40代、私はこのままでいいの?――やりたいことに一歩踏み出すには

コラム・心地よいわたし

40代の女性は、更年期による心身の不調に加えて、子供の思春期や親の介護といった家族関係の変化が重なりやすい年代。忙しい毎日の中でふと自分と向き合ったときに、「自分はこのままでいいのだろうか?」「やりたいことをあきらめたまま歳をとっていくのだろうか?」といった不安感や虚無感、焦燥感に襲われる時期かもしれません。
一方で、やりたいことが見つかっても、一歩が踏み出せずに悶々とする人も少なくないようです。

「なぜ、不安になるのか。どうして、やりたいことに挑戦できないのか」

こうした漠然とした感情の正体を見極め、マインドセットし直す方法のひとつに、心理カウンセリングがあります。
心理カウンセリングは、一人ひとりの心に寄り添い、無自覚のフィルターや潜在意識にしまわれた思いに本人が気付くことで、いっしょに解決の糸口を探るもの。答えを示すのではなく、原因がわからないまま絡まってしまった心の糸を解きほぐし、暗いトンネルから抜け出す手助けをしていきます。

今回は、ILACY(アイラシイ)世代が、モヤモヤした感情を乗り越えて、自分のための一歩を踏み出すためのヒントを、心理カウンセラーの半澤久恵さんに教えていただきました。

現時点の自分を受け入れ、ねぎらうことが大切

――40代で、不安や虚無感を訴える人は多いですか?

そうですね。40代は、自分の心身に加えて、家族関係や環境の変化が著しい時期。子供が自立して「母親としての自分」が失われたように感じたり、さまざまな面で老いを自覚することが増えたり、さらには、老後がリアルに感じられるようになって「今の自分」に自信がなくなったりと、アイデンティティが揺らぎやすいタイミングでもあります。

この時期に改めて自分と向き合い、「このままでいいのだろうか」「自分が本当にやりたいことってなんだろう」といった、漠然とした不安や焦燥を感じる人は多いですね。

――このままでいいのかという不安感には、どう対処すればいいのでしょうか?

不安や焦燥を感じる人の多くは、「できないこと」ばかりに目が向きがちになっています。がんばっている方ほど、「私は何もしていない」と無意識に自分に厳しい声を投げかけがち。

ですので、まずは現時点でできていることを探して、「よくがんばっているよ」と自分をねぎらってあげましょう今の自分を受け入れることができればかなり楽になりますし、前向きに未来を考えられるようになります。

――自分を受け入れた結果、「やりたいこと」が見つかればモヤモヤは解消しそうですね。

ところが、やりたいことや気になることが見つかっても最初の一歩が踏み出せず、周りにいる好きなことに打ち込んでいる同年代の人が輝いて見えて、自分と比べて落ち込んでしまう人もいます。

チャレンジを躊躇する理由には、大きく分けて3つのパターンがあります。

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自分のやりたいことに素直になる感覚を忘れている

1つ目は、「やりたいことをする」という感覚を忘れてしまっているパターンです。

子供のころは、ほとんどの人が「やってみたい!」「おもしろそう!」という感情に対して素直に行動しますよね。ところが、大人になるにつれて、「これを選ぶべき」というような「◯◯すべき」思考を優先するようになります

もちろん、堅実な判断を求められる場面ではそうした考え方をすることも必要ですが、そういった安心・安全な思考を優先する習慣が染み付いてしまうと、「自身が本当にやりたいこと」が生まれても、素直な感情でそれを選択しづらくなってしまうんです。

中には、自分の本当の気持ちに蓋をしていることにすら気付かない人もいるんですよ。


感情を抱くことに抵抗がある

2つ目は、感情を抱くことに心理的な抵抗があるパターンです。

やりたいことをやりたいようにやった結果、何らかの嫌な思いをした経験があって、感情のチャンネルをシャットダウンしてしまっている、トラウマ由来の方が多いかもしれません。


