【医師監修】むくみが気になる方は必見!解消法と予防方法を解説

長時間のデスクワークや立ち仕事のあと、あるいはお酒を飲み過ぎた日の翌朝などに、「顔や足がむくんでいる」と感じたことはありませんか?むくみを放置すると、不快感や疲労感が長引くだけでなく、皮膚トラブルの原因になることもあります。

本記事では、そんなむくみを解消する方法を詳しく解説します。記事の後半では、日常的に意識したい予防方法も紹介していますので、そちらもあわせてご覧ください。

むくみとは

むくみとは、細胞と細胞の間の液体(間質液)が余分に蓄積している状態を指し、医療的には、"浮腫(ふしゅ)"とよばれています。主に顔やまぶた、手足などが膨れ上がるように腫れて、指で押すと跡がしばらく残るのが特徴です。

また、むくみには生活習慣の乱れで起こる"一過性"のものと、病気が原因で起こる"慢性"のものが存在します。病気が原因の場合、急にひどいむくみとして症状が出ることもあります。詳しくは後述しますが、それぞれの原因や状態が異なるため、正しく理解することが重要です。

むくみやすい人の特徴

むくみやすい体質にはさまざまな要因がありますが、そのなかでも筋肉量が大きく関係しています。
筋肉は、血液やリンパの流れをサポートするポンプのような役割を担っており、特にふくらはぎは"第二の心臓"ともよばれるほど重要な部位です。

しかし、運動不足や加齢により筋肉量が低下すると、体内の水分を循環・排出させることが難しくなり、むくみやすくなります。筋肉量を低下させないためにも、日常生活の中で体を動かす習慣をつけることが大切です。

一過性のむくみの原因

一過性のむくみが起きている場合は、生活習慣が大きく影響している場合があります。その具体的な習慣は以下の通りです。

一過性のむくみの原因

  • 長時間同じ体勢のままで過ごしていて足を動かさない
  • 普段から運動をしない
  • 塩分やアルコールをとり過ぎている
  • 栄養のバランスが悪く、タンパク質が不足している
  • 健診などで、中~高度の貧血(血色素:Hbの低下)を指摘されている

該当する項目がある場合は、日々の生活を見直す必要があります。

慢性的なむくみの原因

慢性的なむくみの場合は、心臓や腎臓の病気などが原因の可能性があります。病気が疑われる症状は、以下の通りです。

病気が疑われる主な症状

  • むくみが数日間続いている
  • 足の痛みを伴う
  • 体重が急増する
  • 息切れする
  • 尿が出にくい場合がある
  • むくみに明らかな左右差がある

このような症状がみられる場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

部位別にみるむくみの解消法

ここからは、むくみの解消法を部位ごとに紹介します。簡単に実践できる方法が多いので、すき間時間に試してみてください。

ふくらはぎ~足先

ふくらはぎ~足先のむくみが気になる方は、軽い運動やマッサージを取り入れてみてはいかがでしょうか。簡単にできる運動として、かかとの上げ下げや、仰向けで寝た状態で、両足を上げながら軽くぶらぶらと揺らすといった方法があります。

足先がむくむ場合は、つま先の運動や、足指一本一本をマッサージするなどして、血行を促進しましょう。

また、内くるぶしから指4本分上にある"三陰交(さんいんこう)"というツボを優しく押すのも効果的です。このツボを刺激すると、血流が促進され、身体の内側から温まりやすくなります。

手は、顔や足と同様にむくみやすい部位といわれています。定期的に両手を組んで背伸びをしたり、腕を回したりして、血流を促しましょう。肘を伸ばして手を心臓より高い位置に上げて、ゆっくりグーパーグーパーと握ったり開いたりするのもむくみ解消に有効です。
そのほか、アームウォーマーといったグッズを着用して、常に温めておくのもいいでしょう。

起床したときに顔がむくんでいる場合は、温水と冷水で交互に洗顔をするのがおすすめです。温水と冷水を両方使用して、血管の伸び縮みを促すことで、むくみを和らげます。

さらに、むくみをケアしたい場合は、ホットタオルを活用すると便利です。電子レンジで1分ほど温めたタオルを顔に1~2分乗せたあと冷水で洗顔します。これを2~3回繰り返すことで、血行促進と引き締めが期待できます。朝のスキンケアにひと工夫加えることで、すっきりとした表情で1日をスタートできるでしょう。

