「気力と体力を一定に保つことが大切」編集者・浜田敬子さんが語る、いい仕事をし続けるための秘訣

輝く人

2018年11月に、メディア業界の最前線を歩む自身の経験を綴った初の著書「働く女子と罪悪感」を上梓した浜田敬子さん。週刊誌「AERA」史上初の女性編集長を務めた朝日新聞社を2017年に退社し、同年「Business Insider Japan」統括編集長に就任されました。

メディア運営という多忙な環境の中で、現在も第一線で活躍している浜田さんに、「いい仕事」をするために心掛けていることを伺いました。

「体力」があれば「メンタル」も強い

――浜田さんは大学を卒業して朝日新聞社に入社後、4年間の新聞記者生活を経て「週刊朝日」「AERA」という週刊誌の編集部に所属されていました。特に女性が記者として働くのはたいへんだったのでは...と想像しますが、当時の生活はいかがでしたか?

浜田敬子さん(以下、浜田):おっしゃるとおりたいへんでした(笑)。実際、入社1年目の秋に腎盂炎にかかって、1週間会社を休んだくらいですから。記者のときは現場に張り付いていなければいけないことも多く、長時間トイレを我慢した結果、膀胱炎になり、そこから腎盂炎につながってしまったんですよね。と同時に、食事も不規則になるし、もちろん慢性的に睡眠不足だし...。おそらく、男性でも体力的にきびしい環境だったと思います。

――その中で、ご自身で工夫されたこともあったんですか?

浜田:食事がとれないこともしょっちゅうだったので、リュックの中におにぎりやクッキーを入れておいたり、膀胱炎にならないようトイレに行けるときに行ったりすることは経験から学んで、心掛けるようにしていましたけど、そもそも私は比較的体力があったほうだと思うんですよ。踏ん張りもききましたし、徹夜で原稿を書いて、そのまま校了作業をし、終わったら飲みに行くみたいなこともできたので(笑)。

そんな生活を20代、30代とできていたのも、人より体力があったからじゃないかと。そして、体力があったからか、メンタルでも打たれ強いほうだと思います。逆をいえば、体力に自信を持てなくなったら、それは絶対に気持ちに影響する。仕事で最後までがんばりがきかなくなるし、自信がなくなる。なので、40歳を過ぎてからは、健康管理をどうするのかというのが、自分の中で重要なテーマになりました。

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いい仕事をするためには、気力と体力を一定に保つことが大切

――浜田さんの40代というと、37歳で「AERA」の副編集長になられて以降、39歳のときに育休を取得。復帰後、47歳のときには同誌編集長に就任と、公私ともに変化の時期と重なりますね。

浜田:そうですね。「AERA」の前に在籍していた「週刊朝日」時代から週刊誌のサイクルには慣れていたのですが、管理職になってからは特に休めなくなりました。なぜなら、私が休むと自分が担当しているページに穴が開くし、ほかのデスクの負担も増えてしまうから。

なので、毎週木曜日と金曜日の校了日に、いかに自分の体調を合わせるかというのがテーマになったんです。さらに、その時期に子供を生んだことで、寝不足になったり、子供から風邪をもらってしまったりということもありましたね。そこで改めて、いい仕事をするためには、気力と体力を一定に保たないとダメだなということを痛感しました。

――そうした忙しさに加え、40代半ばを過ぎたころになると更年期の症状に悩まされる人も増えてきますが、浜田さんはそうした症状を感じることはありましたか?

浜田:若いころから生理痛が重いタイプではあったものの、生理不順などもありませんでしたし、婦人科系の悩みは、現在も含めてそんなにないんです。ただ、ちょうど編集長になったころに、「もしかしたらこれが更年期!?」みたいな症状はありました。

常に鼻の奥が詰まっている感覚があったり、頭の鈍痛がとれなかったり、気分があまり晴れなかったり...。それから、元々ひどかった肩こりが、さらにひどくなったりもしました。

――そういった不調への対処はされましたか?

