忙しい毎日の健康づくりは...「ながら運動」で更年期を快適に!

コラム・心地よいわたし

女性ホルモン(エストロゲン)の減少によって自律神経が乱れることで、さまざまな不調に見舞われる更年期。それらの改善に良いとされるものは多くありますが、中でも運動はとても大切です。ただ、忙しい毎日の中で運動の時間を確保するのが難しく、長続きしない人も少なくないでしょう。

そんな人におすすめなのが「ながら運動」です。日常生活の中で気軽に取り入れられるだけでなく、更年期症状の緩和にも効果が期待できるといいます。
そこで今回は、更年期トータルケアインストラクターの永田京子さんに「ながら運動」のメリットと、更年期女性におすすめの運動を教えていただきました。

更年期にはこまめに体を動かすことが大切

――永田さんは、更年期世代にこそ「ながら運動」をおすすめしたいそうですね。

「ながら運動」をおすすめしたい理由のひとつが、習慣化しやすいという点です。更年期世代の女性はただでさえ忙しいのに、運動のためにわざわざ時間を確保するのは至難の業。でも、「ながら運動」は寝ながら、家事や仕事をしながら、テレビを見ながらなど、生活の中でできるので、忙しい方でも取り入れやすいのが一番のメリットだと思います。

――スポーツジムに通えなくて退会した...なんて声も聞きますよね。ただ、ジムなどでしっかり体を動かしたほうが、効果も満足度も高い気がします。「ながら運動」でも、満足のいく効果を得られますか。

もちろんです。特に、更年期の不調には効果を発揮すると思います。というのも、自律神経の交感神経と副交感神経のバランスは、こまめに体を動かすことで整いやすくなるんです。

1週間に1回、スポーツジムに行って体を動かすのも悪くありませんが、私たちの体に大きな影響を与えるのは、ジムでの1時間より、残りの6日間と23時間。自律神経が乱れやすくなる更年期の時期こそ、生活の中でできる「ながら運動」で、こまめに体を動かすことが大切なんですよ。

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睡眠トラブルを「ながら運動」で改善

――今回紹介していただく「ながら運動」は、寝る前と目覚めた直後に行うものになりますよね。これらはなぜ、更年期世代におすすめなのでしょうか。

更年期の女性で、睡眠トラブルを抱えている人は少なくありません。寝付きが悪い、途中で起きてしまうといったこともありますが、特に多いのが、朝起きるのがつらいというもの。これには、自律神経が大きく関わっています。

自律神経は通常、夜は副交感神経が、日中は交感神経が優位に働いています。私たちが朝自然に目覚めるのも、寝ているあいだに優位になっていた副交感神経が交感神経に切り替わるため。

ですが、自律神経が乱れがちな更年期世代はその切り替えがうまくいかず、「朝なのに、体は夜」という状態になりやすいんです。それだけでなく、寝不足でもないのに起きられなかったり、疲れが残っていたりするのは、たっぷり寝ているようでいて、実はうまく眠れていないことが考えられます。

――睡眠がしっかりとれていないと、朝起きるのがつらいのはもちろんですが、一日のパフォーマンスにも影響しますよね。

そうなんです。人間の脳や細胞は寝ているあいだに修復されますが、きちんと眠れないとそれらがきちんと修復されず、気力の低下や疲労感、食欲のコントロールが効かなくなるなど、さまざまな不調を引き起こします

睡眠の質を上げたり、自律神経を整えたりする意味でも、今回ご紹介する睡眠前後の「ながら運動」は、更年期世代の女性には特におすすめしたいところです。

更年期女性におすすめ!寝ながらできる「ながら運動」

では、2種類の「ながら運動」を永田さんにレクチャーしていただきます。

<自律神経を整える目覚めのながら運動>

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1. 仰向けになり、息を吸いながら、伸びをするようにゆっくり手足を縦方向に引っ張る。全身がストレッチされたら、息を吐きながら体を緩める。

2 体が三日月の形になるように上半身と下半身を右側に傾け、呼吸をしながら左の体側をストレッチ。反対側も同じように行う。

目覚めのながら運動は、寝ているあいだに凝り固まった筋肉をほぐすストレッチです。これで自律神経が整いやすくなるのはもちろん、ストレッチをすると血流が良くなるので、全身に酸素が行き渡るようにもなります。

ポイントは、体側を伸ばすときに上半身だけでなく下半身も傾け、しっかりと脇腹全体を伸ばしてあげること。また、いきなり伸ばすと筋肉を痛めることもあるので、呼吸をしながらゆっくり伸ばしていくようにしましょう。

1日1回、朝起きてすぐに行うことで頭がスッキリし、二度寝の防止にもなりますよ。

<快眠のための寝ながら手足グーパー運動>

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1. 仰向けになる。

2. 両手足を思いきりパー、グーと動かす。1日20回を1セット行う。

寝る前に行っていただきたい体操です。良質な眠りを得るためには、深部体温(体の内部の温度)を下げることが必要です。その熱を放出するのに重要な働きをしているのが、手足になります。

冷え性の方が不眠になりやすいのは、手足から熱が放出できず、深部体温が下がらないため。この手足グーパー運動をすると手足の血流が良くなり、熱の発散を促してくれるので、気持ち良く眠りにつけるようになります。

冷え性の方が不眠になりやすいのは、手足から熱が放出できず、深部体温が下がらないため。この手足グーパー運動をすると手足の血流が良くなり、熱の発散を促してくれるので、気持ち良く眠りにつけるようになります。

この運動では、パーのときに手足の指をしっかり広げることを意識してください。さらに、腕を真上に、ひざを90°に曲げた状態で足を上げて行うと、大腿四頭筋(太ももの前側)や腹筋も同時に鍛えることができます。

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目覚めのながら運動は日中に行ってもOK

――今回の運動はどちらも寝たままできるのが魅力ですね。とはいえ、目覚めのながら運動は、目覚めた直後だけにうっかり忘れてしまいそうな不安も...。

その場合は、思い出したときにやっていただくのでも大丈夫ですよ。この運動は、血流を良くして交感神経を刺激する運動なので、朝に限らず日中でも、例えばやる気が出ないときや眠気に襲われたときなど、立った状態で行ってもOK。頭も体もスッキリするのでおすすめです。

これを朝目覚めたときに行うと、一日の快適度が違います。そのためには、前の晩にきちんと眠ることが大切なので、寝る前にグーパー運動をしていただけるといいですね。目覚めや睡眠に悩んでいる方は、今回の「ながら運動」をぜひ試してみてください。


お話を伺ったのは...

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永田京子(ながた・きょうこ)さん

兵庫県出身、愛知県小牧市在住。2児の母。東映アカデミーに所属し、役者として舞台やドラマなどで活躍した後、ピラティスや整体、経絡、アロマ、リフレクソロジーなどを学び、ピラティス指導者、産後ケアのインストラクターとしての活動を開始。受講者の声と、更年期障害が悪化して苦しむ母を見ていた経験から、女性ホルモン・更年期の正しい情報と対策を伝えるNPO法人「ちぇぶら」を創設した。「ちぇぶら」は更年期を英語でいう「the change of life」の意。著書に「女40代の体にミラクルが起こる! ちぇぶら体操」(三笠書房)があるほか、先日「はじめまして更年期」(青春出版社)が発売したばかり。

NPO法人ちぇぶらホームページ
YouTube「ちぇぶらチャンネル」

本「はじめまして更年期♡」-min.jpg

はじめまして更年期」(青春出版社)
著:永田京子 定価:1,540円




※掲載している情報は、記事公開時点のものです。

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