やりたいことをすぐあきらめてしまう

3つ目は、自己肯定感が低く、自分が小さな存在に思えていて、やりたいことをあきらめてしまうパターンですね。

甘えるのが下手で、言いたいことがあっても我慢してしまい、自分より他人を優先する長女タイプや、場の空気を読みすぎるタイプの方に多い印象です。

"響き合い"のメカニズムを大切に

――やりたいことを見つけて、一歩踏み出すためのヒントを教えてください。

感情より思考を優先してしまう人は、「◯◯するべき」に加えて「◯◯したい」という選択肢を設けることから始めてみましょう。

自分の役割に対する責任感が強い人は、「◯◯したい」という選択肢があることによって、自身の責任を果たせなくなるのではないかという心理的なハードルを感じることがあります。

例えば、「母親であること」が自分の役割であると考えている人が、趣味に時間を使うことに罪悪感を覚えるような場合ですね。そこで考えていただきたいのは、「したい」モードになることによって起こる、良い波及効果です。お母さんが心地良く幸せを感じて生きていれば、家族の感情もそれに共鳴して良い方向に動くもの。

「母はこうあるべき」という見えない鎖に縛られて役割をこなすより、"響き合い"のメカニズムを利用して幸せの連鎖を目指したほうが、ずっと良い結果が得られると思いますよ。

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――トラウマ由来の場合はどうでしょうか?

過去の出来事がきっかけで感情を抑制している人は、まずは感情を出さないようになった出発点を探ります。その上で、できればその出来事と、それに対する自分の感情を丸ごと受け止めてください。

ここが「言うは易し、行うは難し」の部分ですが、「感情を出さなかったり、気持ちを抑えがちになったりするのには理由があるんだよね」と、ご自分を労ってあげてほしいのです。

例えば、自分の中に一人セラピストを立てて、「怒りを感じるのも当然だね」「嫌だったね」と自分に共感してあげるイメージです。傷付いた体験を肯定してあげると、潜在意識が変化して感情が動き出すきっかけになります

ただ、トラウマがあったり、気持ちが大きく動いたりする場合は専門家といっしょに取り組むことをおすすめしているので、まずは昔の出来事を思い返していくよりも、日常の中で、自分が自分の一番の味方になるような声掛けから試されるのも一つの手かと思います。

――自己肯定感は、どのように高めていけば良いのでしょう。

初めに、「ちっぽけだ」とか「人に否定されがちだ」といった自分の定義が、あくまでセルフイメージであることに気付いてください。それが、初回にお話しした潜在意識のメガネをかけて自分を見ている状態です。

自己肯定感が低い人は、例えば、自身をよく叱る上司が誰かを褒めているのを見て、「あの人はうまくやっているのに私はなんてダメなんだろう」「やっぱり私はおとなしくしていたほうがいい」と、マイナスのセルフイメージが刺激されて、何も起きていないのに傷ついてしまうこともあります。

「きっとできない」「あきらめたほうがいい」という心の声が聞こえたら、メガネをかけて自分を見ていないか考えてみることが大切です。メガネを外して見えてきた本来の自分を基に、セルフイメージを再構築していきましょう。

まずは

・今の自分のありのままの気持ちを受け入れ、大切にする
・次の一歩を踏み出そうとする、ワクワクする感情を動かす

といったことを意識してみてください。すぐにできなくても、まずはそうしようとするだけでも構いません。

ときにはシンプルに、心から自分がしたいと思うことだけをする時間を持ってみるのもいいですね。小さなことでも、自分がワクワクするものを選択することから、みずからを大切にする感覚を思い出すことができるでしょう。

また、自分のありのままの気持ちを受け入れたり、急に自分に優しい言葉をかけたりするのは難しいという方は、まず自分を否定しないようにする、ネガティブな感情も「そうだよね」と隣で気軽に自分の話を聞くようにするのもいいかもしれません。

「北風と太陽」のお話のように、厳しさより優しさの眼差しの中で自己肯定感は戻ってきます。どうぞリラックスして試してみてくださいね。


お話を伺ったのは...

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半澤久恵さん(心理カウンセラー/セラピスト)

大学卒業後、出版社へ入社。体調を崩したことをきっかけに、興味のあった心と体に関わる仕事をするため、アロマセラピーの道へ。サロンでセラピストとして働きながら、整体やアロマスクールの講師も務める。2012年にOAD心理セラピストの資格を取得。現在は自身のサロン「AROHAM」にて心と体にまつわる個人セッションを行うほか、心理学の講師としてセミナーなども開催している。
https://www.aroham-kee.com/

※掲載している情報は、記事公開時点のものです。

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