更年期の基礎体温はどう変わる?閉経との関係性も解説(2025年更新版)

基礎体温を記録する習慣は、体の変化を知るという意味でも役に立ちます。特に、女性ホルモンが減少し始める30代後半以降の女性にとっては、更年期のサインにいち早く気付くことができるというメリットも。
そこで、更年期を迎える女性の基礎体温や生理周期の変化、閉経と基礎体温との関係性、基礎体温の記録が更年期の早期発見につながる理由などについて解説します。

※本記事は、2019年4月5日公開版を更新したものです

更年期の基礎体温はどう変化する?

加齢による女性ホルモンの減少や卵巣の働きの低下などが見られる更年期は、基礎体温にも変化が表れる時期です。

低温期と高温期が0.5℃くらいの差できれいに二相に分かれていたものが、更年期に入ると高温期が短くなったり、低温期が長くなったりし始めます

また、低温期から高温期へと切り替わる際も、卵巣機能が保たれていると排卵後1~2日で急激に体温が上がっていたものが、更年期に入るとなだらかに上昇したり、低温期と高温期に明確な差がなくなったりすることもあるでしょう。

そして、多くの人が50歳前後で迎える閉経後の基礎体温は、高温期がなくなって低温期のみになり、安定した状態で推移します。

そもそも基礎体温とはどういうもの?

基礎体温とは、朝起きて体を動かす前に測る、安静時の体温のこと。毎日計測してグラフにすることで、自分が今「高温期」にいるのか、「低温期」にいるのかを判断することができます。正常な場合、女性の体温は0.3~0.5℃のあいだで周期的に変化します。

こうした体温の変化には、女性の体内で分泌されている女性ホルモン、エストロゲンとプロゲステロンが関係しています

低温期にはエストロゲンの分泌量が増え、ピークに達すると排卵が起きます。排卵を境に、今度はプロゲステロンの分泌量が増えていき、基礎体温は上がって低温期から高温期へ。このサイクルを約2週間ごとに繰り返すため、基礎体温が低温期と高温期の二相に分かれていれば、排卵がきちんと行われているといえます。

更年期の仕組み

基礎体温や生理周期の変化について把握できたところで、ここからは更年期についても理解を深めていきましょう。

更年期とは、卵巣の加齢に伴い、身体が閉経の準備をはじめる時期から、閉経の状態が落ち着く閉経後約5年ほどの期間を指します。この時期、卵巣の加齢に伴い、身体が閉経の準備をはじめる時期から、閉経の状態が落ち着く閉経後約5年ほどの期間を指します。この時期、女性ホルモンの1つであるエストロゲンの分泌量が減り、卵巣の働きを促す卵胞刺激ホルモン(FSH)が上昇することで自律神経が乱れ、心身にさまざまな不調がみられることがあります。これを更年期症状といい、日常生活に支障をきたす場合は更年期障害といいます。

では、実際に更年期を迎える時期はいつ頃なのでしょうか。

更年期を迎えるタイミング

更年期の時期は、閉経を挟んだ前後5年間が該当すると考えられています。つまり更年期を迎えるタイミングの目安は、閉経を迎える5年前といえるでしょう。

たとえば閉経年齢が50歳であった場合、45歳~55歳の10年間が更年期です。ただし、閉経年齢は人によって異なり、40代後半で閉経する方もいれば、60歳頃まで月経が続く方もいらっしゃいます。一人ひとり閉経のタイミングが異なるため、更年期にあたる年齢にも個人差が生じます。

こうした関係により、更年期を予測するには閉経のタイミングが重要です。そしてこの閉経のタイミングは、日々の基礎体温の変化に気づくことでつかみやすくなります。

体調の変化を感じ始める"プレ更年期"

更年期に入るのは閉経のおおよそ5年前ですが、実はそのさらに前に"プレ更年期"とよばれる時期があります(医学用語ではありません)。

更年期に入る前、30代後半~40代前半にかけて、頭痛やめまい、疲労感、また気持ちの落ち込みなど、更年期症状とよく似た身体の不調が起こることがあります。

プレ更年期にみられる症状も、更年期症状と同様、卵巣機能の低下やホルモンバランスの乱れが原因のこともあれば、月経前緊張症(PMS)が原因となっていることも。そこに、睡眠不足や栄養の偏った食事などの不摂生が加わると、症状が悪化してしまう可能性があるため、日々の生活習慣にも気をつけたいところです。

