「傷になる前のケアが女性を救う」更年期を前向きな転機に変える、永田京子さんからのメッセージ

輝く人

8年に及ぶ産後の女性のサポートを通じて、40代以降の女性が心と体の不調を訴える声をたくさん耳にしたという永田京子さん。不調が更年期障害であることに気付かないまま、人生に傷を残すほど苦しんでいる女性たちを救いたいと、更年期の正しい情報と対策を伝えるNPO法人「ちぇぶら」を立ち上げました。

「更年期は英語で『the change of life』。症状が進む前に対策をとることで、人生の転機にしてほしい」と呼びかける永田さんに、ILACY(アイラシイ)世代の女性が前向きに人生を送るためのヒントを聞きました。

更年期に悩む人を救うしくみがないなら、自分で作るしかない

――元々は、産後の女性をケアする活動をしていらしたそうですね。

永田京子さん(以下、永田):バランスボールを使った運動指導で、産後の女性たちをサポートしていました。その活動の中で、40歳以上の女性たちの多くが心や体の不調に悩んでいることを知ったんです。「これって産後の問題だけなのかなぁ」と疑問に感じ始めたころ、自治体から「40代、50代の女性に向けた講座をやってもらえないか」という依頼がありました。そこで集まった人たちに話を聞いてみると、更年期症状が悪化してうつ状態になった私の母の姿と重なるところがあって...。 更年期のケアをしているところがあれば紹介したいと思って探したのですが、見つからなかったんです。これだけ悩んでいる人がいるのに、支えるしくみがまったくないということに驚きました。しくみがないなら自分で作るしかない、と考えて立ち上げたのがNPO法人「ちぇぶら」です。

_MG_8534.jpg

 更年期は「治療の一歩手前のケア」がとても大事と語る永田さん。



――更年期で苦しむお母様を見ていらしたのですね。

永田:母のことも、「ちぇぶら」を立ち上げた理由のひとつです。母がうつ状態になったのは、私が高校生のころでした。明るくてよく笑う元気な母だったのですが、目が乾く、喉がつかえる、肌が荒れるといったさまざまな症状に悩まされて医療機関を次々と回り、改善が見られないことから次第にふさぎ込むようになったんです。 まだ、更年期という言葉が一般的ではなかったので、症状ごとに診療科を変え、いくつも病院を受診していたことも悪化を招く要因だったのでしょう。現在は更年期の診断や治療が確立されつつありますが、大事なのは悪化させないこと。症状が進む前の段階で更年期を疑って、適切な対策ができるだけの知識を持っておくことだと思います。

_MG_8628.jpg

 「更年期で大事なのは、『悪化させない』こと」(永田さん)

「情報、運動、コミュニティ」の3つが更年期対策の鍵

――なんとなく不調を感じていても更年期に結び付けることができず、ジャッジが遅れる女性は多い気がします。

永田:日常生活に支障がない程度の症状なら、うまく付き合っていけばいいと思うんですよ。でも、いつのまにか症状が進んでいたり、ちょっとした不調でも長く続いたりすると、大切な場面で冷静な判断ができなくなってしまうんですね。人生を左右するような決断は、冷静に自分を省みることができるときにするべきなのですが、更年期から来る症状で心と体が疲れきったまま大切な仕事を手放してしまう人や、夫婦関係がうまくいかなくなって離婚を決めてしまう人が少なくありません。 まえもって自分の体に起きる可能性がある変化を知っておけば、初期段階で異変に気付くことができて、人生の「傷」を作る前に対策をとることができるでしょう。更年期が終わってから、「あのつらい時期はやっぱり更年期だったのか」と気付いたという人はとても多いんですよ。

_MG_8572.jpg

 「まえもって自分の体に起こることがわかっていれば、たいへんさが全然違うんですよ」(永田さん)



――具体的には、どのような対策をとればいいのでしょうか。

永田:「ちぇぶら」を立ち上げるときに、更年期の現実についてしっかり知っておこうと、1,000人の女性にアンケートを取って回りました。すると、「誰かにわかってもらえたらもっと楽に過ごせた」「つらいということを話せる場が欲しかった」と答えた方がとても多かったんです。また、運動している層のほうが、していない層よりも更年期の症状が軽かったということもわかりました。 このことから、先ほども少しふれた「知ること」、そして「運動すること」「コミュニティを持つこと」の3つが対策のポイントだと考えています。「ちぇぶら」でも、この3つを柱にしたプログラムを作り、本当に必要な更年期対策を全国の女性に届けることを活動の軸にしています。参加者からは「話せる人がいる、話せる場があることで救われた」「参加して気持ちが変わった」という喜びの声をいただいていて、うれしいですね。

――何か、簡単に試せるメソッドがあれば教えてください。

永田:腹式呼吸を意識して、おなかが膨らんだりへこんだりするのと連動させるようにして、首の付け根を動かしてみてください。私たちの背骨の中には神経の束があって、首の付け根には心身をリラックスさせる副交感神経の根っこが集まっているんですよ。ゆっくり、呼吸と連動させて首を動かすことによって、高ぶった神経を短時間で鎮めることができます。横になりながらでもできるので、忙しい方もぜひ試してみてください。

画像結合アップ用.jpg

腹式呼吸を意識して鼻から大きく息を吸いながら首を後ろに倒し、鼻から息を吐きながら首を前に倒します。

更年期は「人生の折り返し地点」に過ぎない

――きちんと更年期への対策をすることで、いつまでもキラキラした女性でいられたらうれしいですね。

永田:「ちぇぶら」の語源でもあるのですが、更年期は英語で「the change of life」といい、海外では人生の転機としてポジティブにとらえられています。更年期は、「女性がこの先の人生をより健康に、より美しく過ごすための準備期間であり、ピンチではなくチャンスだ」ということなんですね。更年期は、皆さんがイメージするよりずっと若く、人生の折り返し地点に過ぎません。人によっては、折り返し地点にすら達していないこともあるでしょう。更年期には必ず終わりがあります。更年期を過ぎれば、ほぼすべての方が元気を取り戻しますから、工夫して更年期を乗り越えて、未来を健康に過ごしてほしいですね。

ちぇぶら写真1.JPG

 「ちぇぶら」のセミナーに登壇する永田さん。



――最後に、永田さんご自身が「自分を愛おしむため」に行っていることを教えてください。

永田:「自分の魂が喜ぶことをやる」ということですね。今、私が一番幸せを感じるのは、「ちぇぶら」の活動を通じて困っている人が笑顔になるのを見たときです。仕事が増えて忙しくなっても、あちこちで多くの人の笑顔に出会えるのがうれしくて、心から楽しいと思いながら飛び回っているんですよ。いつも自分の魂が満たされているのを感じているので、この活動自体が自分を愛おしむことにつながっているのかもしれませんね。



<プロフィール>

永田京子(ながた・きょうこ)

兵庫県出身、愛知県小牧市在住。2児の母。東映アカデミーに所属し、役者として舞台やドラマなどで活躍した後、ピラティスや整体、経絡、アロマ、リフレクソロジーなどを学び、ピラティス指導者、産後ケアのインストラクターとしての活動を開始。受講者の声と、更年期障害が悪化して苦しむ母を見ていた経験から、女性ホルモン・更年期の正しい情報と対策を伝えるNPO法人「ちぇぶら」を創設した。「ちぇぶら」は更年期を英語でいう「the change of life」の意。

RELATED ARTICLE関連記事

WHAT'S NEW新着記事

    CATEGORYカテゴリー