【歯科医師監修】これって歯周病?症状と治療費・期間を徹底解説

東京ミッドタウンデンタルクリニック
中村 都(専門分野:一般歯科・審美歯科)
ふと鏡を見たとき、「あれ?以前より歯が長くなった気がする...」と感じたり、歯磨きのたびに混じる血を見て見ぬふりをしたりしていませんか?もし心当たりがあるなら、それは歯周病のサインかもしれません。
歯周病はサイレントキラーとも呼ばれており、初期段階では痛みがほとんどないまま静かに進行し、気づいたときには歯を支える骨が溶け、抜歯を余儀なくされる恐ろしい病気です。さらに近年では、誤嚥性肺炎や心疾患、糖尿病など、全身の健康に深刻な悪影響を及ぼすこともわかっています。
この記事では、歯科医師監修のもと、歯周病のセルフチェックリストと、詳細な症例解説を用意しました。さらに、多くの方が不安に感じる治療の痛みや、保険診療から再生療法(自由診療)までの費用の目安についても解説します。手遅れになる前に。まずは今のあなたの口内環境を正しく把握することから始めましょう。
※本記事は、2021年9月28日公開「これって歯周病?軽度・中度・重度の症状の特徴と治療の流れ」を更新したものです
まずは現状把握!【5分で完了】歯周病セルフチェックリスト
「毎日磨いているから大丈夫」と思っていても、歯周病は痛みなく進行するため、自分では気づきにくいものです。日本臨床歯周病学会などが推奨する以下のポイントを参考に、現在のあなたの口内環境をチェックしてみましょう。鏡を見ながら、当てはまる項目を数えてみてください。
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【歯茎(歯肉)の見た目・状態】
- 人から口の臭いを指摘されたことがある、または自分で口臭が気になる
- 朝起きた時、口の中がネバネバして不快感がある
- 歯磨き後にブラシに血がついたり、うがいをした水に血が混じったりする
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【全体的なサイン】
- 歯茎が赤く腫れている(ブヨブヨしている)
- 以前より歯茎が下がり、歯が長く伸びたように見える
- 歯茎を指で押すと血が出たり白い膿(うみ)が出たりする
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【歯の感覚・変化】
- 歯と歯の間に食べ物が詰まりやすくなった
- 疲れた時などに歯が浮いたような違和感がある
- 歯並びが変わってきた(出っ歯になった、隙間ができたなど)
- 指で触ると歯がグラグラと揺れている気がする
あなたはいくつ当てはまりましたか?
チェックの数によって、あなたの歯周病リスクと推奨される対応が異なります。
| チェック数 | 判定・アドバイス | チェックが0個 |
現在は健康な状態と言えます。 ただし、チェックがつかなくても自覚症状のないまま進行しているケースもあります。油断せず、少なくとも1年に1回は歯科検診を受け、今の健康を維持しましょう。 |
チェックが1〜3個 |
歯周病の可能性あり。 歯周病の初期段階、あるいは予備軍である可能性があります。まだ症状は軽度であると考えられますが、放置すれば確実に進行します。早めに歯科医院で診察を受け、適切なケアを始めることをおすすめします。 |
チェックが4個以上 |
中度以上に進行している危険性大。 すでに歯周病が中等度以上に進行している可能性が高い状態です。「痛くないから」と様子を見ていると、悪化するリスクが高まります。できるだけ早期に歯科医院を受診し、治療を開始してください。 |
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症状解説:あなたの症状はどの段階?進行度別セルフチェック【画像で徹底解説】
歯周病は、進行度によって「軽度」「中度」「重度」の3段階に分けられます。健康な状態と比べて、ご自身の歯や歯茎がどのような状態か、鏡を見ながら確認してみてください。なお、健康な歯茎は薄いピンク色で、しっかりと引き締まっているのが特徴です。歯と歯の間の歯茎は三角形をしており、歯磨きをしても出血することはありません。
軽度の歯周病
