お腹が張る・パンパンになる原因はガスだまり?ガス抜き対策になる食べ物と運動とは

座ったときにウエストがきつい、食べてすぐおなかが張って苦しい、便は出ているのに残便感がある――長引く胃腸の症状の原因として考えられるのが、おなかに溜まる「ガス」です。不快な思いをしながらも、「便秘で病院にかかるのは恥ずかしい」「症状を説明しにくい」と、我慢して過ごしている方も多いのではないでしょうか。

おなかのガスは、消化しきれなかったり、分解できなかったりした老廃物が腐敗して発生するもの。放置していると肌荒れやむくみなどを引き起こし、美容や健康に大きな影響を与えることになりかねません。

今回は、女性に多い「ガス溜まり」の原因と対策について、東京ミッドタウンクリニックの消化器内科の医師である古川真依子先生に教えていただきました。

そもそも、女性は便秘になりやすい

――おなかが張って苦しい、おなかがぽっこり出ていて気になる、という女性は多いと思います。皆さん、どのようなきっかけで受診されるのでしょう。

女性の場合、ほとんどが便秘ですね。排便の回数や量は個人差が大きく、「何日以上出ないと便秘」というような明確な定義はありません。「十分に出し切った感覚がなく、いつも残便感があってつらい」「おなかが張って苦しい」といった自覚症状が受診の目安です。

あとは、「食欲がなくなった」「食べると吐き気がする」「胃がむかつく」といった症状を訴える方も多いですね。便が溜まりすぎると、便とガスで胃や腸が圧迫されて、こうした症状が出ます。

――なぜ、女性は便秘になりやすいのでしょう。

そもそも、男性と女性では体の作りが違います。女性の骨盤は男性に比べて広く、腸が骨盤の中に入り込んでたるみやすいので、便が溜まってしまうんです。内臓脂肪がつきやすい上、腹筋が弱いので、便を送り出す力が弱いというのもありますね。

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おなかがつらい、苦しいと感じたら受診のサイン

――ガスが溜まるメカニズムについて教えてください。

食べ物の通り道である胃や腸のガスは、食事をすると必ず発生し、呼吸やおならとともに体外に排出されます。ところが、何らかの理由でおなかの動きが鈍くなると、排出が滞って体内のガスの量が増え、「おなかが張る」「おなかが苦しい」といった、自覚症状を伴うガス溜まりにつながってしまいます。

おなかの動きが悪くなる原因としては、食事の内容や摂取した水分の量、風邪などのウイルスやストレス、ホルモンバランスの乱れなどが考えられますね。原因はひとつではなく、複合的に絡み合っていることがほとんどです。

――便秘で受診するのは恥ずかしい、と躊躇してしまう方も多そうですが...。

ガスは老廃物から出た、体外に排出されなければならないものです。溜まったままにしておくと、常におなかが苦しいばかりか、肌荒れやむくみなどを引き起こし、美容にも大きな影響を与えます。また、ガスをきっかけに炎症が起き、消化管の病気につながる可能性もあります。なので、「つらい」「苦しい」と感じたら、早めに医療機関に行くことをおすすめします。

――医療機関では、どのような治療をするのでしょう。

まず、食事の内容や排便のリズム、いつごろから症状を自覚しているかなどについて伺った後、患者さんのおなかをさわったり、必要であればレントゲンを撮ったりして、患者さんが訴えるおなかの症状がガスによるものなのか、ほかの病気によるものなのかを見極めます。

便秘やそれによるガスが原因なら、まずは下剤を処方するのが一般的でしょう。私の場合、強い薬で一時的な排便を促すよりも、自然に近い排便習慣を取り戻すことを目的として、漢方を含めたさまざまなお薬から患者さんの体質や生活習慣に合った物を選んで処方しています。患者さんに状況を伺いながら、処方する量や薬の種類を調整していくことも多いですね。

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ガス溜まり予防のポイントは「食事と運動」

――ガス溜まりを防ぐには、どのような点に気を付ければいいのでしょうか。

ガス溜まりを予防するには「いい便を作ってしっかり出す」ことが重要ですから、バランスの良い食事を3食とっていただきたいですね。ダイエットのために炭水化物を抜く方が増えていますが、おなかのためにはおすすめできません

どうしても炭水化物を抜きたい場合は、夜だけ抜くなどしましょう。消化を良くするため、よく噛んで食べることを心掛けるといいと思います。就寝前2時間くらいは何も食べずに胃腸を休ませ、起きたらすぐに水分を取って胃腸を起こすことも効果的ですよ。あとは、適度な運動ですね。

――忙しい人でも、自宅で簡単にできる運動はありますか。

まずは、排便をするために必要な筋力である腹筋を鍛えましょう。腹筋がつくと、腸のたるみを引き締め、代謝を良くして腸を動かす効果も期待できます。本格的な筋トレまでいかなくても、寝転がって脚を伸ばし、下っ腹を意識してちょっと頭を上げるだけでも構いません。テレビを見ながらでもできますよ。

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――それくらいなら、毎日継続できそうですね。

健康的で美しい毎日を送るには、しっかり便を出すことが大切です。胃腸がすっきりすれば、仕事や家事、育児など、やるべきことに対する集中力も高まるでしょう。ぜひ、食事と運動に気を配り、ガス溜まりを未然に防いでほしいと思います。 おなかがつらい・苦しいは体からのサインです。症状が悪化しないうちに、できるだけ早く専門の医療機関を受診するようにしましょう。


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東京ミッドタウンクリニック


SUPERVISERこの記事を監修した人

古川先生

PROFILE

古川 真依子 (ふるかわ まいこ) 医師

医学博士/日本内科学会 総合内科専門医、日本消化器病学会 消化器病専門医、日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医・指導医、日本消化管学会 胃腸科専門医、日本ヘリコバクター学会 ピロリ菌感染症認定医 、日本カプセル内視鏡学会 カプセル内視鏡認定医、日本人間ドック学会 人間ドック認定医
専門分野:消化器内科・内科

2003年東京女子医科大学卒業
東京女子医科大学附属青山病院消化器内科で医療錬士として関連病院等にて診療にあたり、2008年帰局後は助手として指導にも尽力。2013年より東京ミッドタウンクリニック勤務。胃がん・大腸がん・腫瘍など消化器系の疾患だけでなく、便秘や産後の痔など女性ならではの悩みにも詳しい。

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