【後編】女性医療の今、ライフステージで変わる"あなたの身体を守る検査"

ミッドタウンクリニックイースト
吉形 玲美(専門分野:婦人科)
前編では、更年期が単なる不調の時期ではなく、女性の健康寿命を左右する重要な転換点であることや、骨密度検査・骨代謝マーカー検査の重要性について、吉形玲美医師にお話を伺いました。
後編ではさらに一歩踏み込み、更年期以降に進行しやすい「血管の老化」と「骨の健康」の深い関係、そして婦人科検診を継続する重要性についてご紹介しています。
女性の健康寿命を延ばすために、今知っておきたい大切なポイントとは。
ぜひ動画とあわせてご覧ください。
更年期から始まる「骨」と「血管」の連鎖
女性ホルモンの減少は血管にも大きな影響を与える
更年期になると、多くの女性はホットフラッシュや発汗、不眠といった症状に注目しがちです。しかし女性ホルモンの減少は、目に見えない部分にも大きな変化をもたらしています。
その代表が血管です。
血管はホースのような管状の組織ですが、その内側をしなやかに保ち、弾力性を維持しているのも女性ホルモンです
女性ホルモンには血管の機能を整え、柔軟性を保つ働きがあります。
ところが閉経に向かって女性ホルモンが減少すると、その保護作用が失われていきます。
すると血管は次第に硬くなり、血管の内側の壁にプラークと呼ばれる沈着物がたまりやすくなります。
つまり女性ホルモンの減少によって、動脈硬化のリスクが高くなってしまいます
動脈硬化は自覚症状がほとんどありません。
しかし進行すると、心筋梗塞や脳梗塞といった命に関わる病気につながることが知られています。
女性は閉経前までは男性より心血管系疾患の発症率が低いとされていますが、閉経後にはその差が徐々に縮まります。
その背景には、女性ホルモンの減少が大きく関わっているのです。
骨と血管はつながっている
近年注目されている「骨血管連関」という概念について。
一見すると無関係に思える骨と血管ですが、実は密接につながっています。
ビタミンD不足などで骨にカルシウムが貯められにくい状態が続くと、骨密度が低下するばかりでなく、血液中に流出した余剰のカルシウムが血管に沈着しやすくなります
骨から失われたカルシウムは、血管壁に蓄積することで血管石灰化を進め、動脈硬化を悪化させる要因になることがあります。
※画像はイメージです
つまり骨の健康を守らないことが、結果として血管の健康も損なう可能性があるのです。
さらに逆の現象も起こります。
血管が硬くなると、今度は骨密度も低下しやすくなります
こうした相互作用を骨血管連関と呼びます。
骨のケアをすると血管にも良い影響があり、血管をケアすると骨にも良い影響がある。両方をセットで考えることが大切です
更年期から始める健康管理では、骨だけ、血管だけを見るのではなく、全身を総合的に捉える視点が重要だといえるでしょう。
実は美容にも関係する「骨密度」
骨粗鬆症というと、将来の骨折リスクを思い浮かべる人が多いかもしれません。
しかし吉形先生は「骨の健康は美容とも深く関係しています」と話します。
顔の下には当然骨がありますよね。実は顔の骨も更年期以降に少しずつ減っていきます
骨密度の低下は全身で起こります。
それは顔面骨も例外ではありません。
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顔を支えている骨が痩せていくことで、皮膚や筋肉を支える土台が弱くなり、
- フェイスラインの変化
- 頬のたるみ
- シワの増加
- 顔全体の印象変化
といった変化につながる可能性があります。
美容という観点から見ても、骨は本当に大切です
スキンケアや美容医療だけでは補えない、土台としての骨の健康。
近年は美容領域でも骨密度や骨質への関心が高まっています。
閉経後も婦人科検診は必要
診療の現場で頻繁に受ける質問があります。
閉経したら婦人科は卒業してもいいのでしょうか?
