メノポハンドとは?更年期以降に起こる手の痛み・こわばりの原因と対処法

東京ミッドタウンクリニック
平瀬 雄一(専門分野:手の外科/形成外科)
朝起きたときや家事や仕事の最中に、指がこわばったり、手首が痛んだりすることはありませんか?
このような手の不調は実は女性ホルモンの変化が引き起こすメノポハンドかもしれません。痛みの正体を正しく理解して早めに対処すれば、不調の改善が期待できます。
この記事では、東京ミッドタウンクリニック手外科外来の平瀬雄一医師監修の下、メノポハンドが起こる仕組みや今日からできる具体的なケア方法について詳しくお伝えします。
メノポハンドとは?更年期以降特有の手指の不調
メノポハンドとは、更年期以降の女性に多く見られる手指の痛みや腫れ、こわばりなどの不調をまとめた呼び方です。手指の不調は、少し前までは、家事や仕事で手を使いすぎたことが原因だと言われるのが一般的でした。しかし、加齢による手指の不調は使いすぎではなく、女性ホルモンであるエストロゲンの減少が原因かもしれません。実際に、更年期症状を感じている女性のうち、約30%もの方が手指の不調を抱えているという報告もあります。手の痛みは使いすぎではなくホルモンの変化からきているという事実を知ることが、大切な手指を守るための第一歩です。
これもメノポハンド?代表的な6つの疾病を紹介
メノポハンドに含まれる代表的な疾病は主に6つあります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
| 病名 | 症状 |
|---|---|
| ヘバーデン結節 | 指の第一関節の軟骨がすり減ることで腫れ、こぶのようになって曲がってしまうのが特徴です。強い痛みを伴ったり、水ぶくれのような粘液嚢腫ができたりすることもあります。 |
| ブシャール結節 | 指の第二関節の軟骨が摩耗して曲がってしまう状態です。ペンを持ったりお箸を使ったりする際にうまく動かせず、日常生活に不便さを感じやすくなります。 |
| ばね指(腱鞘炎) | 指を曲げるための腱とそれを包む腱鞘の間で炎症が起こり、指が曲がったまま伸びにくくなります。症状が進行すると、指を伸ばそうとしたときに引っ掛かりを感じ、ばねのようにカクンと急に伸びるようになります。 |
| 母指CM関節症 | 親指の付け根の関節を支える靭帯がゆるんだり、関節が変形してズレたりすることで起こります。親指の付け根が腫れて痛み、瓶のフタを開ける動作などが難しくなります。 |
| 手根管症候群 | 手首近くの手根管といわれる場所で、中を走る正中神経が圧迫されておこる神経麻痺です。小指以外の指がしびれ、進行すると親指の動きが障害されます。 |
| ドケルバン病 | 親指を動かすための短母指伸筋腱と、長母指外転筋腱が通る部分で炎症を起こす病気です。この炎症によって腱の動きが悪くなるため、親指の付け根あたりが腫れて痛みを感じたり、親指が伸ばしにくくなったりするといった症状が現れます。 |
なぜ更年期に手が痛くなるの?医学的なメカニズム
ここでは、メノポハンドが起こる医学的なメカニズムについて、わかりやすく紐解いていきましょう。
関節を守るエストロゲンの減少
女性ホルモンの一つであるエストロゲンは、私たちの体を健やかに保つためにさまざまな働きをしています。
- 髪や肌を若々しく保つ
- 骨を丈夫にする
- 代謝を促して太りにくくする
- 関節や腱、その周囲にある滑膜という組織に炎症を起こさないように守る
エストロゲンが減少すると、関節や腱を守る働きが弱まりやすくなります。その影響で関節周辺に炎症が起こりやすくなり、手指の痛みや腫れ、こわばりといった不調として現れることがあります。これは手を使い過ぎたことだけが原因ではなく、炎症を抑える力が低下することによって起こると考えられています。
リウマチとメノポハンドどっち?見分け方と受診の目安
関節リウマチは免疫の異常によって関節を包む滑膜に炎症が起こる病気なので、女性ホルモンの減少が原因であるメノポハンドとは根本的に異なります病態が異なります。痛む場所・症状・朝のこわばりで大きく見分けることができます。
生活に支障が出るほど痛んだり、指が変形したりなどの状態になる前の、ごく初期の段階で受診することが最も重要です。なぜなら、一度変形してしまった手指の関節は、後から手術などの治療を施しても完全には元に戻らないからです。取り返しがつかなくなる前に、以下の初期サインを見逃さないようにしましょう。
- 40代半ば以降で、朝起きたときに手指にこわばりなどの違和感が15分程度続く
- 手首が痛む日がある
これらの症状が出たときは、「年のせい」「使いすぎだろう」と放置したり我慢したりしてはいけません。また、受診する診療科にも注意が必要です。一般的な整形外科では、レントゲンを撮っても異常が認められず「使いすぎ」と診断されてしまうケースが少なくありません。女性ホルモンの減少と手指の症状との関連を適切に診断し、正しい治療をしてくれる専門医のいる「手の外科」を受診することが大切です。
今日からできる!メノポハンドの治療法と対処法を紹介
