40代からの股関節ケア―「歩く・走る」をスムーズに【ストレッチ編】

コラム・心地よいわたし

私たちが普段何気なく行っている「歩く」「走る」「階段を登る」といった動作。このときに重要な働きを担っているのが、骨盤と大腿骨(だいたいこつ)と呼ばれる太ももの筋肉をつなぐ股関節です。
しかし、女性は40代になると、股関節周りの筋肉が硬くなったり、筋力が低下しやすくなったりすることで、股関節の動きが悪くなってくるといいます。

更年期トータルケアインストラクターの永田京子さんによると、股関節の衰えによって引き起こされる、歩行困難などの将来的なリスクを軽減するには、40代からのケアが重要とのこと。
そこで、ILACY(アイラシイ)では、2回にわたって股関節のケアの仕方をご紹介。第1回は、股関節周りの筋肉を伸ばすストレッチです!

40代が股関節ケアを意識するべき目安である理由は?

――股関節にはどういった働きがあるのでしょうか?

股関節は骨盤と大腿骨をつないでいる関節で、上半身を支える重要な部分です。それだけでなく、歩く、走る、階段を登る、座る、立つなど、日常生活におけるすべての動きに関わってきます。そのため、股関節が衰えると、さまざまな支障が出てきてしまいます。

■股関節の位置

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以下に挙げる項目にあてはまるものはないでしょうか。

□何もないところでつまずく
□歩くのが遅くなった、歩幅が小さくなった
□階段を登るために足を上げるのがつらい
□普段あまり運動やストレッチをしていない
□40歳を超えている

たとえ40歳未満であっても、あてはまる項目がある人は股関節の衰えを意識したほうがいいかもしれません。

――股関節が衰えると、これまで何気なく行っていた日常の動作がままならなくなってしまうわけですね。

そうです。一番のダメージはやはり、歩けなくなること。高齢になると骨が弱くなっていくことも重なり、ちょっとしたつまずきや転倒で股関節を骨折することもあります。そこから要介護につながるケースは少なくないんですよ。

とはいえ、若い世代は大丈夫かといえば、決してそうではありません。40代を過ぎたあたりから多く聞かれるのが、

・段差がないところでつまずくようになった
・20代、30代の頃と比べて歩くのが遅くなった
・大股で歩こうとすると股関節に違和感がある

といった声。これは、股関節が衰え始めている合図と考えられます。

――たとえ股関節に違和感がなくても、「40代」であることは衰えを意識する目安になるんですね。

股関節にとって40代は大きな節目だと思いますね。40代に入ると女性ホルモン(エストロゲン)が急激に減少していきますが、その影響で関節も硬くなるんです。

また、40代に入ると全身の筋肉量も低下していきます。股関節はお尻の筋肉である大殿筋(だいでんきん)や、太ももを構成する筋肉の大腿四頭筋(だいたいしとうきん)、太ももの内側にある内転筋(ないてんきん)、上半身と下半身をつなぐインナーマッスルの腸腰筋(ちょうようきん)といった筋肉によっても支えられているので、これらの筋肉が衰えることで股関節にも影響が出てきます。

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仮に、今は股関節に何の違和感がなくても、股関節のケアは絶対にやっておいたほうがいいです。40代のうちから股関節をケアしておくか否かで、30年後の未来が変わるといっても過言ではないですよ。

股関節周りの筋肉をほぐすストレッチ

それでは、具体的にどのように股関節をケアしていくのがいいのか、永田さんにレクチャーしていただきましょう。今回はまず、股関節周りの筋肉をほぐすストレッチを中心に紹介します。

まずは、股関節を支える筋肉の中でも最も大きいお尻の筋肉、大殿筋を伸ばすストレッチです。

お尻周りは意外と冷えている部位でもあります。このストレッチを行うと血流が良くなり、代謝アップにもつながりますよ。

<大殿筋のストレッチ>

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1. 足を前後にずらして、あぐらの状態で座る。
2. 左右の坐骨(ざこつ)を床につけたまま、ゆっくり上体を前に倒して10秒キープ。
3. 足を組み替えて、同じように「2」を行う。各5回ずつを目安に。

このストレッチのポイントは、坐骨が床から離れないようにすること。坐骨とは、座ったときにお尻の下に手を入れると、ゴリゴリとあたる左右の骨です。

そのため、深く前傾する必要はありません。足の付け根から上体を前に倒すイメージで、お尻の筋肉が伸びている感覚があったら正しくできている証拠です。

続いて紹介するのは、お尻部分の3つの筋肉、大殿筋から中殿筋(ちゅうでんきん)、小殿筋(しょうでんきん)まで、股関節周辺の筋肉を一気に伸ばせるストレッチです。

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<股関節周辺の筋肉のストレッチ>

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1. 床に座り、ひざを曲げて脚を立てる。
2. 片方の足のくるぶしを、もう一方のひざの上にのせて10秒静止。
3. 脚を組み替えて、同じように「2」を行う。

「2」のときに、立てている脚を自分の体に近付けると、より股関節や太もものあたりの筋肉がストレッチされるのが感じられます。反対に、足を遠ざければストレッチの力は緩和されるので、痛くなりすぎない程度にストレッチされるよう、ご自身が気持ちいいと思う範囲で調整してくださいね。

なお、ストレッチは一般的にお風呂上がりや就寝前に行うといいといわれますが、この股関節周りのストレッチは、日常の動作によって股関節を痛めないための準備体操になるので、できれば朝に行うのがおすすめですよ。

何もケアをしないでいると、股関節はどんどん硬くなってしまいます。股関節周りの筋肉を日頃からほぐしておくと、股関節の動きをスムーズに保つことにつながりますので、定期的に続けるようにしましょう。


お話を伺ったのは...

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永田京子(ながた・きょうこ)さん

兵庫県出身、愛知県小牧市在住。2児の母。東映アカデミーに所属し、役者として舞台やドラマなどで活躍した後、ピラティスや整体、経絡、アロマ、リフレクソロジーなどを学び、ピラティス指導者、産後ケアのインストラクターとしての活動を開始。受講者の声と、更年期障害が悪化して苦しむ母を見ていた経験から、女性ホルモン・更年期の正しい情報と対策を伝えるNPO法人「ちぇぶら」を創設した。「ちぇぶら」は更年期を英語でいう「the change of life」の意。著書に「女40代の体にミラクルが起こる! ちぇぶら体操」(三笠書房)があるほか、先日「はじめまして更年期」(青春出版社)が発売したばかり。

NPO法人ちぇぶらホームページ
YouTube「ちぇぶらチャンネル」

本「はじめまして更年期♡」-min.jpg

はじめまして更年期」(青春出版社)
著:永田京子 定価:1,540円




※掲載している情報は、記事公開時点のものです。

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