普段から意識したいむくみの予防方法

最後に、日常生活のなかで取り入れやすい、むくみの予防方法を紹介します。
できそうなことから少しずつ実践してみてください。

適度に運動する

適度な運動は、血液の循環を促すため、むくみの予防に非常に効果的です。

定期的にランニングやウォーキングをすることが理想ですが、なかなか継続できない方もいらっしゃるかもしれません。そのような場合は、エレベーターの代わりに階段を利用する、または一駅分歩くといった、日常生活のなかで無理なくできそうなことから始めてみてはいかがでしょうか。

塩分を控える

塩分をとりすぎると、むくみだけでなく、高血圧や心臓疾患などのリスクも高まるため、要注意です。
特に日本人は塩やしょうゆ、みそなどの調味料を使うことが多い傾向にあるため、塩分を過剰に摂取しやすいといわれています。そのため、まずは塩分の多く含まれるインスタント食品やスープ類をできるだけ控えて、だしや素材を活かした料理を作ってみましょう。

また、無理せずに塩分を抑える習慣を身につけるために、減塩された調味料や食品を取り入れてみるのもおすすめです。

塩分排出を助ける栄養素を摂る

塩分を過剰に摂取する傾向がある日本人にとって、カリウムの摂取は欠かせません。
カリウムには細胞内外の水分量を調節し、塩分を排出する役割があるため、むくみの予防に役立ちます。

カリウムが多く含まれる食材

  • バナナ
  • キウイフルーツ
  • アボカド
  • ほうれん草
  • 昆布

カリウムは水に溶けやすい性質があるので、加熱調理するときは、蒸したり、レンジで加熱したりするのがおすすめです。
なお、腎機能に問題がある方は、カリウムの過剰摂取により高カリウム血症になるおそれがあるため、事前に医師と相談しましょう。

アルコールを控える

アルコールの過剰摂取は、むくみの原因になる可能性があります。

お酒を飲み過ぎた日の翌日に、顔やまぶたが腫れていた経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。アルコールには利尿作用があり、体内の水分が失われると血液濃度が上昇します。その状態を調整しようと身体が水分をため込み、結果としてむくみが生じてしまうのです。

このようにお酒の飲み過ぎは、見た目だけでなく体内環境にも影響を及ぼします。身体への負担を減らすためにも、飲酒は適量を心がけ、定期的に休肝日を設けることが大切です。

弾性ストッキングを着用する

足のむくみを予防するのにおすすめなのが、弾性ストッキングです。

弾性ストッキングは、足を圧迫するために特殊な編み方で作られており、適度な圧力をかけることで、血液やリンパ液の流れを促進します。慣れるまで履きにくく感じるかもしれませんが、毎日継続して着用することで、むくみにくさを実感できます。
薬局や通販サイトで購入できるため、ぜひ活用してみてください。

身体を締め付ける服は避ける

体の締め付けが強いストレッチ性のない服装は血行を妨げ、むくみや疲労を招く原因になるため、避けたほうがよいかもしれません。

特に、ガードルやタイトなボトムスには注意が必要です。これらを着用すると、手足などの血行が滞りやすい部位に影響が及びます。そのため、スカートやワンピースといった圧迫の少ないアイテムを選ぶことをおすすめします。

体を冷やさないようにする

身体を温めることは、むくみの予防に効果的です。

特に、足はむくみやすいため、足首からふくらはぎを冷やさないことが重要です。足を温めるためには、毎日湯船に浸かりたいところですが、忙しい日々のなかで時間を確保するのは難しい場合もあります。そんなときは、足湯だけでも取り入れて、就寝前に身体を温めるだけでも効果が期待できます。
また、季節を問わず、レッグウォーマーやひざ掛けを使用して冷え対策を行うことも、むくみの対策として有効です。

日々の小さな積み重ねでむくみを予防しよう!

今回は、むくみの解消法と予防法を解説しました。

むくみは、排出されるべき水分が蓄積している状態で、顔や手足が膨れ上がるように腫れる症状がみられます。
原因は多岐にわたりますが、生活習慣の見直しや、マッサージを行えば、症状を緩和できます。

もしむくみが長期間改善されない、あるいは急に強く症状が出てきた場合は、病気の可能性があるため、早めに医療機関を受診しましょう。


SUPERVISERこの記事を監修した人

佐野先生

PROFILE

佐野 純子 (さの じゅんこ) 医師

医学博士
専門分野:循環器内科

東京ミッドタウンクリニックに勤務。日本医科大学医学部医学科卒業。日本医科大学、セントルイス大学循環器科勤務を経て現在に至る。総合内科専門医。循環器専門医。日本抗加齢医学会専門医、認定産業医、認定健康スポーツ医、人間ドック認定医。

東京ミッドタウンクリニック:https://www.tokyomidtown-mc.jp/



※掲載している情報は、記事公開時点のものです。
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