メノポハンドによるつらい痛みを和らげ、これ以上症状を進行させないためには、医療機関での適切な治療とご自宅でのセルフケアを両立させることがとても大切です。今日からすぐに始められる具体的な対策を紹介しますので、無理なく取り入れてみてください。
医療機関での治療法
40代以上の女性で更年期の症状がある場合は婦人科を受診しますが、手指の痛みや変形には、専門医である「手の外科」を受診するとよいでしょう。初期段階ではレントゲンで異常が認められないことも多く、専門医以外では適切な診断や治療が受けられないケースがあるためです。具体的な治療法は、症状やその進行度合いに応じて次のようになります。
- 初期〜中期:テーピングや関節を保護する装具の装着、薬物療法、アイシングなどが行われます。
- 注射療法:痛みが強い場合や症状が改善しない場合、関節内や腱鞘内などにステロイド注射を行います。ただし、ばね指の場合の連続した注射は3回程度とされています。
- 手術療法(悪化時):注射で痛みが取れないケースや変形がひどい場合には手術が検討されます。
自宅でできるセルフケア
加齢に伴う手指の不調は女性ホルモン(エストロゲン)の減少が大きく関わっているため、日常生活の中で以下のケアを取り入れることが推奨されています。
- エクオールの摂取:エストロゲンに似た働きをする成分エクオールが配合されたサプリメントを飲むことが、初期症状の改善に有効です。
- 保温と血行促進:血流の悪さが症状を悪化させるため、就寝時に手袋をして手を冷やさないようにしましょう。
- ビタミンEの摂取:血行を改善するために、ビタミンEのサプリメントを摂ることもセルフケアとして推奨されています。
- 初期症状を見逃さない:「朝起きたときに手指にこわばりなどの違和感が15分ほど続く」といった症状が出た場合は放置せず、早めに専門医を受診しましょう。
不足した女性ホルモンを補う「エクオール」の力
手指の不調を根本から見直すためには、外側からのケアや病院での治療に加えて、体の内側からのアプローチを取り入れることも非常に大切です。いま多くの女性から注目を集めているのが、エクオールという成分を使ったインナーケアです。
エストロゲンに似た働きをするスーパーイソフラボン
エクオールとは、大豆イソフラボンが特定の腸内細菌によって変換されて生まれる成分のことです。体内で女性ホルモンであるエストロゲンと非常によく似た働きをしてくれるため、スーパーイソフラボンとも呼ばれています。エストロゲンと同じような働きをするエクオール配合のサプリメントを飲むことで、手指の不調が解消されることもあります。 最近ではテレビ番組などでで、更年期の不調を救う画期的な成分として紹介されたため、すでにご存知の方もいらっしゃるかもしれません。減少してしまったホルモンの働きを自然な形でサポートしてくれるため、毎日の家事や仕事で手指の痛みに悩む女性にとって、とても心強い味方になってくれます。
サプリメント選びの鉄則は1日10mg
エクオールは本来、納豆などの大豆製品を食べることで腸内で作られるものです。しかし、実は日本人の2人に1人はエクオールを作り出すための腸内細菌を持っていません。
そこで、効率よく確実にエクオールを補うために推奨されているのがサプリメントの活用です。特に手指の不調などの更年期症状に対してしっかりと効果を実感するためには、一日あたり10ミリグラムのエクオールが配合されたエクオールを選ぶことが大切です。成分の含有量が少なすぎると十分な働きが期待できないため、サプリメントを選ぶ際は必ずパッケージの成分表示を確認しましょう。
▼エクオールについてこちらの記事もチェック
「年のせい」と思わずに早めのケアで大切な手指を守ろう
毎日家事や仕事を頑張ってくれているご自身の手指に不調が現れると、年齢のせいだから仕方ないと諦めてしまいたくなるかもしれません。しかしここまでお伝えしてきたように、更年期の手の痛みやこわばりは決して使いすぎや単なる加齢ではなく、女性ホルモンの減少という明確な原因があります。
朝のこわばりや小さな違和感に気づいたら、まずは指を温めたり、不足していく女性ホルモンの働きを助けるエクオールを取り入れるなど、できることからはじめてみてください。そして症状が続く場合は決して一人で悩まず、専門医を頼ってください。
どうかご自身の体を一番にいたわり、痛みのない穏やかな毎日を取り戻すためのケアを今日から始めてみてください。
この記事を監修した人

平瀬 雄一 (ひらせ ゆういち) 医師
医学博士
専門分野:手の外科/形成外科
東京慈恵会医科大学卒業、米国カリフォルニア大学サンフランシスコ校へ留学。米国デービスメディカルセンター客員教授、慈恵医大柏病院形成外科診療医長、埼玉成恵会病院形成外科部長を経て、2010年四谷メディカルキューブ手の外科・マイクロサージャリーセンターのセンター長に就任。2025年より東京ミッドタウンクリニックで手外科外来を開設。
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