イライラ、のぼせの改善に...セロリの効能とおすすめプラス食材

女性ホルモン(エストロゲン)が減少する影響で、さまざまな症状が現れる更年期。自覚する症状の種類や組み合わせ、強さなどは人それぞれで、「これさえあれば大丈夫!」といえる特効薬はありません。
しかし、自分の症状や体質を正確に把握し、効果的な食材を毎日の食事に取り入れることで、不調が深刻になる前に食い止めることはできます。

特に、「長いも」「エビ」「セロリ」の3つは、更年期の代表的な症状の改善に役立つ優秀な食材。今回は、セロリにフォーカスし、その特徴や効果、具体的な食べ方について、漢方・薬膳の専門家である杏仁美友さんに教えてもらいました。

<更年期症状の改善におすすめの食材記事>
続くだるさや疲れ、乾燥の改善に...長いもの効能とおすすめプラス食材
疲れやすい、下半身の冷え改善に...エビの効能とおすすめプラス食材

セロリにはどんな効果がある?

セロリは、薬膳の分類で「涼性」にあたる食材です。涼性の食材には、「寒性」の食材と同じく体を冷やす効果があるのが特徴。寒性が体を強く冷やすのに対し、涼性の冷やし方はおだやかです。

では、セロリの効能を具体的に見ていきましょう。


自律神経の乱れを正し、高ぶった気持ちを落ち着かせる

漢方の考え方によれば、体は「肝・心・脾・肺・腎」の五臓がほかの内臓や器官、組織の司令塔となっていて、それぞれが本来の内臓器官以上の働きをしています。

五臓の中でもセロリが効果を発揮するのは、代謝や解毒、自律神経、怒りのコントロールなどとも深く関係するとされる「肝」。肝の衰えは、精神面を含めてさまざまな影響を及ぼします
肝の働きが正常化すれば、更年期の情緒不安や興奮、めまいなども緩和されます

■五臓とそれぞれが司る役割

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<五臓の詳しい解説はこちら>
更年期世代の心身のバランスはどう測る?漢方ならではの考え方


余分な熱を冷ます

セロリには、涼性の性質を活かして、体にこもった余分な熱を外に出す力があります。


ストレスを緩和する

肝が消耗すると、溜まった熱が頭に向かって上がり、神経を高ぶらせます。特に、生真面目で責任感が強い人、強いこだわりがある人、緊張しやすい人はイライラやストレスを感じやすいので注意しましょう

セロリは肝の高ぶりを抑え、ストレスを緩和します。


血圧を下げる

高血圧には、セロリをミキサーにかけてしぼった汁が◎。頭に上った不要な熱を放出し、血圧を下げます。


尿の出を良くする

セロリには、消化や水分の代謝を促す作用のほか、体内の水分量を調節してむくみや頻尿を改善する作用があります。


目や頭をすっきりさせる

肝の働きが弱まると、漢方でいう活動エネルギーの源である「気」が頭にのぼり、熱がこもりやすくなります。その熱を冷まして、気が正しく巡るようになると、目や頭がすっきりするでしょう。

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セロリは、更年期のどんな症状に効く?

セロリは、更年期に感じやすい次のような不調に効果的です。

・体がほてる、目が充血する
更年期によく見られるほてりやのぼせ、目の充血。

・イライラする
「理由もなくイライラする」「すぐカッとなる」といった、怒りのコントロールが効かないことによる精神的な症状。

・高血圧
以前に比べて血圧が少しずつ上昇している、血圧が不安定で変動しやすいなど。

【気になる更年期症状別】セロリと組み合わせたい食材は?

セロリそのものを食べることでもさまざまな更年期症状の改善が期待できます。しかし、ほかの食材も組み合わせることで、セロリが苦手な人も食べやすくなる上、さらに多くの更年期症状に効果が期待できるでしょう。

ここからは、更年期症状別にセロリと組み合わせて食べていただきたい食材を紹介しましょう。


すぐカッとなる、イライラが抑えられない人に「セロリ+ピーマン」

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ピーマンは、薬膳の「平性」にあたる食材で、体を冷やしもせず温めもしません。また、セロリと同じく、肝の働きを安定させる働きがあります。そのため、セロリといっしょにとることで、余分な熱をとる効果を落とさずに、肝を落ち着かせる働きを強めることができるでしょう。

<おすすめメニュー>
・セロリとピーマンの炒め物...細切りにしたセロリとピーマンを炒め、オイスターソースなどで味をつけます。


血行不良の肩こりがある人に「セロリ+玉ねぎ」

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玉ねぎは「温性」で、体を温め、血流を良くする作用があります。玉ねぎにピーマンを合わせることで血行不良を改善する力が強まり、肩こりなどに効果を発揮するでしょう。

<おすすめメニュー>
・セロリと玉ねぎのサラダorスープ...セロリと玉ねぎを斜め薄切りにし、ポン酢やお好みのドレッシングでサラダに。コンソメを使ったスープにしてもおいしくいただけます。


のぼせやほてりやすい人に「セロリ+あさり」

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あさりは「寒性」で、体を冷やすほか、精神を安定させる効果があります。牡蠣やシジミなどの2枚貝には同様の効果があるので、のぼせやほてりをクールダウンさせたい人は積極的にとりましょう。

<おすすめメニュー>
・セロリとあさりのスープorクラムチャウダー...セロリとあさりを合わせて、鶏がら出汁のさっぱりスープや、牛乳も加えてクラムチャウダーにしても◎。


高血圧にお悩みの人に「セロリ+トマト」

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トマトは「涼性」で、肝の働きを安定させるがあるなど、セロリと似た作用があります。水分を補う力もあるので、セロリにプラスするとのどの渇きだけでなく、高血圧予防や改善の効果が期待できます。

<おすすめメニュー>
・セロリとトマトのスープor炒め物...薄切りにしたセロリと一口大に切ったトマトを合わせて、コンソメや鶏ガラのスープに。油で炒めてもおいしく仕上がります。

セロリは香りにも効果あり!

セロリには、葉にも栄養があり、独特の香りには頭をすっきりさせたり精神を落ち着かせたりする効果があります。セロリの葉はよく刻んで、いっしょに調理しましょう。香りの成分が失われないよう、煮込みすぎないことが大切です。

更年期に入ると、ほてりのような身体的な不調だけでなく、イライラなどメンタルの不調に悩まされる人は多くいます。セロリを積極的にとることで気持ちの高ぶりを抑え、穏やかな日々を過ごせるようにしましょう。


お話を伺ったのは...

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杏仁美友(きょうにん・みゆ)さん

一般社団法人薬膳コンシェルジュ協会代表理事、国際中医師、中医薬膳師、漢方&薬膳アドバイザー。

漢方薬や薬膳で自身の体調不良を改善したことをきっかけに、漢方や薬膳の世界に興味を持ち始める。2011年に薬膳コンシェルジュ協会を設立して、薬膳や薬膳茶の資格講座の運営を行うほか、テレビや雑誌などの取材、レストランのメニュー監修、総合情報サイト「All About」の漢方・薬膳料理ガイド、薬膳サプリの商品開発、講演会なども精力的にこなしている。

マンガでわかるおうちで簡単! 薬膳・漢方」(池田書店)をはじめ、薬膳にまつわる著書も多数執筆。最新著書は「まいにちの食で体調を整える! プレ更年期の漢方」(つちや書店)。

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まいにちの食で体調を整える! プレ更年期の漢方」(つちや書店)
著:杏仁美友 定価:1,400円(+税)




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