鉄分不足が原因の症状に注意!「疲れやすさ」や「めまい」がサイン

月経のある女性の場合、1日あたりの鉄分摂取推奨量は約10.5mgといわれています。しかし、2019年に厚生労働省が実施した「国民健康・栄養調査」によると、30~39歳の女性の1日の鉄分摂取量の平均値は6.4mg、40~49歳の平均値は6.7mgで、かなり不足していることがわかります。
人間にとって、鉄分は体内の酸素の運搬や貯蓄を担う重要な栄養素。そのため、鉄分が不足すると、私たちの体には貧血などさまざまな症状が現れます。ここでは、鉄分不足が起こる原因や、鉄分を効率良く摂取する方法などについて紹介します。

鉄分不足による貧血が不調の原因?

日常的に「疲れやすい」「体がだるい」「めまいや立ちくらみが起こる」といった症状はありませんか?もしかしたらそれらは、貧血が原因かもしれません。貧血の80~90%を占めるのが、鉄分が不足して起こる「鉄欠乏症貧血」といわれています。

赤血球の大部分を占める成分であるヘモグロビンには、酸素を体の隅々まで届ける働きがあります。そのヘモグロビンの原料となるのが、鉄分です。体内の鉄分が不足すると、ヘモグロビンが減少するだけでなく、赤血球自体のサイズも小さくなってしまいます。その結果、酸素が体内に行き渡らない状態となり、鉄欠乏症貧血になってしまうのです。

鉄欠乏症貧血の症状として、おもに次のようなものが挙げられます。ひとつでもあてはまるものがあるなら要注意です。

<鉄欠乏症貧血のおもな症状>
・疲れやすい
・すぐに息切れする
・だるさがある
・めまいや立ちくらみが頻繁に起こる
・頭痛や耳鳴りがする
・集中力が続かない
・眠れない
・爪が弱くなった
・顔色が悪い、肌がかさつく
・手足が冷える など

貧血の症状が気になる場合は、クリニックなど専門機関に相談し、血液検査などでヘモグロビン値や、体内の貯蔵鉄量がわかるフェリチン値などをチェックした上で、薬を処方してもらうと安心です。

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鉄分不足になる3つの理由

では、なぜ鉄分が不足してしまうのでしょうか。私たちの体内には、鉄が蓄積されています。そのうち、尿や便、汗などによって体の外に排出される鉄の量は、1日わずか約1mg。ほとんどの鉄が、体内で再利用されています。

それにもかかわらず貧血が起きてしまう場合、大きく分けて次の3つの理由が考えられます。


1 食事からの鉄分摂取不足

1日に排出される量は少ないものの、鉄は体内への吸収率が低い栄養素であり、食べ物に含まれる鉄のうち約8~10%しか吸収されません。そのため、偏った食事をしていたり、ダイエットなどで食事の量を極端に減らしたりすると、鉄の摂取量が不足しがちになってしまいます。


2 妊娠中や授乳期などの鉄分需要の増加

妊娠すると、おなかの中の赤ちゃんを育てるために、母体の鉄は胎盤を通じて胎児に移行します。また、母乳の中にも鉄が含まれているため、授乳によっても鉄は失われてしまいます。


3 月経、子宮筋腫などによる出血過多

女性は、月経によっても鉄が体外に排出されます。特に、経血量の多い「過多月経」は、貧血を引き起こす原因のひとつです。このほか、子宮筋腫や子宮内膜症、痔などの疾患によって慢性的に出血が起こり、鉄分不足に陥るケースもあります。

「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」をバランス良くとることが鉄分不足の改善に!

2020年に厚生労働省が発表した「日本人の食事摂取基準」によると、15~49歳の女性の1日の鉄分摂取推奨量は、有月経の場合でおよそ10.5mg、50~64歳の閉経後の女性であればおよそ6.5mg。鉄欠乏性貧血の症状を改善するには、バランスの良い食事で鉄分を摂取することが大切です。

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日本人の食事摂取基準(2020年版)」(厚生労働省)をもとに作成

食べ物に含まれる鉄は、牛、豚といった赤身肉や、まぐろ、かつおなどの魚、そしてレバーに含まれる「ヘム鉄」と、野菜や海草類、貝類(赤貝を除く)に含まれる「非ヘム鉄」の2種類があります。

非ヘム鉄は、ヘム鉄に比べて吸収率が低いため、ヘム鉄を含む動物性の食品といっしょにとることがおすすめです。また、ビタミンCやカルシウムといっしょに食べても、鉄の吸収率を高めることができます。さらに、赤血球の生成には、ビタミンB12や葉酸も必要となります。

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血液中の鉄分不足が改善されたとしても、鉄が体内に蓄積されるまでには数ヵ月を要します。貧血の症状が治まったとしても、常に鉄分の摂取を意識して食事をとるようにしましょう。

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貧血の症状が気になる場合は医師に相談を

更年期を迎えた女性の場合、疲れやだるさといった日々のちょっとした不調を「年齢のせい」と考える人も少なくありません。しかし、体内の鉄分不足による貧血が、それらの症状を引き起こしている可能性もあります。

貧血の陰には重大な病気が隠れていることもあるため、体のだるさが続いたり、動悸や息切れが頻繁に起こったりするなど、気になる症状があれば、必ず医師に相談するようにしましょう。


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