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基礎体温を知っておくメリット

普段から基礎体温をつけておくと、自己管理の目安になるだけでなく、生理周期が乱れたり不正出血が起きたりして婦人科の診察を受ける際にも役立ちます。ここでは、基礎体温をつけるメリットを5つ紹介します。

1 病気発見の手助けになる

基礎体温をつける際、体温のほかに生理の周期や出血量、おりものの量、便の状態、肌の状態や体調なども併せて記録しておくと、ちょっとした変化から黄体不全や子宮内膜症といった病気のサインを発見できる可能性が高まります。不正出血には、子宮筋腫や子宮体がん、子宮頸がんが隠れている疑いもあるので、早めに婦人科を受診してください。

2 早発閉経の兆候に気付きやすい

基礎体温の動きから、日本人の平均閉経年齢より早い40歳未満で閉経する「早発閉経」の兆候も早期に発見することができます。早発閉経になると、ほてりやイライラ、めまいなどの若年性更年期障害が現れるほか、骨粗しょう症や動脈硬化のリスクも高まるため、できるだけ早く婦人科を受診しましょう。

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3 医師への症状の説明がしやすい

更年期症状の疑いで婦人科を受診する際、「いつ頃から、どんな変化があったのか」をわかりやすく説明するためにも、基礎体温の記録は有用です。

基礎体温が不安定になったからといって基礎体温の計測をやめてしまうのではなく、記録し続けることをおすすめします。

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4 心身のリズムが把握できる

基礎体温は、体や心のリズムと密接に関わっています。イライラする、落ち込むといった心の不調、便秘や肩こり、乳房の張り、吹き出物が出やすくなるといった体の不調が、ひと月の中でいつ頃起きているのかがわかれば、排卵や生理開始のタイミングを目安にしてトラブルに備えることができるでしょう。

5 太りやすい時期がわかる

高温期は、水分を蓄える作用があるプロゲステロンの影響でむくみやすくなります。食欲が増すほか、メンタルの不調から過食ぎみになる時期でもあるので、ダイエットには不向き。

効果的にダイエットをするなら、エストロゲンが分泌される低温期がおすすめです。

基礎体温以外にも気にしておきたいポイント

体温の変化によらず微熱感が続いたり、発作的なほてり・発汗を感じるようであれば、それは"ホットフラッシュ"とよばれる更年期症状の一つかもしれません。

ホットフラッシュは、女性ホルモンの低下や、ゆらぎによる自律神経の乱れが原因で起こります。自律神経が乱れると、血管の収縮拡張をうまくコントロールできなくなり、その結果、微熱やほてりといった症状を引き起こしてしまうのです。

ホットフラッシュが起きたときの対処法

微熱感やほてり・発汗といったホットフラッシュの症状がみられたときに、ご自身でできる対処法は以下の通りです。

ホットフラッシュが起きたときの対処法

  • 通気性の良い服を着用する
  • 涼しい室内で休憩をとる
  • 深呼吸してリラックスする
  • 冷感シートで首のうしろ側を冷やす

上記の対処法を試しても微熱が続く、または頻繁に症状が出る場合は、婦人科に相談することで、より有効的な対策を講じてもらえます。

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監修者・産婦人科医の吉形玲美先生より

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基礎体温は、ホルモンの影響を受けやすい女性にとって、体の中で起きていることを教えてくれる重要なバロメーター。特に、女性ホルモンが減少し始める30代後半以降は、基礎体温の変化から早めに更年期のサインをキャッチすることで、自分に合った対策ができ、すこやかな毎日を過ごせるでしょう。

婦人科の診療を受ける際の判断材料として、より的確な治療を選択する手助けにもなりますので、自分の体と向き合うために基礎体温をつけることを習慣化してください。

『40代から始めよう!閉経マネジメント 更年期をラクに乗り切る、体と心のコントロール術』

今回、お話を伺った吉形玲美医師の著書
『40代から始めよう!閉経マネジメント 更年期をラクに乗り切る、体と心のコントロール術』には、
更年期前後の時期を心晴れやかに過ごすための方法がギュッと詰まっています。
閉経のしくみから、更年期を迎えたあとの不安を解消する術まで、
女性の健康を守るための情報が満載です。

フェムゾーンの悩みを解決するヒントを得るためにも、ぜひ手に取ってみてください。

※掲載している情報は、記事公開時点のものです。
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