日常生活に支障をきたすパニック障害。一歩手前で回避するには?

コラム・心地よいわたし

直接的な原因がないにもかかわらず、突然急激な不安に襲われ、動悸や手足の震え、めまいなどの異常が起きるパニック障害。パニック障害であることを公表して休業した芸能人をきっかけに、その病名を知ったという人も多いでしょう。

これは、決して珍しい病気ではなく、誰でもなりうるもの。前兆があったら早めに気づき、パニック障害に陥るのを回避することが重要になってきます。
今回は、パニック障害に至る危険信号を察知したときの対処法について、心理カウンセラーの半澤久恵さんに教えていただきます。

パニック障害になる前に適切なケアを

――まずは、パニック障害とはどういう病気なのか、教えてください。

パニック障害は、突然理由もなく不安が襲ってくると同時に、めまいや動悸といった身体症状が出る病気です。まだわかっていない部分もありますが、恐怖や不安に関係する神経伝達物質と、興奮を抑える神経伝達物質のバランスが崩れることによって、脳の状態が変化して起こるといわれています。

この病にかかったことを公表した著名人を通じて広く知られるようになりましたが、実は発症率が高く、誰でもなりうる病気なんです。

身体の発作は比較的短時間で治まるものの、それは「このままでは死んでしまうかもしれない」と感じるほどで、コントロールがまったく利きません。しかも、心電図や血液検査などをしても身体的な異常が見つからず、発作を繰り返します。

こうした経験から、「また同じような発作が起きるのではないか」「人前で発作が出たらどうしよう」という強い恐怖心が、発作時の感覚とともに植えつけられてしまいます。

――発作そのものだけでなく、発作に対する恐れもあるのですね。

外で発作を起こすのが怖くて外出を避けるようになったり、閉じ込められた場所で発作を起こしたら助からないかもしれないという不安から、電車内やエレベーターなど閉塞感のある場所にいられなくなったりなど、「予期不安」(※1)「広場恐怖」(※2)と呼ばれる症状に発展することが多いようですね。

ここまで進むと、医療の手を借りて治療する必要がありますし、「仕事に行く」「買い物をする」といった、通常なら当たり前にできる行動に支障が出てくるので、次第に「できない自分」が情けなく思えて自分を責めるようになってしまいます。できるだけ早期に、自分の心と体の声に気づいて、適切な対処をすることが重要です。

※1 予期不安...発作を経験したため、またあの発作が起きるのではないかという不安を感じる症状のこと。

※2 広場恐怖...電車やバスなどの公共交通機関のほか、広い場所、映画館・店といった限られたスペースなど、すぐに逃げ出すのが難しい場所にいることに、過剰な恐怖や不安を感じる症状のこと。

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――パニック障害になりやすい人の特徴はあるのでしょうか?

傾向として、「几帳面で真面目な人」や「心配性、ストレスが多い人」が発症しやすいといわれています。 まずは自分の性格や考え方の癖を認識することが大切ですね。


几帳面で真面目な人

パニック障害になりやすいタイプは、基本的に几帳面で真面目。生活する中で目につくこと、気になることが多く、「なんとかしなければならない」という責任感が強い人が多い印象です。


心配性、ストレスが多い人

心配性の親に育てられた人は、その価値観に慣れているため、自分も心配性になっている人もいます。ストレスが多い環境に長く身を置いている人も、知らず知らずのうちに自分を追い込んでいることがありますから、自分が心地良くリラックスできる状況を作ることができているか、意識してほしいです。

こういった人たちが、「時々理由もなく不安になる」「動悸がすることがある」といった具体的な症状を感じたら、ストレスの原因を探るとともに、意識的に心と体を休めましょう

「自分なりのお守り」を見つけておくと安心

――パニック障害になりやすいタイプの人は、どのように自分と向き合えばいいのでしょうか?

パニック障害になりやすい性格や考え方の人は、周りの不安や恐れまでを自分のことのように感じてしまうくらい、繊細で傷つきやすい感覚を持っていることもあります。でも、それは個性ですし、優しさや愛情といった良い発現の仕方をすることも多いので、無理に変える必要はありません

そもそも、「気にしないようにしよう」「もっとおおらかになろう」と思うだけでは、一時的には改善しても長続きしないのです。

個性がマイナスの方向に振れやすいときは、場面ごとに「なぜそう感じたのか」「無理をしていないか、無理をしているとしたらなぜなのか」を考えて、根本から解決することが大切。

一般的に、パニック障害で最初の発作を起こす前には、何かしらストレスフルな出来事があります。ストレスから来るマイナスの感情に気づかず、無理をしすぎて限界を超えてしまう前に、自分と向き合う時間を作りましょう

――不安感や動悸、めまいなどを感じたときにおすすめの方法があれば教えてください。

息を軽く吸って、ゆっくり吐く。これを繰り返すだけで、自律神経が整い、心が落ち着きます。呼吸はいつでもどこでも簡単に意識できますから、試してみてください。

もうひとつ、覚えておいていただきたいのが「タッピング」。これはEFTというセラピーの手法のひとつで、いわば鍼を使わない鍼治療のようなものです。

不安や恐怖を感じたら、眉頭、目の下、脇の下、鎖骨の下のツボを順番に2本指でトントンと叩いていきましょう。しばらく繰り返すことでリラックス効果が得られます。

<タッピングの方法>

公共の場など、すべてのツボを叩くのが難しい場で不安を感じたときは、鎖骨の下だけでも効果がありますよ。大事なのは、もしものときに備えて自分なりの対処法を見つけておくことです。

――「自分なりのお守り」を持っておくようなことですね。

「何かあったらなす術がない」という状態では不安が増しますが、「何かあってもこうすれば大丈夫」という行動があれば、自信を持って行動できるようになります。

危険な状態を自分の力で乗り越えた経験を少しずつ積み重ねて、「安心の感覚」を自分の中で育てていきましょう。安心の感覚が増えていけば、身体的症状も心の動きに同調して落ち着いていくはずです。

――最後に、パニック障害に不安を感じている人にメッセージをいただけますか。

「パニック障害になるかも」という危険を察知した段階で適切なケアができれば、発作はもちろん、予期不安によって日常生活に制限がかかる前に自分を救える可能性があります。今回ご紹介した方法を参考に、自分に合った対処法を見つけて、不安感をコントロールしながら、パニック障害が起こるようになった根本の原因をみていくのがいいでしょう。

ただし、気をつけていただきたいのは、症状が強い場合は専門家のサポートが必要であるということです。セルフケアに限界を感じたら、パニック障害専門の医療機関やカウンセラーに相談して、適切な治療をスタートさせましょう

治療と並行して、自分に合った発作を回避する方法を見つけて取り入れれば、回復を早める手助けになると思います。焦りや不安があるときこそ、自分に優しく、ゆっくりケアしてください。


お話を伺ったのは...

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半澤久恵(はんざわ・ひさえ)さん

心理カウンセラー/セラピスト

大学卒業後、出版社へ入社。体調を崩したことをきっかけに、興味のあった心と体に関わる仕事をするため、アロマセラピーの道へ。サロンでセラピストとして働きながら、整体やアロマスクールの講師も務める。2012年にOAD心理セラピストの資格を取得。現在は自身のサロン「AROHAM」にて心と体にまつわる個人セッションを行うほか、心理学の講師としてセミナーなども開催している。
https://www.aroham-kee.com/

※掲載している情報は、記事公開時点のものです。

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