軽度の歯周病である歯肉炎は、歯を支える骨にはまだ影響が出ていませんが、歯磨きの時に出血したり、歯茎が少し赤く腫れたりすることがあります。この時点では、痛みを感じないことがほとんどです。健康なピンク色の歯茎が赤みを帯びてきますが、歯と歯茎の境目に溜まった細菌(プラーク)により炎症が起きているサインです。
中度の歯周病
中度の歯周病である歯周炎は炎症が歯茎だけでなく、歯を支える歯槽骨にまで広がった状態です。歯茎が下がり、歯が伸びたように見えます。また、硬い物が噛みづらくなったり、歯茎から膿が出て、口臭が強くなったりするのもこの時期の特徴です。
重度の歯周病
重度の歯周病の歯周炎は、骨の吸収が進行し、歯を留めておくことが限界に近い状態です。歯がぐらついて膿が出やすくなるうえ、口臭が強く、物をほとんど噛めなくなり、最終的には歯が抜けてしまいます。指で押すと歯がグラグラと動きますが、ここまで進行すると自然に抜け落ちる危険性が高く、保存が難しくなります
<こちらもCHECK>なぜ歯周病になるのか?歯科医師が解説する3つの根本原因
歯周病の主な原因は、歯磨きで十分に取れていなかった歯垢(プラーク)です。しかし、単に磨き残しがあるという理由だけで重症化するわけではありません。そこには細菌や環境、免疫力という3つの要素が深く関わっています。
原因① 細菌の塊・バイオフィルム
一般的に「食べカス」と誤解されがちですが、歯垢は細菌の集まりで、お互いに結びついてバイオフィルムと呼ばれるヌルヌルとした膜を作ります。この強力なバリアに守られた細菌(P.g.菌など)は、薬や免疫細胞を寄せ付けません。
歯と歯茎のあいだの溝に溜まり、放っておくと石灰化して歯石になります。歯石は歯磨きでは取れないため、歯周病が悪化しやすくなり、これが歯周病の直接的な原因となります。
原因② 歯周病を悪化させるリスクファクター
口の中の状態だけでなく、生活習慣や全身の健康状態が歯周病の進行を早めることがあります。具体的には、喫煙習慣がある方は、歯周病の症状を進行させやすいといわれています。タバコに含まれる成分が血管を収縮させるため、歯茎の血行が悪くなり、歯周病特有の出血というサインが出にくくなるため、気づかないうちに重症化してしまいます。
また、口腔内の健康状態は、全身の健康状態とも密接に関係しています。特に糖尿病の方は細菌に対する抵抗力が弱まっているため、歯周病にかかりやすく、また治りにくい傾向があります。さらに、昔治療した銀歯などの詰め物が合わなくなっていると、段差にプラークが溜まりやすくなり、そこから炎症が広がることがあります。
原因③ 身体の免疫力の低下
ストレスや疲労が溜まりやすい生活を送っていると、免疫機能が低下して、細菌感染リスクが高くなります。細菌の数が同じでも、身体が弱っているときは防御できずに炎症が拡大してしまうのです。
歯周病の改善・予防を目指すための5つの基礎知識
歯周病が進行し歯を支える骨などにダメージが及ぶと、歯科医院での専門的な治療が不可欠になります。 しかし、そうなる前の段階であれば、ご自身のケアで進行を食い止めることができます。治療が必要な状態になる前に、正しい予防を行うことが何より大切です。 ここからは、今日から始められる具体的な予防策を紹介します。
(1) 歯磨きは歯ブラシで丁寧に磨く
歯並びや歯茎の状態は人それぞれなので、歯ブラシは歯の隅々まで届き、歯茎に当たっても痛くない硬さのものを選びましょう。
- 歯ブラシのヘッドの大きさ: 小さめのサイズがおすすめです。大きいヘッドは広い面を磨きやすい反面、奥歯に届きにくく磨き残しの原因になります。
- 電動歯ブラシの場合: 手磨きよりも表面の汚れを落とす力に優れていますが、歯間の細かい汚れは苦手です。毛先が細い歯間ブラシなどを併用し、磨き残しを防ぎましょう。
毎日の歯磨きでは、歯と歯茎を傷つけないよう優しく丁寧にしてください。特に歯間や歯と歯茎の境目、奥歯など、ブラシが届きにくい場所を意識して磨くことが大切です。 また、歯を磨いたあとの口のゆすぎは最小限(多くても3回程度)にしましょう。歯磨き粉が残っている状態が気持ち悪く感じるかもしれませんが、口内に歯磨き粉の薬用成分が残っているくらいが口内環境を保つためには一番いい状態です。
(2) 歯ブラシの交換タイミングを守る
