【医師監修】目の健康リスクにもつながる、想像以上に重要なまつ毛の役割とケア方法

東京ミッドタウン皮膚科形成外科ノアージュ(東京・六本木)
上島 朋子(専門分野:皮膚科)
魅力的な目元を演出するのに欠かせない「まつ毛」。太く、長く、多い(濃い)まつ毛を目指して、アイメイクに力を入れている方もいらっしゃるでしょう。 しかし、まつ毛も髪の毛同様、年齢と共に太さも長さもボリューム感も減少傾向に。すると、目元の印象が変わるだけでなく、目の健康リスクにもつながることがあります。
そこで今回は東京ミッドタウン皮膚科形成外科Noage(ノアージュ)院長の上島朋子先生に、 年齢と共に変化するまつ毛の実態やそれによって起こりうる健康リスク、 また、健康で美しいまつ毛を育て、維持するためのポイントを伺いました。
加齢によって起こりやすいまつ毛の変化とその要因
40〜50代の方々から受けるまつ毛のご相談で多いのは、『密度(本数)』に関するお悩み。 「以前に比べて、抜けたまつ毛がなかなか生えてこない」 「まつ毛とまつ毛の間に隙間ができて、目元が寂しく見える」といったお声をよく聞きます。 長さや太さはマスカラなどのメイクで多少カバーできても、 全体の「密度」の減少はご自身でのコントロールが難しいため、深く悩まれる方が多いのでしょう。
そもそも加齢によって生じるまつげの変化には、毛自体が抜けてしまう「本数の減少」と、1本ずつの太さやハリ・コシが低下する「毛質の変化」があります。そして、そのどちらにおいても、加齢以外に以下のような原因が隠れていることもあります。
日常的な物理刺激(摩擦)
メイク時にビューラーで強く引っ張る、クレンジングの際にゴシゴシとこする、つけまつ毛の着脱時に接着剤でまぶたを引っ張る、無意識に目元を掻いてしまう、肌に合わない化粧品により接触性皮膚炎を引き起こす など。
ホルモン環境の変化
出産や更年期に伴うホルモンバランスの変化。
栄養不足
過度なダイエットによる鉄分やタンパク質など、毛髪の成長に必要な栄養素の不足。
その他の疾患
まつ毛だけに症状が出る円形脱毛症など。
健康で美しいまつ毛を維持するには、加齢だけではなく、これらの要因にもしっかり目を向け、可能な範囲で改善していくことも、問題を解決する上で欠かせないポイントとなるでしょう。
まつ毛が減ったり弱ったりすることによる健康リスク
まつ毛は体の大切な「器官」であり、まつ毛の役割は本来、「目を守ること」。 そのため、まつ毛が減少すると見た目の印象が変わるほかに、様々な健康リスクがあります。
異物侵入
ゴミやほこりが角膜、結膜に直接触れやすくなる。
センサー機能の低下
異物が近づいたことを察知して目を閉じる〈警戒反応〉が遅れる。
ドライアイ・眩しさ
風を遮る役割が弱まり、風が直接目に当たって、目が乾きやすくなる。 ドライアイが進むと目の表面が傷ついたり、眩しさを感じやすくなったりする。
これらが進行すると、目の炎症や眼病を引き起こす原因になる場合もあるので注意しましょう。
健康で美しいまつ毛を育てるためにできること
健康で美しいまつ毛を守るために気をつけるべきことは、 やはり「物理的な刺激を与えないこと」がいちばんです。 とはいえ過度にメイクを恐れる必要はありません。適切に行えば、まつ毛への負担は少なくできます。
- ビューラーを使う際は根元からギュッと強く引っ張りすぎない
- マスカラを塗るときはやさしく梳かすようにスッと塗る
- クレンジング時はゴシゴシこすらずやさしく落とす
などを心がけましょう。クレンジングはアイメイク専用リムーバーなどを活用すると、より負担が少なくなります。
ほかにも、日常の些細な動作で気をつけるべきこととして、
- コンタクトレンズを着脱する際、目元を引っ張ったりこすったりしない
- ドライアイは目薬などで対策する
