ビューティ対談 石田ひかりさん×上島朋子医師「美髪のススメ」

きれいと元気のひかりメソッド

「髪は女の命」という言葉があるほど、毛髪は見た目印象を大きく左右する存在。
今回は、「大人の美髪」をテーマに、アイラシイ ブランドアンバサダーの石田ひかりさんと、
お肌と髪の専門家 東京ミッドタウン皮膚科形成外科Noage(ノアージュ)院長 上島朋子医師の対談をお届けします。

女性を悩ませる「髪問題」の原因は?

石田さん
最近、友人との会話で"髪"が話題に上がることが増えました。先日も、出産を終えたばかりの友人から「産後に髪の毛がごそっと抜けちゃってびっくり。このままだったらどうしよう...」という相談を受けたんです。確かに私も、産後に結構な量の髪の毛が抜けた覚えがあるんです。
上島先生
産後の髪の変化はよく耳にしますよね。これには、医学的に明確な理由があるんです。というのも、女性の髪はホルモンの影響を強く受けるため、エストロゲンやプロゲステロンといった女性ホルモンの分泌量が大きく変動する妊娠・出産後や更年期に大きな変化を迎えます。
そもそも毛髪は、成長期・退行期・休止期の3つの周期を繰り返して生え変わっています。妊娠中は、女性ホルモンの分泌が増加した状態が継続するため、髪が成長期のまま維持されやすく、抜けにくくなります。ですが、出産後にはこれらのホルモンの分泌量が急激に減少するため、多くの毛髪がその変化に同期して退行期を経て休止期へと移行します。退行期に入った髪は、成長が完全に止まり、休止期には毛根も活動を休止します。そして毛穴の奥で生まれた新しい髪に押し出される形で、古い毛髪は自然に抜け落ち、次の成長期へと向かいます。そのため、産後に急に抜け毛が増えたように感じられるんです。
石田さん
女性ホルモンが髪に与える影響は、そんなに大きいのですね! 産後に減った髪は、戻るのでしょうか?
上島先生
多くの場合、産後2〜4ヶ月ほどで抜け毛が始まり、3〜6ヶ月目でピークを迎えます。6〜12ヶ月経つとホルモンレベルが安定して、徐々に髪のボリュームが回復していく、という経過をたどります。ただ、女性ホルモンの分泌量は40代前後から減少し始めるので、出産年齢によっては回復に時間がかかる場合もあります。そこは、年齢や体質によって、やや個人差がありますね。他にも、紫外線や睡眠不足・ストレス・偏った食生活なども回復に影響を与えます。
石田さん
日頃からの正しい生活習慣やケアが重要なんですね。

美髪を育むために心がけることは?

石田さん
豊かで美しい髪を維持するために、日々の生活の中で、どんなことを心がければ良いのでしょうか?
上島先生
美髪を育む栄養素として、タンパク質やビオチン、鉄、亜鉛、ビタミンA・C・D・E、オメガ3脂肪酸、抗酸化食品などが推奨されています。バランスの良い食事を摂って体の中から整えて、不足を感じたらサプリメントで補ってくださいね。また、頭皮を優しく刺激するマッサージもおすすめです。血行が促進されて、毛根へ酸素や栄養素が届きやすくなるので、髪の成長を助けてくれます。頭皮コンディショニング成分を配合した薬用の育毛剤を併用すると、さらに効果が期待できますね。ストレスで交感神経のバランスが崩れるとホルモンバランスの乱れに繋がるので、頭皮マッサージには心地よくストレスを癒すという役割もあるんです。
ところで、ひかりさんは、いつもどんな髪型にしていることが多いですか?
石田さん
自宅ではいつも、後ろにひとつ結びにしていることが多いです。
上島先生
そうなんですね。同じヘアスタイルで髪を強く引っ張り続けると、毛根に負担がかかって「牽引性脱毛症」の原因になることもあるんです。ですから、強く縛りすぎず、時々髪の分け目の位置を変えると良いですよ。
石田さん
まぁ!そうなんですか。それは気をつけなくちゃいけないですね。そういえば私、入浴後に髪が濡れたまま寝てしまうことがあるのですが、これも髪に良くないことですか?
上島先生
そうですね。髪のためには乾かしてから お休みいただくことをお勧めします。濡れた髪はキューティクルが開いて非常に傷つきやすい状態ですから、枕との摩擦で切れ毛や枝毛が生じて、傷んでしまいます。さらに、湿度で雑菌や真菌が繁殖しやすくなり、頭皮の痒み・フケ・悪臭の原因になることも。まずは、吸水性の高いタオルで優しく水分を吸収させましょう。髪をゴシゴシ擦らないことがポイントです。水滴が垂れない程度までタオルで水分を取り除いたら、ドライヤーに持ち替えて、髪の根元からしっかりと乾かして、お休みくださいね。
石田さん
濡れた状態の髪って、そんなに傷みやすいんですね。頭皮の健康のためにも、今日からしっかり乾かして就寝しようと思います。

