夫とうまくコミュニケーションがとれない...悩みのプロセスから考える解決策

コラム・心地よいわたし

体の不調に引きずられるように、心も大きく揺れ動く更年期。精神的な余裕のなさや漠然とした不安、不満、寂しさといった不安定な心が、人とのコミュニケーションに影響を及ぼすことも少なくありません。

中でも悩んでいる人が多いのが、「夫源病」という言葉も話題となった夫とのコミュニケーションや関係です。夫婦はいっしょにいる時間が長いため、原因を探る暇がないまま負のループにはまってしまいがち。そこで効果を発揮するのが心理カウンセリングというアプローチです。

心理カウンセリングとは...

その人の悩みや不安に寄り添いながら、ストレスを生み出す心のパターンを見つけたり、悩んでいることの本当の原因を知るお手伝いをしたりなど、相談者といっしょに解決の糸口を探るもの。

今回も、悩みに至ったプロセスから考える対処法について、心理カウンセラーの半澤久恵さんに教えていただきます。

悩みに至るプロセスにフォーカスすることが重要

――更年期に、夫との関係に悩む人が多いのはなぜでしょうか?

更年期ならではの心のゆらぎに加えて、子供の思春期や巣立ちの時期と重なりやすい年代にあたるため、夫婦で話し合わなければならないことが多くなったり、2人で過ごす時間が増えたりすることが大きいと思います。

これまで程良い距離感を保つことで顕在化せずに済んでいた相手の欠点が目につくようになり、違和感や不満が募ってしまうこともあるのでしょう。

――具体的にはどのような悩みを抱えている人が多いのでしょう。

子育てに関して意見が合わない、共働きなのに育児が奥さんのワンオペになっている、いろいろ相談したいことがあるのに自分の時間を優先して取り合ってくれない...といった相談が多いですね。

ただ、そうした悩みには、そこに至ってしまったプロセスが必ずあります。そのプロセスを無視して現時点の悩みだけにフォーカスすると、「家事・育児を分担する」「会話する時間を作る」といった悩み事の解決に終始してしまい、本質的な問題から目をそらすことになりかねません。

絡まった糸を解くように、ゆっくりと自分の正直な気持ちに目を向けながら、思考の糸をたどってほぐしていくことが大切です。

思い込みがコミュニケーションを阻害する

――悩みに至るプロセスについて、代表的なケースと対処法を教えてください。

プロセスは、大きく分けて4つあります。


1 「話す」「相談する」ことをあきらめている

まずは、「話す」「相談する」ことを最初からあきらめているケースです。「話しても無駄」「聞いてくれるわけがない」という気持ちが先に立って、行動に移せないというパターンですね。

条件反射的に判断していることが多いので、まずは「なぜそう感じるようになったのか」を、自分の感情に寄り添いながら整理することから始めましょう


2 夫に話そうとしても言葉が出ない

2つ目は、夫に話をしようとすると言葉が出ないというケース。さまざまな背景が考えられますが、「忙しい夫にこんな話をしたら迷惑がかかる」などの思い込みから、時間を奪うのは申し訳ないと考えてコミュニケーションを断念してしまう方が多いですね。

私は、こうした強い思い込みによって作られる、「~となってしまうかもしれない」という予想を「恐れのストーリー」と呼んでいます。そうなるのでは...という可能性から勝手にストーリーが作られ、それが本当になるのではないかという不安から無意識に行動を制限してしまうのです。

こうしたケースでは、自分の描いている恐れが単なるストーリーにすぎないことを認識し、フラットな気持ちで夫を見直すことによって、思い込みのフィルターが外れる可能性があります

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3 自分の思考パターンに相手の言動をあてはめてしまう

「自分ならこうだから、相手もきっとこうするだろう」というように、自分のパターンに相手の言動をあてはめて決め付けてしまうというケースです。「何度も同じ話をされたら私でも面倒に思うから、夫もきっと聞いてくれない」という感じですね。

実は、ここまでの3つのケースのように、行動する前に断念してしまうと、自分が楽なんですよ。行動するには勇気がいりますし、やってみて「やっぱりダメだった」というときのショックは大きいですが、そもそも挑戦しなければ傷付くことはありません。

これ以上自分が傷つかないようにと無意識で自分を守っている人や、相手のことを考えすぎてしまう人に多い行動パターンですね。


4 夫とのコミュニケーションにおける嫌な思い出を引きずっている

4つ目は、夫とのコミュニケーションにおいて、実際に嫌な思いをしたことがあるケースです。話しかけたのに無視された、馬鹿にされた、適当にあしらわれたといった経験があって、同じように話しかけようとする度に記憶がフィードバックして、コミュニケーションを阻害してしまうんですね。

こうした場合は、どういう場面でどんな言動があったのかという事実を丁寧に振り返ってみると、それが日頃からの精神的なDVにあたるものなのか、一度だけの記憶が強烈に印象付いてしまっているだけなのかを判断することができると思います。

前者であればそれなりの対応が必要ですし、後者であれば、いったん夫の言動を客観視して、話しかけるタイミングなどを工夫してみてもいいのではないでしょうか。

感情に向き合い、潜在意識を変えることから始めよう

――どうしても夫を責める気持ちが抑えられない、という方も多くいそうです。

ネガティブな気持ちは誰にでもあるもので、それが発露すること自体が悪いわけではありません。特に、夫は最も身近な存在ですから、「信頼関係を築きたい」「仲良くしたい」という思いが強ければ強いほど、理解してもらえないことや会話が成り立たないことにもどかしさを感じて、落ち込んだり怒りを感じたりしてしまうものです。

とはいえ、夫を責めるだけでは何も変わりません。「責める」「批判する」という負の感情がわき上がってきたとき、その感情を感じないよう膨大なエネルギーを使ってしまう前に、相手と自分の感情に「気付く」ことに意識を切り替えましょう

遠回りのように見えても、感情の出所を見極めて対峙することでしか、根本的な解決は図れません。

――最後に、夫とのコミュニケーションに悩む方にアドバイスをいただけますか。

「今度こそ夫を責めないようにしよう」「次は勇気を出して相談してみよう」と、自身の考え方を変える努力をした経験がある方の多くは、いったんは関係が改善されたように見えても、すぐ元に戻ってしまうという苦しさを味わっているのではないでしょうか。

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人間の意識は9割以上が潜在意識、残りの1割弱が顕在意識で構成されているので、表面的な考え方を変えるだけでは同じことを繰り返してしまうものです。無理に感情にブレーキをかけて自分を縛るのではなく、一度しっかり感情に向き合ってみましょう

自分が一番イライラするポイントや、わかっているけれど繰り返してしまう、というような状況がわかれば、根本のストレスへのケアをすることができます。潜在意識が変われば、自然と考え方や行動も変わっていきますよ。

もし、一人では自分の感情に目を向けにくいというときは、ぜひセラピーやカウンセリングを利用してみてくださいね。


お話を伺ったのは...

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半澤久恵さん(心理カウンセラー/セラピスト)

大学卒業後、出版社へ入社。体調を崩したことをきっかけに、興味のあった心と体に関わる仕事をするため、アロマセラピーの道へ。サロンでセラピストとして働きながら、整体やアロマスクールの講師も務める。2012年にOAD心理セラピストの資格を取得。現在は自身のサロン「AROHAM」にて心と体にまつわる個人セッションを行うほか、心理学の講師としてセミナーなども開催している。
https://www.aroham-kee.com/

※掲載している情報は、記事公開時点のものです。

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