【医師監修】歯周病菌が全身をめぐるってホント?口腔ケアのポイントも紹介

東京ミッドタウンデンタルクリニック

中村 都(専門分野:一般歯科・審美歯科)

「歯茎(歯肉)がなんとなく腫れているかも」
「歯磨きすると血が出る」

そんなサイン、つい見過ごしていませんか?
実はこのような歯周病の症状は、口の中だけのトラブルにとどまらないことがわかってきています。最近の研究では、歯周病が心臓病や脳梗塞、糖尿病といった全身の病気と深く関わっていることが明らかになっており、口腔ケアの大切さがますます注目されています。

この記事では、歯周病菌が体の中をどう巡り、どのような健康リスクにつながるのかをわかりやすく解説します。

また、今日から実践できるケアのコツも紹介しているので、「ちょっと気になるかも...」という方も、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。

歯周病と心臓の意外な関係

歯周病と聞くと「歯茎(歯肉)が腫れる」「出血する」といったイメージが強いかもしれませんが、実は心臓の健康とも深く関わっていることがわかっています。
特に歯周病が進行すると、動脈硬化が進みやすくなり、狭心症や心筋梗塞といった重大な心臓の病気のリスクが高まると言われています。実際、60歳未満で重度の歯周病がある人は、心血管疾患で亡くなるリスクが約2.5倍になるというデータも、アメリカの長期的な研究で報告されています。

「歯周病はお口の中だけのこと」と軽く考えず、全身の健康にも関わる大切なサインとして意識していくことが大切です。

歯周病菌とは

歯周病を引き起こす歯周病菌は10種類以上確認されており、同時に何種類か感染していることも珍しくありません。これらの菌は、毎日の食事や歯みがきなどの刺激によって、歯茎の血管から体内に入り込んでしまうことがあります。

歯茎の炎症を引き起こすだけでなく、血管の内側に付着して全身をめぐることができるため、血管内で炎症を起こしたり、動脈硬化や血栓を作りやすくしたりする働きもあるとされています。こうした菌の動きが、心臓や脳といった大切な臓器に悪影響を及ぼすことにつながるのです。

例えば、朝起きて鏡を見たときに「なんだか歯茎が赤いな」「歯磨きのたびに血が出る気がする」と感じたら、それは歯周病菌が活発になっているサインかもしれません。

口腔内の健康が心臓を守る

歯周病菌が血管に入り込むと、血管の炎症や動脈硬化の原因になるプラーク(沈着物)を作りやすくし、結果的に血流を悪くしてしまいます。その影響で、狭心症や心筋梗塞などのリスクが高くなることもあるのです。

しかし、日々の口腔ケアをきちんと行うことで、心臓の健康を守ることにもつながります。歯周病の予防や早めの治療を心がけることが、全身の健康リスクをぐっと減らしてくれます。
実際に、個人差はありますが、歯周病の治療を始めたことで「血圧が安定した」「最近体調がいい気がする」と感じる方もいます。
だからこそ、毎日のケアを少しだけ丁寧にしてみることがとても大切です

さまざまな疾患を引き起こす歯周病のリスクについて

歯周病は、実は心臓病をはじめとするさまざまな全身の病気と関わりがあることをご存じでしょうか?
ここでは、歯周病がどうして体のあちこちに影響するのか、その仕組みをわかりやすく解説していきます。

心臓疾患

歯周病が進行すると、歯茎にある毛細血管から細菌や炎症物質が体内に入り、血液に乗って全身を巡っていきます。血管の中で炎症を引き起こすと、動脈硬化を進めてしまい、血管が詰まったり細くなったりして、心臓病のリスクが高くなることがわかっています。

さらに、歯周病菌が心臓の内膜にくっついてしまうと、「感染性心内膜炎」という重い病気につながることも。こうしたリスクは、歯周病をそのままにしておくことで、どんどん高くなってしまうため、気づいたら早めにケアすることがとても大切です。

全身疾患

歯周病は、心臓だけではなく他の臓器や体調にも大きく関わっています。その代表例が糖尿病です。なぜなら、歯周病があると血糖が正しくコントロールできなくなることがあるためです。逆に、糖尿病があると歯周病も悪化しやすくなる悪循環が起きることもあります。だからこそ、糖尿病をお持ちの方に口の中のケアは欠かせません。

また、歯周病菌が脳の血管に到達すると、脳梗塞のリスクが高くなるという研究結果もあります。特にご高齢の方は、こうした全身疾患の引き金にならないよう、普段からのケアがとても大切です。

さらに、妊娠中の女性も注意が必要。歯周病をそのままにしておくと、炎症によって胎盤に影響が出て、早産や低体重児のリスクが高まる可能性があります。

そしてもう一つ見逃せないのが「誤嚥性肺炎」。口の中の細菌が唾液や食べ物と一緒に気管に入ってしまい、肺に感染を起こすこともあります。

歯周病対策や病気の予防のために今日から始める習慣

歯周病を防ぐためには、毎日のケアと生活習慣の見直しが欠かせません。ここでは、すぐに取り入れられる習慣をわかりやすくまとめました。

正しいブラッシング

歯みがきは、歯と歯茎の境目に歯ブラシを45度くらいの角度であてて、小さく優しく動かすのがポイントです。つい力を入れてしまいがちですが、強くこすりすぎると歯茎を傷つけてしまうので、やさしく丁寧にしてください。
特に奥歯や歯並びが気になる部分は、鏡を見ながら1本ずつ磨くつもりでケアしてあげるいいでしょう。歯ブラシは、毛先が開いたらすぐに交換しましょう。電動歯ブラシも上手に使うと、より効率的に磨けますよ。