一生、豊かなツヤめく髪で

石田さん
実は、もっと年齢を重ねたら、いつかシルバーヘアにしたいなぁと、密かに憧れているんです。まだ先のことですが、黄ばみのない艶やかな白髪を保つにはどうしたら良いのでしょうか?
上島先生
シルバーヘアのひかりさんも上品で素敵でしょうね!髪の黄ばみの原因としては、紫外線・ヘアアイロンの熱・プールの水・たばこの煙などがあげられます。メラニン色素の少ない白髪は乾燥しやすいため、黒い髪よりも様々な刺激に敏感に反応します。帽子やUVスプレーで紫外線を防いだり、ヘアアイロンの前に熱ダメージを抑えるトリートメント剤を使用するなど、刺激から髪を守ることが黄ばみの予防になりますね。
石田さん
すでに髪が黄ばんでいる場合でも、改善する方法はありますか?
上島先生
はい。その場合は、紫や青系の色素を配合したシャンプー(ムラサキシャンプー)を週1〜2回試してみてください。黄色の補色である紫や青の色素が、黄ばみを打ち消してくれますよ。また、水に含まれるミネラルや残留物による黄ばみが気になる場合は、ミネラル除去シャンプーをお勧めします。
石田さん
そんなシャンプーがあるんですか! 毎日の丁寧なケアで、いつまでもツヤのある豊かな髪をキープしたいですよね。上島先生は、髪に関するあらゆることに本当にお詳しいですが、どんなきっかけで毛髪治療への取り組みを始められたのですか?
上島先生
私はものの形やその変化を見るのが好きで、病理学を学び、そして皮膚科医になりました。髪は性別や年齢を問わず人のアイデンティティ形成に大きくかかわる存在で、常に目に見える変化があること、さらに毛穴の奥のミクロの世界でも、ダイナミックな変化が繰り返されていることにとてもロマンを感じるんです。その一方で、白髪を含め、髪のエイジングについてはまだ解明されていないことも多く、治療法が限られているのが現実です。だからこそ、そこに向き合って、「髪についてお悩みの方に希望をお届けできるように」という気持ちで、日々診療しています。
石田さん
毛髪の研究って奥が深いのですね。今後のさらなる発展を期待しています。
profile
上島 朋子 (かみしま ともこ) 医師

上島 朋子 (かみしま ともこ) 医師

医学博士
専門分野:皮膚科

新潟大学医学部卒業。
東邦大学医学部大森病院、栃木県立がんセンター、財団法人鎌倉病院皮膚科部長を経て神奈川美容外科クリニックに非常勤医師として10年間勤務。2016年より東京ミッドタウン皮膚科形成外科ノアージュ勤務を開始し、2018年5月ノアージュ院長に就任。
病理学の研究を経て皮膚科医になった経歴から、「肌」という繊細な臓器をしっかりと見つめ治療・施術を提供することをモットーとする。「肌の健やかな美しさ」にこだわり、疾患の治療から先端美容医療、そして再生医療の研究まで手がける。
また、日本再生医療学会総会にて研究発表をするなど、毛髪再生育毛治療にも注力。独自の毛髪計測・スコアシステム「QTES®」を開発し、毛髪で悩める方に現状を詳しく解説。

profile
石田ひかり ISHIDA HIKARI

<石田ひかり ISHIDA HIKARI>

1972年東京都生まれ。86 年俳優デビュー。
91 年、大林宣彦監督作『ふたり』で映画初出演・初主演。
連続テレビ小説『ひらり』や『あすなろ白書』で主演を務め、人気・実力ともにトップ女優に。 近年の出演作としてドラマでは、主演『週末旅の極意 2~家族って近くにいて遠いもの~』、『続・続・最後から二番目の恋』、『ミッドナイト屋台〜ラ・ボンノォ〜』、映画では、『アンジーの BAR で逢いましょう』、『リライト』、カンヌ国際映画祭コンペティション部門選出『ルノワール』などがある。

※掲載している情報は、記事公開時点のものです。
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この記事は、働く女性の医療メディア
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