帯状疱疹の初期症状に要注意|原因と予防・対処法を解説

「one for 看護」キャリアアドバイザー:
髙原 加奈(正看護師/終末期ケア専門士)
「最近、体のどこかがピリピリ、チクチクと痛む...」「これって、単なる疲れ?それとも何かの病気?」原因不明で体の痛みや発疹に悩んでいる方も多いのではないでしょうか? もしかすると、それは帯状疱疹(たいじょうほうしん)の初期症状かもしれません。 帯状疱疹は誰にでも起こりうる身近な病気なので決して珍しいものではありませんが、初期症状を見逃さないことが非常に重要です。 この記事では、帯状疱疹の原因や初期症状、病院へ行くべきタイミング、再発を防ぐための予防策などを詳しく解説します。 あなたの不安を和らげ、適切な行動を始めるためのヒントを見つけていきましょう。
帯状疱疹はなぜ起こる?その原因と初期症状
帯状疱疹はなぜ起こるのでしょうか。その原因と初期症状を詳しく見ていきましょう。
帯状疱疹の原因
帯状疱疹は、子どもの頃にかかった水痘(水ぼうそう)の水痘・帯状疱疹ウイルスが原因で起こります。水ぼうそうが治った後も、このウイルスは体の神経節に潜伏しています。通常は免疫力によって抑え込まれているのですが、加齢やストレス、過労などで免疫力が低下した際に、ウイルスが再び活性化して帯状疱疹として発症します。
また、近年の研究で、帯状疱疹ワクチンを接種した高齢者は、認知症の発症リスクが低下する可能性があるということが判明しました。これは、帯状疱疹ウイルスの再活性化による脳や神経への影響を抑えることで、認知症のリスク低減につながっていると考えられています。女性では特にこの効果が顕著だという報告もあり、帯状疱疹予防が脳の健康を守る新しい可能性として期待されています。
帯状疱疹の初期症状と発症のサイン
帯状疱疹の初期症状と発症のサインをまとめました。
初期症状があらわれるタイミング
帯状疱疹の最も厄介な点は、発疹が出る数日前から痛みや違和感があらわれることです。また、次のような感覚にも注意しましょう。
- ピリピリとした痛みや違和感:体の片側の皮膚の奥で電気が走るような、またはヒリヒリするような感覚が数日間続きます。
- かゆみ、チクチク感:皮膚に触れると服が擦れるだけでも気になるような神経痛のような症状が出ることがあります。
初期に現れる可能性のある症状
帯状疱疹の初期に現れる可能性のある症状は、次のようなものが当てはまります。
- 神経に沿った皮膚の痛みや違和感
- 発熱・リンパ節の腫れ
- 頭痛や倦怠感
これらの症状が、体の片側、特に胸や背中、顔など限られた範囲であらわれた場合は「ただの疲れ」だと見過ごさずに注意が必要です。
帯状疱疹ができる体の部位は?
帯状疱疹ができる体の部位について詳しく解説します。
頭部や顔に発症した場合の症状とリスク
頭部や顔に帯状疱疹が出るケースでは、特に注意が必要です。
頭皮に発疹が出た場合は髪に隠れて気づきにくく、頭痛と勘違いされて治療が遅れることもあります。その結果、後遺症に悩まされる方も少なくありません。
また、目や耳の周りに帯状疱疹が発症した場合、合併症になる可能性がありますので注意が必要です。この場合、視力や聴力へ影響し顔面神経や三叉神経が侵されると、次のような重い合併症を引き起こすリスクがあります。
- 視力の低下
- 失明
- 顔面神経麻痺(顔が動かしにくくなる)
- 難聴
首・胸・背中など、上半身に発症した場合の症状
帯状疱疹が最も多く発症するのは、胸、背中、脇腹といった体の胴体部分です。このエリアに発症すると、痛みの後に体の片側だけに、ベルトを締めたように帯状に赤い発疹や水ぶくれが広がるのが大きな特徴です。
上半身の発疹は比較的治りやすいとされていますが、痛みが治まらずに帯状疱疹後神経痛へ移行しやすい部位でもあるため、初期の対処が大切です。
その他の部位に発症した場合
上半身以外にも、帯状疱疹は腰からお尻、手や足といった全身のあらゆる部位に発症する可能性があります。部位によって症状の強さやリスクは異なりますが、発疹が出る前に現れるピリピリとした神経痛や、発疹が体の片側に限られるという基本のサインは共通しています。
特に股間周り(陰部)に発症した場合、排尿・排便に影響が出る可能性もあるため、どの部位に違和感があっても「おかしいな」と感じたら、すぐに皮膚科を受診しましょう。
帯状疱疹の経過と対処法
帯状疱疹の経過と対処法について詳しく解説します。
発疹が出るまでの流れ
