更年期でもやせられる!ダイエットを成功させるポイント【食事編】
更年期を迎え、「食べる量は変わっていないはずなのに太ってしまう」「食事を減らしてもやせない」とお悩みの女性が増えてきます。その原因のひとつは、女性ホルモン(エストロゲン)の減少。でも、更年期だからといって、やせられないわけではありません。
太りやすくやせにくい更年期の女性がダイエットをするには、どのようなことに気を付ければいいのでしょうか。
そこで今回は、「更年期のダイエットを成功させるポイント」を「食事編」と「運動編」でご紹介。こちらの食事編では、メノポーズカウンセラーの三浦知代が、更年期の女性が太りやすくやせにくい理由と、ダイエットのために意識したいことを解説します。
エストロゲンが減少すると太りやすくなるのはなぜ?
――更年期になると、太りやすくやせにくくなるのはどうしてでしょうか?
一番の原因は、エストロゲンの減少です。エストロゲンの働きというと、月経や妊娠・出産、肌や髪を健康に保つといったことが広く知られていますが、実は脂質代謝や、血管・心臓などの循環器にも大きな役割を果たしています。つまり、若い頃に多少食べすぎてもそんなに太らなかったのは、実はエストロゲンのおかげともいえるのです。
エストロゲンが減少するということは、それまでエストロゲンが担っていた機能も低下することを意味します。健康診断でコレステロール値や血糖値が高くなり始めたら、食事に気を付ける必要が出てきたサインと捉えてほしいですね。
――太りやすくやせにくい理由は、脂質代謝が落ちるからだけでなく、循環器系の働きの低下も影響するのでしょうか?
寒い時期は特に、むくみが気になる人も多いと思います。その原因は、エストロゲンによって維持されていた血管の柔軟性が衰えることによる血行不良が挙げられます。また、エストロゲンの減少は筋力の低下も引き起こすので、血流がうまく全身に回らず、それがむくみにつながることもあります。
さらに、将来的な動脈硬化や心筋梗塞のリスクを考えても、40代のうちから食生活に気を付けておくことは重要です。
動脈硬化が進む危険因子の中には、
・脂質異常症(血液中の悪玉コレステロールや中性脂肪の増大、善玉コレステロールの減少)
・肥満(内臓脂肪過多)
があります。
これらはエストロゲンの減少がきっかけになるので、この時期から注意しておくことは大切といえます。
<動脈硬化については、次の記事で詳しくご紹介しています>
40代以降が意識したい動脈硬化、ちょっとした心掛けで予防できる!
40代のダイエットに必要な栄養素
――更年期以降の女性がダイエットをしようと思ったとき、どんなことから始めればいいですか?
まずは、ご自身が普段食べている主食の量を計ってみることをおすすめします。「以前と食べる量は変わっていない」と思っても、実際にどれくらい食べているかは把握できていないものです。
一般的なお茶碗1杯分のご飯は150gで、カロリーは234kcal。それを小盛りにすると、ご飯100gでカロリーは156kcalとなり、約80kcal減らすことができます。食パンも、4枚切りを6枚切りにすると、1枚あたりのカロリーが約80kcal下がります。
例えば、これを毎日の朝食だけ実践し続けたとすると、1年間で減らせるカロリーは29,200kcal。内臓脂肪1kgが7,000kcalなので、1年に約4.1kgの内臓脂肪を減らせる計算になります。
これはあくまでも理論上のことですが、こうした毎日の積み重ねも大きいことを意識するといいと思います。
――1食だけでそれは大きいですね!続けられそうな気がします。では、更年期世代のダイエットにおいて、積極的に摂取したほうがいい栄養素はありますか?