などがあげられます。ドライアイに関しては、目周りの慢性的な炎症を合併していることも少なくありません。その場合、まつ毛の育成も阻害されてしまうので、市販の目薬を使っても変化を感じない場合は、一度病院に行くことを検討しましょう。
また、インナーケアとして、
- 極端なダイエットは避け、まつ毛の主成分となるタンパク質や、毛根環境をサポートする鉄分や亜鉛など、さまざまな栄養素をバランスよく食事から摂取する
- 規則正しい生活を送り、ストレスを溜め込まない
- 喫煙は、まつ毛を育てる毛包の周囲の微小循環を悪化させるため控える
なども効果的です。
40〜50代のまつ毛ケアにおいて最も大切なのは、 増やすことよりも今ある毛を減らさないこと。 今あるまつ毛をいたわりながら、健やかなまつ毛を生やすための土台を整えていきましょう。
まつ毛美容液の重要性と選び方&使い方
健やかなまつ毛を生やすためには「まつ毛美容液」を使用することも、 非常に有効なケアといえるでしょう。 そもそもまつ毛美容液には、大きく分けて2つのアプローチがあります。
01
まつ毛そのものに塗布するタイプのまつ毛美容液
今生えているまつ毛の毛質を整えて、ハリやコシをサポートする
02
まぶた(毛穴のある皮膚部分)に塗布するタイプのまつ毛美容液
これから生えてくるまつ毛のために「毛根環境(土台)」を健やかに整える
商品を選ぶ際は、そのアイテムのコンセプトや配合成分が 「毛」と「地肌」のどちらを狙ったものなのかを見極め、適切な場所に塗布しましょう。 お悩みに合った選択をする、またはそれぞれ正しい使用方法を守って両方取り入れることにより、 本来の健やかなまつ毛へと導くことができます。 なお、まぶたに塗る際は、粘膜部分を避け、 あくまで「まつ毛の生え際の皮膚」に塗るようにしてください。
まつ毛美容液を使用する際の注意点
- まつ毛美容液をつける前に、まつ毛やまぶたの状態をチェックする
- 洗顔後の清潔な肌に使用する (スキンケアの一連の流れを済ませた後、仕上げのルーティンとして塗るのがおすすめ)
- 美容液が目の中に入らないようにする
- 使用中に違和感があった場合はすぐに使用を中止する (炎症が強く、長引く場合は、必ず医療機関を受診する)
「まつ毛美容液」は、粘膜に近く、非常にデリケートな目の周りに使用するアイテム。 そのため、「肌への刺激を最小限に抑えること」が最重要ポイントになります。 商品を選ぶ際も、肌への優しさに配慮されているかどうか、しっかりチェックしてください。
まつ毛の生え変わり(毛周期)は、約1カ月〜3カ月のサイクルで回っています。 そして、「まつ毛美容液」はあくまで化粧品であり、 医薬品(「睫毛貧毛症治療薬」等)のように急速に毛を生やすものではなく、 今生えているまつ毛をいたわりながら成長をサポートするものです。
そもそも、まつ毛全体が生え変わるには約6カ月かかるともいわれるので、 まずは3カ月を目安にじっくり使い続けてみてください。 あきらめずに毎日の習慣にして継続すれば、 うれしい変化も実感しやすくなると思います。
この記事を監修した人

上島 朋子 (かみしま ともこ) 医師
医学博士
専門分野:皮膚科
1992年新潟大学医学部卒業 東邦大学医学部大森病院、栃木県立がんセンター、財団法人鎌倉病院皮膚科部長を経て2016年より東京ミッドタウン皮膚科形成外科ノアージュ勤務、神奈川美容外科クリニックでは10年間非常勤医師として勤務、2018年5月よりノアージュ院長に就任。病理学の研究を経て皮膚科医になった経歴から、「肌」という繊細な臓器をしっかりと見つめ治療・施術を提供することをモットーとする。「肌の健やかな美しさ」にこだわり、疾患の治療から先端美容医療、そして再生医療の研究まで手がける。
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