手遅れになる前に!知っておきたい「糖化」の防ぎ方

さまざまな老化現象を引き起こす原因として注目されている「糖化」。肌のくすみやシミ、しわといった見た目のほか、心筋梗塞や脳梗塞、アルツハイマー病といった病気の引き金にもなるといわれています。
実年齢にとらわれることなく、「自称年齢」でいきいきと年を重ねていくためには、糖化を防ぐ生活習慣を身に付けることが大切です。

糖化のメカニズムとその危険性、「自分は糖化しているか」を知るためのチェックポイントを学んだ前回を踏まえて、糖化を防ぐための具体的な食習慣や生活習慣について、せんだい総合健診クリニック院長の石垣洋子先生に教えていただきました。

<前回の記事>
「糖化」はウェルエイジングの重要キーワード!そのリスクとは?

糖化ストレスを減らすには「グルコーススパイク」を防ごう

――まずは、糖化が起きやすいのはどのような状態なのか、教えてください。

前回もお伝えしたとおり、体の内部や肌に向けて悪さをするのは、きちんと細胞に吸収されていない余分な糖です。つまり、過剰な糖を摂取することによって細胞の外にたくさん糖が溢れ出し、それが高血糖の状態となって糖化リスクが高まるわけです。

だからといって、糖質をまったくとらなければいいわけではありません。糖は人間の身体や脳を活性化させ、健康を維持する上で必要不可欠な栄養素のひとつです。
重要なのは、取りすぎたり減らしすぎたりせず、バランスの良い摂取量を維持して体内の糖をコントロールすることです。

――体内の糖をコントロール、とはどういうことでしょうか?

食後に起こる血糖値の急激な変化がポイントです。
1日3回という通常の食生活において、食後に血糖値が急激に上がる「グルコーススパイク」という現象が起こります。こうした血糖値の上がり下がりはごく当たり前のことなのですが、健康な人の場合、食事をして血糖値が高くなっても、変化を察知したインスリンが糖を細胞内に吸収してくれるので、時間の経過とともに血糖値は自然と下がっていきます。

ただ、食後の高血糖状態が長く続いたり、おやつなどの間食を多くとって1日の中で何度も血糖値を上げたりすると、体内で糖とたんぱく質が結合する糖化反応が進んでしまうのです。


■グルコーススパイク

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そこで、血糖値の乱高下であるグルコーススパイクをいかに軽減し、上の図にあるような血糖値のピークをいかに低くして高血糖の時間を少なくするか、血糖値を上げる回数を1日3回と適切にするかが重要になってきます。
つまり、グルコーススパイクの面積(上の図の濃いピンクになっている部分の面積)を少なくすることが、糖化ストレスを減らすポイントになるわけです。

こうした血糖値の上がり下がりはごく普通のことで、心配することではありません。しかし、血糖値がジェットコースターのように乱高下する「グルコーススパイク」を起こしている場合は要注意。食後の集中力の低下、強い眠気、動悸、頭痛などがある人は特に気をつけてください。

血糖値が異常に高い状態が長く続いたり、1日に何度も起こったりすると、体の中にある糖が活性酸素によって酸化し、たんぱく質とくっつく糖化反応を引き起こしてしまいます。つまり、このグルコーススパイクを減らすことが、糖化を防ぐことにつながるわけですね。

血糖値の乱高下を軽減し、血糖値を正常に近づけることが、糖化ストレスを減らすために非常に重要です。

――グルコーススパイクはどう防げばいいのでしょうか?

血糖値を急激に上げないために意識していただきたいのは、食事量を制限したり、食事の回数を減らしたりすることではなく、「何を、どう食べるか」です。ポイントは2つあります。


1 ベジタブルファースト

まずは食べる順番です。糖質を多く含む白米やパスタ・うどん・中華麺などの麺類、パンなどから食べ始めると、糖質を急激に吸収してしまうので、野菜などの副菜から食べ始めるベジタブルファーストを推奨しています。

食卓に並んだメニューのうち、野菜から食べるようにするだけで食後の血糖値の上がり方が緩やかになり、高血糖のピークも低く抑えることができます
最近の知見では、ご飯など炭水化物より先に食べる物は野菜に限らず、副菜、肉や魚などであっても、ベジタブルファーストと同様の効果が得られることがわかってきました。

ですので、炭水化物の前に副菜から食べる食習慣を身に付けるだけでグルコーススパイクが軽減され、糖化を抑える効果が期待できることに注目したいですね。海藻類やきのこ類など、おなかを満たしてくれる副菜を先に食べることで、炭水化物のとりすぎ防止も期待できます


2 ゆっくり食べる

また、短時間に一気に食べる早食いは、急激に血糖値を上げる原因の一つです。腹八分目を意識して、ゆっくり時間をかけ、よく噛んで食べることを心掛けましょう。
早食いをすると、脳の満腹中枢が「おなかがいっぱいだ」というサインを出す前に大量に食べすぎてしまうため、糖を過剰に摂取し、糖化ストレスを促進することになります。

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食事に「ちょい足し」の工夫で楽しく糖化予防

――ほかに、食事で気を付けたほうがいいことはありますか。

老化の直接的な原因になるのが、糖化によってできるAGEs(終末糖化産物)です。このAGEsの蓄積防止には、ビタミンB群、C群がおすすめです。

ビタミンB1は豆乳やきのこ類、ビタミンB6はマグロやカツオなどからとることができます。ビタミンCはなんと、酸化した糖の替わりにたんぱく質にくっついてくれる作用があります。

――ちょっとした工夫で、糖化を防ぐことができそうですね。

そうですね。糖化を防いで美肌を作るには、ちょい足し!を意識するといいですよ。

揚げ物や焼き物を食べるときは、酢やレモンをちょい足し!
サプリやきのこ類でビタミンB群をちょい足し!
炭水化物にはオリーブオイルをちょい足し!

「揚げ物や炭水化物は食べてはいけない」ではなく、「どうやったら上手に食べられるか」を考えるようにすると、食べ物が大切な存在になり...食事も愉しいものになってくると思います。

――ほかにも、日常生活の中で糖化防止のためにできることがあれば教えてください。

過度なストレスには要注意。溜まったストレスは糖化だけではなく、腸内環境を乱す原因にもなります。「ストレスは人生の適度なスパイス(刺激)」と割り切ると代謝が上がりますし、免疫力もアップします。

また、十分な睡眠と適度な運動も忘れずに。運動は、ウォーキングなどの有酸素運動がベストです。血糖値が最も上がるのは食後1時間といわれていますから、ランチをするならちょっと遠めの場所に出かけてみるのもいいかもです。
日常生活に上手に運動を取り入れることができれば、ストレス発散にもなるので一石二鳥です。

これからは、「年相応に」ではなく、「年不相応に!!」いかようにでも若々しく輝いていける時代です。「何歳でありたい」という自称年齢を決めて、楽しく歳を重ねていきましょう。


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せんだい総合健診クリニック


SUPERVISERこの記事を監修した人

石垣先生

PROFILE

石垣 洋子 (いしがき ようこ) 医師

専門分野:内科

1981年聖マリアンナ医科大学医学部卒業
医療法人社団進興会エスエスサーティクリニック、ソフィア健診クリニック院長を経て、2010年よりせんだい総合健診クリニック院長に就任。がん治療の最前線で治療を続ける中で症状が出てからでは遅い!という悔しい思いから予防医療に力を入れる。 「予防は治療に勝る!」の理念の元、食事、運動といった生活習慣の改善や、健康指導を得意とする。

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※掲載している情報は、記事公開時点のものです。
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