特におすすめしたいのは、「食物繊維」「発酵食品」、そして「オメガ3系脂肪酸」です。
食物繊維
食物繊維には「水溶性」と「不溶性」の2種類がありますが、両方とっていただくのがいいですね。水溶性食物繊維は水に溶ける性質を持っていて、糖質の吸収を抑え、コレステロールを低下させる働きがあります。
一方、不溶性食物繊維は水に溶けず、水分を吸収して膨らむ性質があるので、便のカサを増やしたり、腸内細菌のエサとなって腸内環境を整えたりします。
野菜や果物、海藻、きのこのほか、白米に玄米や雑穀を混ぜる、パンはライ麦や全粒粉を使った物を選ぶように意識するといいでしょう。
発酵食品
ヨーグルトやチーズ、納豆、キムチといった、発酵食品も腸内環境を整えてくれます。ここで重要なのが、特定の食材に偏らないようにすること。腸内環境はいろいろな菌が棲んでいるほうが、その働きも高まります。
腸内環境が悪いと体内の老廃物を排出しにくいだけでなく、免疫力の低下や自律神経の乱れにもつながります。この時期に腸内環境を整えておくことは、ダイエット以外の点でもとても大切なんですよ。
オメガ3系脂肪酸
ドレッシングや料理で使う油には種類があり、その中でも積極的にとることが推奨されているのが、オメガ3系脂肪酸です。
オメガ3系脂肪酸は
・血中の中性脂肪を下げる
・血流を良くする
といった作用があります。
魚の油で有名なDHA・EPAもオメガ3系脂肪酸。昔ほど魚を食べる機会が減ってしまった...と感じている人は、ぜひ同じオメガ3系脂肪酸であるα(アルファ)リノレン酸を多く含んだアマニ油やえごま油を食事に取り入れてみましょう。
なお、こちらの油は加熱には不向きな油なので、サラダやお豆腐にかけるなど、そのまま摂取すること、1日小さじ1杯を目安にお召し上がりください。
食事のとり方、食べ方にもひと工夫を
――更年期の女性がダイエットをするにあたり、食事のとり方で気を付けておいたほうがいいことはありますか?
更年期には、血糖値の急上昇を避ける食生活を心掛けることが大切です。そのため、1日の食事のとり方でいうと、朝食を抜くのは避けたほうがいいと思います。
――なぜ、血糖値の急上昇を避けるのがいいのでしょうか?
インスリンには食後に上昇する血糖を下げる働きがある一方で、体の中でエネルギーとして利用されなかったブドウ糖を脂肪に変える働きもあります。
朝食を抜いてしまうと、前日の夕食の次にとる食事が昼食となりますので、ここで一気に食事が入ってくることで血糖値が上がり、インスリンが大量に分泌されます。
こういったインスリンの過剰分泌を抑えるには、3食規則正しい食事をとることに加え、食事の際は先に野菜から食べるベジファーストがおすすめ。血糖値が上がるのを抑えられるほか、消化を助ける働きや、よく噛むことで満腹感が生まれ、食べる量を減らすことにもつながります。
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――そのほかに、注意すべきポイントがあったら教えてください。
・夕食は寝る3時間前までに済ませる
・夕食が遅くなったときは主食や揚げ物を減らす
・お酒を飲むなら「ビールは中瓶1本、日本酒は1合、チューハイは缶1本」
といったことに注意してほしいですね。
アルコールは意外と盲点なのですが、厚生労働省の示す指標ではこの量が推奨されています。
――以前、吉形先生の記事で、「エクオール含有食品が内臓脂肪の減少に影響を与える」という研究結果についてお話しいただきましたが、エクオール含有サプリメントを利用するのはいかがでしょうか?
エクオールはエストロゲンに似た働きをし、脂肪代謝を促す働きがあるので、サプリメントや大豆製品を積極的に食べることはおすすめです。
ただ、エクオールだけでやせられるわけではないので、あくまでもサポートとして摂取しつつ、今お話ししてきたようなことを実践していただけたらと思います。
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更年期には食事はもちろん、運動も取り入れながらのダイエットが有効
――更年期のダイエットは、日々の積み重ねが大切ですね。
逆をいえば、何か特別なことをしなくとも、今の食生活を見直すだけでだいぶ変わってくるということです。
また、更年期の女性のダイエットには食事だけでなく、運動も重要になってきます。というのも、内臓脂肪を減らすには、運動が一番有効だといわれています。さらに、筋肉がつくことで代謝も上がるといった相乗効果が得られるので、食事と運動はセットで続けていきましょう。
この記事を監修した人
三浦知代 (みうら ちよ)
管理栄養士/メノポーズカウンセラー
産婦人科病院の栄養課で、病院給食業務を経て、入院する前の食生活や、栄養摂取の必要性に興味を持ち、サプリメントの企画・販促に携わる道へ。
現在は(株)アドバンスト・メディカル・ケアに在籍し、エクオールサプリメントの販促担当として、日々、更年期症状に悩む女性へ向けて情報発信を行っている。