答えは明確です。
ぜひ続けていただきたいと思います
多くの女性は月経や妊娠・出産が終わると、婦人科との接点が少なくなります。
しかし女性特有のがんのリスクは閉経後にも存在します。
子宮頸がん検診や乳がん検診はもちろんですが、閉経後は子宮体がんや卵巣がんにもより注意が必要になります。
発症頻度は決して高くないものの、早期発見が非常に重要な疾患です。
女性生殖器に関わるがんは、生涯にわたって気をつけていただきたい病気です
子宮頸がんは閉経後にも注意が必要
特に強調したいのが子宮頸がん検診の継続です。
近年、HPVワクチンや若年世代への啓発活動により、子宮頸がんへの関心は高まっています。
子宮頸がんの原因となるHPV(ヒトパピローマウイルス)は性交渉を介して感染します。
若い頃に感染しても、多くの場合は免疫によって自然に排除されたり、活動が抑えられたりします。
ところが、閉経後には状況が変わります。
女性ホルモンには、HPVをおとなしくさせる働きがあると考えられています
女性ホルモンが減少すると、それまで潜んでいたウイルスが再び活性化する場合があるのです。 そのため閉経後に子宮頸がんが見つかるケースも決して少なくありません。
閉経したから安心ということではなく、むしろ定期的な検診を続けていただきたいと思います
腟内環境を守るセルフケアも重要
閉経後は腟や外陰部の環境にも変化が起こります。
女性ホルモンの減少によって、腟粘膜を守っている乳酸菌が減少しやすくなります。
乳酸菌は腟内環境を弱酸性に保ち、有害な細菌やウイルスから身体を守る役割を担っています。
しかし閉経後には、その防御機能が低下してしまいます。
最近は乳酸菌を補うフェムケア製品なども増えています
デリケートゾーン専用の保湿剤や乳酸菌製剤などを活用することで、閉経後の腟免疫環境をサポートすることも可能になっています。
フェムゾーンのセルフケアも婦人科医としてぜひ取り入れていただきたいですね
閉経後の体重増加が乳がん・子宮体がんリスクにつながることも
更年期以降、多くの女性が経験するのが体重増加です。
特に内臓脂肪は女性ホルモンの減少によって蓄積しやすくなります。
実は脂肪組織の中では、がんリスクに関わる女性ホルモンが作られることがあります
脂肪細胞から分泌される悪玉女性ホルモンの影響により、乳がんや子宮体がんのリスクが高まることが知られています。
そのため閉経後には、
- 体重管理
- 食生活の見直し
- 運動習慣
- 生活習慣病対策
も非常に重要になります。
少し太りやすくなったなと感じたら、ぜひ生活習慣にも目を向けていただきたいですね
今日の行動が10年後、20年後の自分をつくる
女性は人生を通じて多くの健康課題と向き合います。
月経の悩み
PMS
妊娠や出産
更年期
尿もれや腟トラブル
そして高齢期の健康問題
本当に女性はいろいろなことがあります
だからこそ大切なのは、異常が起きてから対処することではなく、自分自身の身体の変化に気づくこと。
- 検診を受ける。
- セルフケアを始める。
- 生活習慣を見直す。
- 生骨の健康を意識する。
どれも特別なことではありません。
しかしその積み重ねが、10年後、20年後の健康状態を大きく左右します。
一つひとつの行動が、将来の快適な生活や健康長寿につながります
骨と血管
美容と健康
そして婦人科検診
一見バラバラに見えるこれらは、すべて女性ホルモンと深く結びついています。
更年期は失うものを数える時期ではありません。
これから先の人生をより健康に、自分らしく生きるために、身体と向き合う新たなスタート地点なのです。
未来の健康を支えるパートナー「BASEGATE横浜関内クリニック」
今回のインタビューを通して見えてきたのは、更年期は単なる不調の時期ではなく、その後の健康寿命やQOLを左右する重要な転換点であるということでした。
吉形医師がセンター長を務めるBASEGATE横浜関内クリニックでは、一般健診や人間ドックに加え、ライフステージに沿った世代別女性検診、更年期診断パック、さらにアフターフォローとしての婦人科外来などを通じて、一人ひとりのライフステージに寄り添った医療を提供しています。
「不調になってから受診する」のではなく、「健康を維持するために受診する」。
そんな新しい医療との出会いを実現するクリニックです。
「更年期が気になる」
「将来の病気を予防したい」
「何となく不調だけれど相談先がわからない」
そんな女性たちにとって、ライフステージに寄り添いながら健康を支える心強い存在です。
自分らしく、健やかに、美しく年齢を重ねていくために。
まずは自分の身体を知ることから始めてみませんか。
この記事を監修した人

吉形 玲美 (よしかた れみ) 医師
医学博士/日本産科婦人科学会 産婦人科専門医
専門分野:婦人科
産婦人科臨床医として医療の最前線に立ち、多施設で婦人科等の診療を行う傍ら、女性医療・更年期医療のさまざまな臨床研究にも数多く携わる。女性予防医療を広めたいという思いから、グランドハイメディック倶楽部 倶楽部ドクターなど、多施設で診療や予防医療研究に従事。月経トラブル、妊活、更年期障害など、ゆらぎやすい女性の身体のホルモンマネジメントを得意とする。’22年7月『40代から始めよう!閉経マネジメント』(講談社)を上梓。
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