ひざ痛に悩む女性は多い?加齢に伴うひざの痛みの原因と初期症状

加齢によって骨の新陳代謝が低下したり、筋力が低下したり、軟骨にストレスがかかったりすることによって起こるひざの痛み。女性は男性に比べてひざのクッションとなる筋肉の量が少ないため、ひざ痛が起こりやすいといわれています。
更年期に入り、女性ホルモンの分泌が減少すると、骨や筋肉、軟骨といった組織の代謝が阻害され、痛みが出始めるケースも。特に、50歳以降の女性は、軟骨のすり減りによって起こる「変形性膝関節症」に悩む人が少なくありません。
ここでは、ひざ痛の原因となるおもな疾患と、その初期症状について詳しくご紹介します。
なぜひざが痛くなる?ひざ関節の構成としくみ
ひざ痛とは、ひざ関節の周辺が痛くなる病気のこと。ひざ痛について知る前に、まずはひざ関節のしくみについて見ていきましょう。
ひざ関節は、太ももの骨の「大腿骨(だいたいこつ)」と、すねの骨の「脛骨(けいこつ)」、そして"ひざの皿"とも呼ばれる「膝蓋骨(しつがいこつ)」という、3つの骨によって構成されています。脛骨の上を、大腿骨が前後に滑り転がることによって、ひざの曲げ伸ばしが可能になります。また、ひざ関節の周辺にある筋肉や腱、靭帯によってひざの安定性が保たれ、スムーズな動きができるのです。
これら3つの骨の表面は、弾力のある軟骨で覆われており、それがクッションの働きをします。加えて、大腿骨と脛骨のあいだにある「半月板(はんげつばん)」にも、ひざ関節を安定させたり、関節に加わる衝撃を吸収したりする役目があります。
ひざ痛の原因となるおもな疾患と初期症状
ひざ痛は、「平らな所を歩くとひざが痛くなる」「階段の上り下りがつらい」「正座をするとひざが痛い」「ヒールの靴が履けなくなった」「寝ているときに痛みが強くなる」など、人によって痛みの出方が異なります。
このような自覚症状を伴うひざ痛の中で、一般的に多く見られる疾患は「変形性膝関節症」「関節性リウマチ」「半月板損傷」の3つ。それぞれの原因と初期症状は下記のとおりです。
変形性膝関節症
変形性膝関節症は、ひざ痛の原因として最も多く、女性がなりやすい病気です。2009年に行われた調査(※)によると、対象集団内における変形性膝関節症の有病率は、男性42%、女性61.5%。これを日本の人口に換算すると、40歳以上の変形性膝関節症の患者数は、男性860万人、女性1,670万人となり、女性の罹患者数が男性の2倍近くに上ると推定できるそうです。
※和歌山県日高川町、太地町、東京都板橋区の地域住民3,040名(男性1,061名、女性1,979名)を対象に、膝関節のX線写真を撮影し、Kellgren-Larrence法グレード2以上を変形性膝関節症ありとした場合の性別・年齢別有病率を検討した調査。
Medical Asahi 2009 Marchより作成
変形性膝関節症のおもな原因は、加齢によって軟骨や半月板がすり減り、ひざ関節が変形すること。さらに、女性ホルモンのエストロゲンには、骨や軟骨、筋肉の代謝を調整し、すこやかに保つ働きがあるため、エストロゲンの分泌量が減少する更年期以降は、変形性膝関節症になりやすくなります。
変形性膝関節症の初期症状としては、「立ち上がりや歩き始めなど、動作の開始時に痛みを感じる」「朝起きたときにひざにこわばりを感じる」「しゃがんだときに違和感がある」「ひざの内側が痛む」といったものが挙げられます。
変形性膝関節症の症状は、時間をかけて徐々に進行するため、痛みを増幅させないためには早期発見がカギ。医師に相談し、治療を早く始めれば、ひざ関節の変形を遅らせることができるでしょう。
関節性リウマチ
関節性リウマチは、関節が炎症を起こし、軟骨や骨が腫れたり痛んだりする病気。膝だけではなく、全身に症状が出ます。その原因は詳しく解明されていないものの、本来は細菌やウイルスなど、外敵から体を守るべき免疫細胞が、関節を守っている骨や軟骨を攻撃・破壊してしまうことで起こると考えられています。
発病初期の段階では、「熱っぽい」「食欲がない」「全身がだるい」「疲れやすい」「関節がこわばる」といった症状が見られます。進行すると、骨や軟骨が壊れて関節が動かせなくなるほか、関節の炎症が肺や血管など、全身に広がることもあります。
半月板損傷(はんげつばんそんしょう)
半月板は、日常の動きにおいて重要な働きを担うため、負担が大きく、加齢とともに傷つきすり減っていきます。半月板損傷とは、そのような加齢に伴う組織の劣化のほか、スポーツや事故などによって衝撃を受けたり、無理な動きをしたりした際に、半月板が損傷する状態のことを指します。
半月板損傷のおもな初期症状としては、「ひざの曲げ伸ばしの際に痛みが生じる」「ひざの関節が完全に伸びない・曲がらない」「階段の昇降やひざの屈伸時に『ゴキッ』と音がする」「歩いているときにガクンとひざが落ちる」「ひざが熱を持ったり重く感じたりする」といったものが挙げられます。
半月板損傷は、初期に正しい治療を行わなければ、ひざに水が溜まって腫れる「関節水腫」になったり、変形性膝関節症を併発したりする可能性もあります。
40代でも要注意!ひざに違和感を覚えたら迷わず医師に相談を
実は、40代から症状が出始めることも多いひざ痛。女性ホルモンの分泌量減少に伴い、骨や軟骨の代謝が落ちるほか、体重が増えてひざに負担がかかったり、運動不足によって脚の筋力が衰えたりすることが原因となる場合もあります。
激しいスポーツなどでひざを酷使した覚えがないにもかかわらず、今回ご紹介した初期症状があてはまるなら要注意です。少しでも気になる症状があれば、早めに医師に相談するようにしましょう。
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