きれいに洗って乾燥させていても、使用済みの歯ブラシには細菌が繁殖します。毛先が開いていなくても、1ヵ月を目安に新しいものへ交換しましょう。また、1ヵ月経たずに毛先が広がってしまう場合は、ブラッシングの力が強すぎる可能性があります。歯や歯茎を傷つけないよう、力加減を見直してみてください。
(3) 歯間ブラシやワンタフトブラシを使う
歯ブラシだけでは、口腔内の汚れを半分程度しか除去できないと言われています。歯間ブラシやワンタフトブラシを併用し、歯垢をしっかり除去しましょう。歯間ブラシとワンタフトブラシを使用するときは市販のフッ素ジェルや殺菌力のある洗口液を付けて使用するとより効果的です。また、歯間ブラシは清掃力が高いワイヤータイプを選びましょう。
(4) 歯磨きの時間帯も大切 | 起床時や食後の歯ブラシ
起床時や食後の歯磨きは、口内の健康を守るうえでとても大切な習慣です。 寝ている間は唾液の分泌量が減り、口の中では細菌が増えやすくなります。そのため、朝起きてすぐに歯を磨き、口内の細菌をしっかり除去することが、口臭や虫歯、そして歯周病の予防につながります。起床後にそのまま飲食をすると、増えた細菌を一緒に体内へ取り込み腸内環境を悪化させてしまう可能性があるため、まず起きたら歯磨きをすることが望ましいとされています。また、食後の歯磨きは、食事で付着した糖分や食べカスを取り除くことが目的で、虫歯や歯周病の予防に有効です。
(5) 生活習慣の改善
口の健康は、全身の健康状態とリンクしています。ストレスや疲労、喫煙習慣などは免疫機能を低下させ、細菌感染のリスクを高めてしまいます。また、間食の摂りすぎや、炭酸飲料・お酢の常飲も要注意です。特にお酢は身体にいいと毎日飲まれている方もいますが、歯の大切なエナメル質を溶かしてしまいます。
十分な睡眠や規則正しい生活、そしてバランスの良い食生活などを心がけることが、お口の健康を守ることにつながります。
歯周病の治療は何を選べばいい?専門医が教えるポイント
歯周病治療は保険診療と自費診療、どちらでもご自分のお好きなほうを選ぶことができます。
保険診療
歯周病治療の保険診療では、検査や歯石除去、基本的な外科処置など、歯周病の進行を食い止めるための標準的な治療が中心です。使用できる材料や薬剤、治療時間が細かく定められているため、一度の治療時間は比較的短く、効率的に進められるのが特徴です。費用は保険適用により抑えられるため、経済的な負担が少なく受けやすい治療といえます。
自由診療
最新の治療法や再生療法、高品質な材料・設備を用いた精密な治療が可能です。時間をかけて丁寧に行えるため、審美性や耐久性を重視したオーダーメイドの治療にも対応できます。保険適用外となる分、費用は高くなりますが、症状や希望に合わせたより満足度の高い治療を選択できる点がメリットです。
自由診療の再生療法とは
重度まで進行し、歯を支える骨が大きく溶けてしまっている場合、従来の治療ではぐらついている歯があれば、全体のバランスやほかの歯への影響を考慮して、抜歯することもあるでしょう。 しかし、近年では歯周組織再生療法という治療法があります。薬剤を使って、溶けてしまった骨や歯根膜を再生させる治療法で、抜歯するように言われた歯でも残せる可能性があります。しかし、多くの場合、保険適用外の自由診療となり費用は医院や使用する薬剤によって異なります。一般的には、1歯あたり数万円からになるケースが多いです。
ブルーラジカルによる歯周病治療
最近の歯周病の治療方法のひとつに「ブルーラジカル」という医療機器を使う方法があります。
3%の過酸化水素水と青いレーザーを組み合わせた反応によって、歯周ポケット内の細菌に作用する仕組みを持ち、厚生労働省の承認も受けています。通常の超音波による歯石除去と一緒に行えるため、普段の治療と併せて使用できるのが特徴で、ステージⅢ・Ⅳなどの進行した歯周病でも歯茎を切らずに歯垢の中まで99.99%殺菌することができます。
なお、現在ブルーラジカルによる処置は自費診療となりますので、詳しい内容や費用はデンタルクリニックにご相談ください。
歯周病治療の痛み・期間は?よくある質問に回答
歯周病治療に対して「痛そう」「いつ終わるのか見えない」といった不安を持つ方は少なくありません。ここでは、歯周病の方からよくいただく質問に正直にお答えします。
Q.毎日歯磨きをしているのに、なぜ歯周病になるのですか?