浜田:周りの人たちからいろいろおすすめされたんですけど、結局忙しいから病院に行くということもなく、週に1回通っていた整体で、だましだましやってきた感じです。

ただ、会社で行われる健康診断は、一度も欠かさずに受けていました。そこで、A判定が出るかどうかがひとつの目安。血液検査と尿検査をやっていれば、ある程度の不調が起きたときに結果に出ると思うので、それだけは欠かさないようにしています。

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ずっと働き続けていられるのは、体を温めているおかげ

――浜田さんは、一昨年朝日新聞社を退社し、「Business Insider Japan」の統括編集長に就任されました。50歳での転職に加え、週刊誌から日々の更新が不可欠となるウェブメディアに携わることになったということで、生活の変化も大きかったのではないでしょうか。

浜田:23年間の週刊誌生活でほとんど病欠したことがなかったのが、今の仕事に転職した直後に、肺炎になるわ、過労で入院はするわ、インフルエンザにも20年ぶりにかかるわと、一気に体調が崩れました。それはやっぱり、転職のストレスや環境の変化が大きかったと思うんですけど...。

転職したてのころは、毎日の更新に備えて遅くまで原稿を書きつつ、朝5時に起きて記事がアップされているかを確認し、また少し寝るといった生活をしていました。最近では、まず睡眠時間をキープするようにしています。

――何がなくとも睡眠が大事、と。

浜田:人それぞれだとは思いますが、私の場合は睡眠がとれていれば大抵のことは大丈夫な気がします。今は6時間睡眠が目標で、ちょっと体調に不安があるときには7時間寝るとか、喉が痛いと思ったらマヌカハニーを食べるとか、早め早めに対処するようにしていますね。

繰り返しになりますが、とにかく体調と気力に波を作らないようにするというのを、今もすごく気を付けています。でも、ジョギングなどの運動はまったくしていないんですよ。過去にはヨガやジムなどにトライしたこともありましたが、全部途中で挫折(笑)。やっぱり、続けられるものじゃないとダメなんですよね。

なので私は、よく寝ること、ご飯をきちんと食べること、水分をとること、それから体を温めることを怠らないようにしています。

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――誰にでもできそうなことばかりですね。「体を温めるといい」とはよくいわれることですが、浜田さんはいつごろから、何がきっかけで温めるようになったのですか?

浜田:実は30代で子供が欲しいと思ったときに、なかなかできなかったんですよね。その時期に通っていた漢方の先生に、とにかく体を温めなさいと言われたのがきっかけで、それを今も続けているんです。

お風呂に入ることはもちろん、冬は腰にカイロを貼ったり、夏でもクーラー対策としてレッグウォーマーをしたり。温めたことで劇的に何かが良くなったということはないんですが、悪くもなっていないという。これだけ無茶な働き方をしていても、たいした病気もせずにずっと働けているのは、体を温めているおかげかなと思うんですよね。

――浜田さんのようにキャリアを重ね、いきいきと働き続けている姿に憧れを持っている女性は多くいると思います。最後に、浜田さんが「自分を愛しむ」ために行っていることを教えてください。

浜田:お風呂に入ること、ですね。もちろん、体を温めるという意味もありますが、湯船に浸かっているあいだは何もできないじゃないですか。そこで、何も考えずにファッション誌などを紙がボロボロになるまで読むのが好きなんです(笑)。

忙しいとどうしてもシャワーで済ましてしまいがちですけど、きちんとお風呂という自分のためだけの時間を持って、メイクを落として解放感を感じるのが毎日の楽しみになっています。



<プロフィール>

浜田敬子(はまだ・けいこ)

オンライン経済メディア「Business Insider Japan」統括編集長。1989年に朝日新聞社に入社。前橋支局、仙台支局、「週刊朝日」編集部を経て、1999年より「AERA」編集部に所属。2014年に「AERA」初の女性編集長に就任する。2017年に朝日新聞社を退社し、同年より現職。「羽鳥慎一モーニングショー」や「サンデーモーニング」など、情報番組のコメンテーターや講演なども行う。2018年に初の著書「働く女子と罪悪感
」(集英社)を上梓。

書影_投稿用.jpg 「働く女子と罪悪感」(集英社)
著:浜田敬子 定価:1,300円+税
https://books.shueisha.co.jp/items/contents.html?isbn=978-4-08-788008-3




(取材・文:片貝久美子/写真:垂水佳菜)


※掲載している情報は、記事公開時点のものです。

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