唾液の分泌が少ない更年期は歯周病にかかりやすい?

コラム・心地よいわたし

全身の健康に影響する歯周病。唾液の分泌量が少ないと歯周病の進行が早まるため、唾液の分泌が減る更年期は特に注意が必要です。
ここでは、歯周病を未然に防ぐ唾液の働きと、唾液が減り始める更年期に有効な対策について解説します。

唾液が減少する3つの原因

唾液の分泌が少なくなる原因は、大きく分けて下記の3つが考えられます。


1 加齢による顎の筋力低下

唾液を多く分泌するには、噛む動作によって唾液腺を刺激する必要があります。しかし、年齢を重ねるにつれて噛む動きを担う顎の筋力が低下。それに伴い、唾液の分泌も少なくなります。


2 全身の水分量減少

発熱や、摂取する水分の不足などで脱水症状になると、唾液を含め全身の水分量が減少します。唾液の減少は脱水の初期症状として現れやすいため、口の乾きを自覚したら多めに水分を摂取するなど、早めの対処を心掛けましょう。

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3 女性ホルモンの分泌量低下

女性の一生に大きく関わる女性ホルモンは、唾液の分泌にも影響を及ぼします。

更年期に入って女性ホルモンの分泌量が低下すると、自律神経のバランスが乱れて交感神経が働きやすくなるため、副交感神経が働いているときに分泌されやすい唾液の分泌も低下。口の中が乾いてねばついたり、唇や舌がヒリヒリ痛んだりといった不快な症状を引き起こし、QOL(生活の質)を低下させます。

唾液の分泌が減少すると歯周病を引き起こしやすくなるのはなぜ?

唾液には、自浄作用を発揮し細菌を洗い流して、口腔内を常に清潔に保ってくれる働きがあります。そのほかにも、下記のような働きがあります。

<おもな唾液の働き>
・消化作用
・免疫作用
・抗菌作用
・再石灰化作用
・緩衝作用
・保護作用

唾液の分泌が減るとこうした働きが弱まり、細菌が繁殖しやすくなってさまざまなトラブルが発生。歯周病菌の活動も活発になるため、歯肉の炎症や腫れ、出血、歯の周りの骨が溶けるといった症状が進行しやすくなります。

歯周病は、歯周病菌の感染によって歯肉が炎症を起こし、進行すると歯茎や歯を支える骨が溶けて歯を失う可能性が高い病気です。厚生労働省が2016年に行った調査では、35歳から69歳の約7割が歯肉に所見を有していることがわかっており(※)、歯周病はむし歯と並んで"歯を失う二大原因"といわれています。

※出典:厚生労働省「歯周病罹患の現状と対策について」(2021)1頁

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歯周病の悪化を防ぐには「ドライマウス」の早期発見が大切

唾液が少なくなって口腔内に不快な症状を感じる状態を、「ドライマウス(口腔乾燥症)」といいます。歯周病の悪化を防ぐために、ドライマウスを自覚したらすぐに歯科クリニックを受診し、歯周病のチェックをしてもらいましょう。

ドライマウスには、下記のような自覚症状があります。まずは、思い当たる症状がないか、セルフチェックしてみてください。

<おもなドライマウスの症状>
・口の中や喉が渇き、水を頻繁に飲む
・唇が乾く、ひび割れる、切れる
・口の中がネバネバする
・食べ物の味がいつもと違う
・食べ物を飲み込みにくい
・長時間の会話がしにくい
・舌がザラザラする
・舌が痛い

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唾液の分泌を促し、歯周病を予防する方法

唾液の分泌低下を軽減し、歯周病を予防するには、どうすればいいのでしょうか。プロフェッショナルケアとセルフケアの両面から、具体的な方法をご紹介します。


1 歯科で原因を特定し、適切な治療につなげる

歯科では、ドライマウスの患者に対して問診、口腔内診査、唾液量分泌検査等を行って原因を特定し、糖尿病なら代謝内科、更年期障害なら婦人科、薬の副作用ならかかりつけ医といったように、医科と連携しながら一人ひとりに合った最善の治療法を探します。

状態と原因に応じて、漢方薬などが処方されるほか、唾液の分泌を促す唾液腺マッサージ、口の周りの筋肉のバランスを整える口腔筋機能療法などが行われる場合もあります。

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2 専用のケア用品を使う

乾燥した肌を保湿するのと同じように、ドライマウスにも乾燥を緩和し、唾液の分泌を促してくれる専用の保湿ケア用品があります。普段の歯磨きにこうしたセルフケアを取り入れることで、症状の緩和が見込めます。


3 ガムを噛む

食後、口腔内は中性から酸性に傾き、歯の表面のエナメル質がやわらかくなります。このときにガムを噛むことで、顎や口周りの筋肉がよく動き、唾液の分泌が促されて酸を中和してくれるのです。食後はできるだけ早くガムを噛み始め、1回につき5分は噛むようにしましょう。

なお、ガムは糖類を含む物や果汁を含む物は避け、天然の甘味料や、歯の再石灰化を助ける成分などが配合されている物を選ぶことが大切です。


4 鼻呼吸をする

日常生活や睡眠中の口呼吸は、口腔内の乾燥を招きます。口を閉じ、鼻で息をすることを心掛けましょう。寝る前は加湿器をつけたりボウルに水を張ったりして喉と鼻を加湿し、鼻の通りを良くすると、鼻呼吸がしやすくなります。乾燥を防ぐためには、就寝時にマスクをつけるのも有効です。


5 ノンアルコールタイプの洗口剤(マウスウォッシュ)を選ぶ

歯磨きをした後、洗口剤(マウスウォッシュ)の使用を習慣にしている人もいるでしょう。

市販の洗口剤の一部にはアルコール成分が配合されている物があり、このような洗口剤を使うと口内の水分が奪われやすく、唾液の減少につながってしまいます。洗口剤は、ノンアルコールタイプかアルコール成分が低いタイプがおすすめです。

唾液分泌ケアとブラッシングの徹底で歯周病を予防しよう

唾液の分泌が少なくなると、乾燥やネバつきといった不快感が続くほか、自浄作用が低下して歯周病にかかりやすくなります。

ドライマウスの症状を感じたら、早期に歯科クリニックを受診するとともに、唾液分泌ケアだけでなく口腔内清掃(ブラッシング)の徹底を心掛けて、歯周病の進行を防ぎましょう。


この記事を監修したのは...

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大西孝宣(おおにし たかのり)歯科医師
東京ミッドタウンデンタルクリニック 副院長

東京ミッドタウンデンタルクリニック
大江戸線「六本木駅」直結の歯科「東京ミッドタウンデンタルクリニック」。
むし歯、歯周病などの一般歯科診療から、矯正、インプラント、麻酔、口腔外科など、国内外で専門技術を磨いた医師が、患者様お一人おひとりにあった施術を提供しています。
治療は半個室、個室で対応。患者様が快適に過ごせる空間を創り上げ、リラックスできる環境で治療を受けていただくよう取り組んでいます。


※掲載している情報は、記事公開時点のものです。

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