎の成長が終わっているため、矯正の計画を立てやすい

子供の歯列矯正は、顎の成長過程で行う治療です。歯を動かしやすいというメリットがある反面、成長の度合いを観察しながら治療を進めなければならないこともあり、治療期間が長くなってしまうという問題も。
一方、大人の歯列矯正は、顎の成長が終わった状態で治療を行うことから、具体的な計画を立てられます。さらに、子供とは異なり、歯のお手入れや矯正器具の管理などを適切に行えるため、確実な治療が可能です。

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2 噛み合わせを良くすることで歯の健康を保ちやすくなる

噛み合わせを良くすると、歯の健康を保ちやすくなります。「40代、50代になってから矯正をしても...」と思う人もいるかもしれませんが、人生100年時代といわれる昨今、更年期はまだまだ人生の折り返し地点。長く続く人生において、歯の健康はとても大切なものです。
歯列矯正によって、噛み合わせの良い歯や磨きやすく手入れしやすい歯を手に入れることは、QOL(生活の質)を上げることにもつながります。


3 肩こりや腰痛などの改善につながるケースも

更年期の女性の中には、肩こりや腰痛といった悩みを抱えている人も少なくないでしょう。このような体の痛みや不調は、年齢とともに増していくものです。

肩こりや腰痛の原因はさまざまですが、中には噛み合わせが原因となっているケースもあります。
顎の関節や下顎の骨がうまく動いていなかったり、ずれが生じていたりすると、筋肉に負担がかかります。それによって、首や肩が傾いた姿勢になってしまい、肩こりや腰痛が起こってしまうことも...。また、更年期の女性の悩みとして多い頭痛も、噛み合わせが原因になっていることがあるそうです。

歯列矯正を行って歯並びが整うと、関節の動きがスムーズになって筋肉の負担が軽減され、症状の軽減や姿勢の改善などにつながるのです。

更年期世代が歯列矯正をするときの注意点

更年期世代が歯列矯正をする場合は、健康状態に配慮が必要です。持病がある人は、歯列矯正を問題なくできるかどうか、あらかじめ主治医に確認してください。
ここからは、更年期世代の歯列矯正の注意点について見ていきましょう。


歯周病への配慮が必要

歯周病にかかっている人が歯列矯正を行うと、歯肉がさらに下がってしまったり、歯や骨がダメージを受けたりする可能性があります。

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歯周病は、日本人の多くが患っている病気です。厚生労働省が2016年に行った調査では、35~69歳の約7割が歯肉に所見を有していることがわかっており(※)、年齢を重ねるにつれて重症度が増していくという結果が出ています。
病状が進むと歯列矯正が難しくなる可能性があるため、歯周病の治療を検討している場合は早めの受診がおすすめです。

※出典:厚生労働省「歯周病罹患の現状と対策について」(2021)1頁

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これって歯周病?軽度・中度・重度の症状の特徴と治療の流れ


持病への配慮が必要

歯周病以外の疾患を持っている人も、その種類によって配慮が必要になる場合があります。歯科医師だけでなく、持病を診てもらっているかかりつけ医とも連携をとって、治療を進める必要があるでしょう。

例えば、骨粗しょう症の治療を行っている場合、一定以上の期間、服薬あるいは注射による薬の投与をお休みしなければ抜歯ができません。また、定期的にCTやMRIなどの検査を受けている人は、口内にある歯列矯正の装置により、診断する撮影画像に影響が出てしまう可能性や、検査の都度、矯正装置を外す場合があります。

歯科矯正は大人になってからでも遅くはない!

歯列矯正は、更年期の女性にとっても十分メリットのある治療法です。健康面でのメリットはもちろん、歯並びが整うと、自信につながることもあるでしょう。
歯並びが気になっている人は、この記事でご紹介したメリット・デメリットを参考に、歯科矯正を初めてみてはいかがでしょうか?


この記事を監修したのは...
大西 孝宣(おおにし たかのり)歯科医師

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東京ミッドタウンデンタルクリニック
大江戸線「六本木駅」直結の歯科「東京ミッドタウンデンタルクリニック」。 むし歯、歯周病などの一般歯科診療から、矯正、インプラント、麻酔、口腔外科など、国内外で専門技術を磨いた医師が、患者様お一人おひとりにあった施術を提供しています。 治療は半個室、個室で対応。患者様が快適に過ごせる空間を創り上げ、リラックスできる環境で治療を受けていただくよう取り組んでいます。


※掲載している情報は、記事公開時点のものです。
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