痛みを感じてから数日後には、痛みや違和感があった部位に虫刺されのような赤い発疹があらわれます。その後、発疹は小さな水ぶくれとなり、やがて膿を持って破れ、かさぶたとなって治癒に向かいます。この一連の症状は、個人差はあるものの3〜4週間程度で治まるケースが多いです。
「もしかして帯状疱疹かも?」と思った時の対処法
帯状疱疹の治療は時間との勝負です。発疹が出てから72時間以内に抗ウイルス薬を飲み始めることで、ウイルスの増殖を抑え、つらい帯状疱疹後神経痛へ移行するリスクを大幅に減らせます。体の片側にピリピリとした痛みやチクチクした違和感を感じたら、迷ったら我慢せず、早めに専門医に相談しましょう。
日々の生活を見直しながら帯状疱疹を予防
帯状疱疹の予防策対応方法、などをまとめました。
帯状疱疹を予防と対策
帯状疱疹の最も効果的な予防策はワクチン接種です。これは、体内に潜伏している水痘・帯状疱疹ウイルスに対する免疫力を高めることを目的としています。現在、主に以下の2種類のワクチンがあり、費用や効果などが異なります。それぞれの特徴を見てみましょう。
| ワクチン名(販売名) | 生ワクチン(ビケン®など) | 不活化ワクチン (シングリックス®) |
|---|---|---|
| 接種回数 | 1回接種 | 2回接種(2ヶ月~6ヶ月の間隔) |
| 予防効果(年齢層・個人差・免疫状態によって効果は異なる) | 約50%~70%(約5年間持続) | 約90%~97%(約10年以上の持続効果) |
| 費用の目安(地域差、医療機関により具体的な費用は多少異なる) | 1回あたり8,000円程度 | 2回合計で40,000円~66,000円程度 |
| 主な特徴 | 比較的安価で回数が少ない 免疫抑制下の方や妊婦は接種不可 |
高い予防効果が持続。接種後に発熱や筋肉痛などの副反応が起こることがあるが、免疫抑制下の方も接種可能。 |
ワクチンだけではなく、発症の引き金となる免疫力の低下を防ぐため、日々の生活習慣の見直しは欠かせません。
- 十分な睡眠
- バランスの取れた食事(特にビタミン類)
- ストレスを溜めない
効果の持続性やご自身の免疫状態などによって上記の表の限りではありませんが、適切なワクチンはどれか医師とよく相談するようにしましょう。多くの自治体で助成制度が導入されているため、接種前に確認しましょう。
なお、帯状疱疹は一度かかっても再発することがあります。再発率はおよそ1〜6%と高くはありませんが、免疫力の低下などがきっかけになることもあります。
そのため、再発を防ぐ意味でもワクチン接種は有効な手段のひとつです。体調や既往歴に応じて、医師と相談しながら予防を検討してみましょう。
帯状疱疹は早期受診と予防が何より重要
看護師 髙原さんからのアドバイス
帯状疱疹は、初期のチクチク・ピリピリといった小さなサインが、その後の治療効果を大きく左右します。
痛みがあっても「疲れかな」「ストレスかな」と見過ごされがちですが、普段より少しでも違和感を感じたら、早めに医療機関(皮膚科など)を受診し、相談することが大切です。
実際に、早期に受診したことで後遺症を防げた方も多く、看護師として受診を勧めた際に「早めに受診して良かった」と感謝の声をいただくこともあります。
近年では、帯状疱疹ワクチンを再発リスクの予防として接種される方も増えています。
ご自身の体調の変化に気づきながら、日々の生活習慣を整え、健やかに過ごしていきましょう。
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この記事を監修した人

髙原 加奈(たかはら かな)
「one for 看護」キャリアアドバイザー
資格:正看護師/終末期ケア専門士
看護師として10年以上、大学病院、保育園、クリニック、訪問看護、健診クリニックなど、さまざまな現場で臨床を経験。多様な実務やマネジメントの経験を通じて、「働く看護師を支える側に立ちたい」という想いからキャリアアドバイザーの道へ。
現在は株式会社アドバンスト・メディカル・ケアに所属し、「one for 看護」のアドバイザーとして、看護師一人ひとりのキャリアに寄り添った支援を行っている。
one for 看護(ワンフォーかんご)Instagram:
https://www.instagram.com/nurse.onefor/
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