「毎日歯みがきしてるのに...」という方でも、実は"正しい磨き方"を知らなかった、ということも少なくありません。ちょっとした意識で、歯周病菌の繁殖はぐっと抑えられます。

補助的清掃

歯ブラシだけでは届かない歯と歯のすき間の汚れは、デンタルフロスや歯間ブラシの出番です。毎日のケアに取り入れることで、歯周病だけでなく虫歯や口臭の予防にもつながります。

初めて使う場合は、歯医者さんで使い方を教えてもらうと安心。ブリッジやインプラントがある方も、ぜひ取り入れてみてください。

定期検診

「歯医者=痛い・怖い」というイメージがあるかもしれませんが、最近はリラックスできる雰囲気で、説明もとても丁寧な歯科クリニックが増えています。

3~4ヵ月に1回を目安に、歯科検診を受けることで、歯周病や虫歯の"初期のサイン"に気づくことができます。また、正しいブラッシングやフロスの使い方もアドバイスしてもらえるので、一度プロに見てもらうのもおすすめです。

生活改善

歯周病予防には、毎日の生活習慣の見直しも欠かせません。

  • 禁煙
    タバコは歯周病を進行させる大きな原因のひとつ。禁煙するだけでも、お口の環境は改善します。
  • 甘いものや間食の見直し
    糖分のとりすぎは虫歯や歯周病のリスクに。控えめを意識するだけでもOK。
  • ストレスケア
    ストレスが多いと免疫力が低下し、歯周病が悪化しやすくなるため、リラックスタイムを大切に。
  • 睡眠や運動
    体調が整うとお口の健康にもいい影響が出やすくなります。

一気に生活習慣を変えるのは難しいので、この中からまずは一つ実践できそうなものを選びましょう。健康への第一歩になりますよ。

歯周病菌と心臓疾患に関するよくある質問

歯周病菌と心臓の病気の関係について、「私は大丈夫かな?」と感じている方も多いのではないでしょうか。ここでは、検査のタイミングや注意が必要な人の特徴、治療や予防法など、よくある質問をわかりやすくまとめました。正しい知識を知ることで、早めの対策につながります。ぜひチェックしてみてくださいね。

検査のタイミングはいつがベストですか?

症状がなくても、定期的な歯科検診を受けることが大切です。

  • 歯茎が腫れている
  • 歯磨きで血が出る
  • 最近、口臭が気になる

といった変化があれば、迷わず歯科を受診しましょう。目立った症状がない場合でも、3〜4ヶ月に1回のペースで検診を受けるのが理想的です。
妊娠中や持病がある方は、主治医や歯科医と相談しながら、自分に合ったタイミングを決めてください。

高リスクな人の特徴や見逃せないサインなどはありますか?

喫煙者、高血圧、糖尿病の方は、歯周病や心臓病のリスクが高いと言われています。また、次のようなサインがある方も要注意です。

  • 歯茎の赤みや腫れ
  • 歯みがき時の出血
  • 慢性的な口臭
  • 歯がグラグラする感じ

さらに、ご家族に心臓病や糖尿病の方がいる場合は、予防の意識を高く持つことがとても大切です。

歯周病や心臓疾患は治りますか?

一度歯周病になると、歯周病になる前と同じ状態に戻ることはありませんが、歯周病は早期の段階であれば治療と日々のケアで改善が見込めます。歯石を取ったり、プロのクリーニングを受けたり、正しい歯みがきを続けることで、健康な歯茎を取り戻しやすくなります。

心臓病についても、生活習慣の見直しや医師のサポートによって、進行を防ぐことは十分可能です。ただし、進んでしまった心臓病の場合は、完治というより「再発を防ぐ」ことが主な目標になります。どちらも共通して言えるのは、「予防」が最も大切だということ。日々のケアと定期チェックを、できることからコツコツ続けていきましょう。

まとめ

歯周病菌は、血流に乗って全身を巡る力を持っています。特に心臓の血管では炎症を引き起こし、心臓病のリスクを高める要因となることも。また、糖尿病・脳梗塞・誤嚥性肺炎・早産といったさまざまな全身疾患とも深く関係しています。

つまり、お口のケアは、全身の健康を守る第一歩です。毎日のブラッシング、フロスなどの補助清掃、歯科検診、そして生活習慣の見直し、どれも今日から始められることばかりです。
歯と心臓の意外なつながりを知ることで、より健康的で心地よい毎日を過ごすヒントが見えてくるはず。お口のケアは、未来の自分への"投資"です。今できることから少しずつはじめてみませんか?

SUPERVISERこの記事を監修した人

PROFILE

中村 都 (なかむら くに) 医師

歯学博士
専門分野:一般歯科・審美歯科

東京ミッドタウンデンタルクリニック院長。臨床研修指導歯科医。 日本大学歯学部矯正学教室入局、松本歯科大学総合歯科学研究所入職、Eastman Dental Institute of University College London,University of London, in the U.K、International Center For Excellence in Dentistry in the U.Kを経て、現在に至る。

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※掲載している情報は、記事公開時点のものです。
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