毎食後磨いているのに虫歯や歯周病になるという方は非常に多いですが、実は磨いているつもりでも、磨けていないケースが考えられます。
- 歯間ブラシやデンタルフロス(糸ようじ)をしていない
- 実は磨けていない箇所がある
- 歯ブラシをあてる角度を間違えている
- 歯を磨いているところを鏡で確認していない
自分では磨きにくい場所や、歯ブラシが当たりづらい場所に、細菌が残っている可能性があります。毎日磨いているから大丈夫と過信せず、鏡を見ながら磨く場所をチェックし、セルフケアで取りきれない汚れを歯科医院で定期的にリセットすることが、最大の予防策です。
Q.歯周病は家族やパートナーにうつりますか?
歯周病は感染症ですので、風邪やインフルエンザと同じように、唾液を介して人から人へと感染します。
- パートナーとのキス
- 食器やスプーンの共有
- 飲み回し
日常生活のこうした行為で細菌が人から人へと移動するリスクがあります。特に、抵抗力の弱い子どもや免疫力が低下している高齢の家族がいる場合は注意しましょう。ご自身が治療を受けて口の中を清潔に保つことは、大切なご家族やパートナーを感染から守ることにも繋がります。
Q.歯周病治療は痛いですか?麻酔は使用しますか?
進行度や治療内容によりますが、歯医者は痛みを最小限に抑える配慮を行っています。初期の歯石取りでは、しみるような感覚がある程度のことが多いでしょう。しかし、歯周ポケットの深い部分の歯石除去を行う際や、歯周外科治療として手術を行うことがある場合には、局所麻酔を使用しますので、注射時の痛みはあるものの、治療中に強い痛みを感じにくいケースが多いです。
Q.グラグラの歯は抜かないとダメですか?
歯科では、再生療法など歯を残すための治療を最初に検討しますが、ぐらついている歯があれば、全体のバランスやほかの歯への影響を考慮して、抜歯することもあるでしょう。無理に残すことで周囲の健康な歯を支える骨まで溶かしてしまうリスクがある場合は、抜歯を選択し、歯の詰め物を適合する物に交換したり、噛み合わせを調整したりして、お口全体の健康を守る方針をとります。
Q.歯周病が治るまでの治療期間・通院回数の目安は?
歯石の付着具合によっては、数ヵ月かけて除去することもありますが、軽度(歯肉炎)の場合は、数回〜1ヶ月程度で終わることが多いです。しかし、中度や重度の場合、歯茎の深い部分を歯石除去するため、半年〜1年以上かかることもあります。長期的な管理が必要になりますが、途中で中断せずに通い続けることが治癒への近道です。
治療後の再発を防ぐために
歯周病治療は治して終わるのではなく、再発防止に向けたスタート地点です。治療後も毎日の丁寧な歯ブラシやデンタルフロス、歯科医院での定期検診を継続し、歯周病になりにくい口内環境を維持しましょう。
現在は治療技術の進歩により、進行した状態でも歯を残せる可能性が高まっていますが、最も確実なことは早期発見と早期治療です。歯茎の出血などのサインを見逃さず、少しでも不安があれば早めに歯科クリニックへ相談しましょう。
大江戸線「六本木駅」直結の歯科「東京ミッドタウンデンタルクリニック」。 むし歯、歯周病などの一般歯科診療から、矯正、インプラント、麻酔、口腔外科など、国内外で専門技術を磨いた医師が、患者様お一人おひとりにあった施術を提供しています。 治療は半個室、個室で対応。患者様が快適に過ごせる空間を創り上げ、リラックスできる環境で治療を受けていただくよう取り組んでいます。
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この記事を監修した人

中村 都 (なかむら くに) 医師
歯学博士
専門分野:一般歯科・審美歯科
東京ミッドタウンデンタルクリニック院長。臨床研修指導歯科医。 日本大学歯学部矯正学教室入局、松本歯科大学総合歯科学研究所入職、Eastman Dental Institute of University College London,University of London, in the U.K、International Center For Excellence in Dentistry in the U.Kを経て、現在に至る。
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