更年期にひどくなる、肩こりに効く体操って?

コラム・心地よいわたし

更年期に入り、以前より肩こりがひどくなったと感じる女性は多くいます。更年期の正しい情報と対策を伝えるNPO法人ちぇぶらの代表理事で、更年期ケアインストラクターの永田京子さんによると、肩こりは「更年期女性が悩む症状No.1」といって過言ではないそう。

では、なぜ更年期になると肩こりがひどくなるのでしょうか。その原因に加え、手軽にできる肩こり解消エクササイズを、永田さんに教えていただきました。

更年期女性の肩こりを引き起こす要因は2つ

――更年期に肩こりがひどくなるのはなぜでしょう?

肩こりの原因は、おもに老廃物の蓄積によるものですが、更年期世代に肩こりが起こる理由は2つあると考えられます。


肩こりの原因1 姿勢

まずひとつは「姿勢」。年齢とともに筋力が低下してくると、骨盤が後ろに倒れて猫背になってしまいます。そうすると、背中の上部の血行が悪くなり、それによって老廃物が溜まりやすくなってしまうのです。

特に女性は、掃除や台所仕事といった家事のほか、最近だとスマートフォンを使うときなど、下を向いている時間が長くなりがちですよね。下を向く姿勢というのは、重い頭を首や肩が支えていることになるので、それも肩こりが起こる原因になります。


肩こりの原因2 女性ホルモンの減少

そしてもうひとつの理由は、「女性ホルモンの減少」です。女性ホルモンにはさまざまな役割がありますが、その中には血管を強く、しなやかに保ってくれる働きがあります。

更年期に入って女性ホルモンが急激に減少すると、血管がそれまでよりも細く、固くなってしまうんですね。そのため、血行が悪くなって肩こりの原因となる、老廃物が溜まりやすくなるのです。

肩甲骨を動かそう!肩こりに効くエクササイズ

――ではさっそく、肩こり解消に適したエクササイズをご紹介ください。

はい。今回のエクササイズのポイントは、肩甲骨を大きく動かすこと。まずは、ご自身の肩甲骨の状態を確かめてみましょう。

右手を後ろに回して腰の部分にあて、左手を肩甲骨の下に指を入れるようなイメージで押し当てます。

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これは、肩がこっているかどうかを簡単に確認できる方法。こっていない人は肩甲骨の下に指がグッと入っていくのですが、こっている人はあまり入っていきません。ですので、そういう状態の方はぜひ、このエクササイズを試してほしいです!

また、この動きを先に行っておくと、肩甲骨を意識するようになるので、エクササイズのときも動かしやすくなりますよ。

【肩こり解消エクササイズ】
1. 肩に手をのせ、ひじで大きな円を描くように大きく前回しを10回行う。

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肩を動かすだけではNG。ひじを大きく動かすことで、肩甲骨までしっかりほぐせます。痛みを感じる場合は、回数を減らすなど無理のない範囲で行いましょう。

2. 同様に、後ろ回しを10回行う。

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エクササイズ中、腕の付け根にある三角筋がつらくなってくると思いますが、それは肩周りがきちんと動いている合図。このように、三角筋を鍛えると血流が良くなり、肩こりの解消にもつながるので一石二鳥です。

3. 両手を前に出してクロスし、手のひらを合わせたら上方へ伸ばす。後頭部で二の腕を後ろに押すようにしたまま10秒キープ。

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4.腕をほどく。

――肩甲骨を動かすことに、どのようなメリットがあるのでしょうか?

それは、肩甲骨周りに溜まっている老廃物を浮かせるためです。ただ肩甲骨を動かすだけだと、老廃物は浮いたままの状態なので、「両腕を上方へ伸ばして離す」という動きで、老廃物を流してあげるんです。

このときに重要なのが、上げた両腕を後頭部で少し押すようにすること。その形を作ることで腕はプチ加圧状態となり、腕をほどいたときの血流がいつもより良くなります。

実際にやってみると、(老廃物が)流れている感じがすると思いますよ。

――肩こり解消というと、すぐにマッサージに行くとうイメージがありますが...。

もちろん、マッサージもいいんですよ。でも、更年期の肩こりって、本当にひどくなるんです。私の身近な人にも、頭痛と吐き気がひどくて、何か脳の病気かと思って病院に行ったら、実は肩こりによる症状だったという人が何人もいるほど。

そういう方がマッサージに行ったとしても、こりすぎなので痛いだけ、というケースも少なくありません。ですので、もし肩こりを解消したくてマッサージに行くのであれば、行く前にこのエクササイズをして、事前に軽くこりをほぐしてから行かれるのがいいかもしれません。

――エクササイズを行うのに、適さない時間帯などはありますか?

いつ行っても大丈夫です。座ったままでも、立ったままでもいいですし、横になった状態で片方ずつ回すだけでも効果があります。

また、寝る前に行うのもおすすめですね。そうすると、寝ているあいだに血流によって老廃物が流れて、翌朝に尿として排出されるため、スッキリと目覚めることができると思います。

もうひとつ、簡単にできる肩こりに効くツボもご紹介しましょう。

【肩こり解消のツボ】
天髎(てんりょう)

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肩甲骨の内側の上部にある「天髎(てんりょう)」というツボを、「気持ちいい」と感じる強さでじんわりと5秒×5回押してください。

肩がこってつらいなと感じたときに、無意識にこのツボを押している...という声も聞きますが、とても有効ですよ。

肩こりは、ただ肩がつらいだけでなく、それが原因でさまざまな症状に見舞われることも多くあります。

肩こりがつらいときにここでご紹介した体操を行うのもいいですが、日々実践する癖をつけることで、肩甲骨に老廃物を溜めないようにすることをおすすめします!


お話を伺ったのは...

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永田京子(ながた・きょうこ)さん

兵庫県出身、愛知県小牧市在住。2児の母。東映アカデミーに所属し、役者として舞台やドラマなどで活躍した後、ピラティスや整体、経絡、アロマ、リフレクソロジーなどを学び、ピラティス指導者、産後ケアのインストラクターとしての活動を開始。受講者の声と、更年期障害が悪化して苦しむ母を見ていた経験から、女性ホルモン・更年期の正しい情報と対策を伝えるNPO法人「ちぇぶら」を創設した。「ちぇぶら」は更年期を英語でいう「the change of life」の意。
初の著書「女40代の体にミラクルが起こる! ちぇぶら体操」(三笠書房)が発売中。

NPO法人ちぇぶらホームページ
YouTube「ちぇぶらチャンネル」

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女40代の体にミラクルが起こる! ちぇぶら体操」(三笠書房)
著:永田京子 定価:1,400円+税




※掲載している情報は、記事公開時点のものです。

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