自律神経を整えるには「朝」がカギ!更年期におすすめの朝食とは

女性ホルモン(エストロゲン)の減少によって、自律神経が乱れがちになる更年期女性。イライラや落ち込みといったメンタルの不調、ホットフラッシュなどの体の症状の改善につながる自律神経の乱れを整える方法として、「呼吸法」「ツボ押し」「香り」についてお届けしてきました。

最終回は、自律神経を整えるのにもってこいのタイミングである朝に注目して、「朝食」の大切さについて紹介します。メノポーズカウンセラーの三浦知代が、朝食が自律神経を整えるのに有効な理由と、理想的な朝食メニューを解説します。

<自律神経を整える方法に関する記事>
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朝食をしっかり食べることでセロトニンの生成を促進

――自律神経を整える方法にはいろいろありますが、食事も重要と聞きます。中でも、朝食がポイントといわれる理由はどうしてでしょうか?

ILACY(アイラシイ)で以前ご紹介した、せんだい総合健診クリニック院長の石垣洋子先生による記事に、「セロトニン」が自律神経の交感神経と副交感神経のバランスを整えると紹介されています。

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――セロトニンは、「幸せホルモン」とも呼ばれるホルモンですよね。

はい。セロトニンがしっかり分泌されることで、心と体に元気を与えてくれるといわれています。

石垣先生によると、セロトニンの分泌を促すのに必要なことは
・太陽の光を浴びる
・大豆製品、乳製品、バナナを毎日食べる
・腸内環境を整える

の3つをおすすめされています。

この3つを満たすのに、朝というタイミングと朝食がとても重要になります。

というのも、セロトニンの生成においては、朝日を浴びるのが最も大切です。そのため、朝起きたらまずはカーテンを開けて、朝日を浴びてから朝食を食べる、これを習慣化するといいと思います。

また、セロトニンの約90%は腸内で生成されるといわれていますので、朝食ではセロトニンの素になる栄養素を含む食材を積極的にとるのがおすすめです。

セロトニンを作るためには、必須アミノ酸のトリプトファンが不可欠。トリプトファンを含む食材には、大豆製品(納豆、豆腐、味噌など)や乳製品(牛乳、チーズ、ヨーグルトなど)、バナナなどがあります。

さらに、セロトニンを合成するために必要なビタミンB6を含む豆類や魚類、そして炭水化物をとるようにしましょう。

■セロトニンの素になる食材

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血糖値の乱高下を抑える食べ方

――セロトニンの生成を促したり、腸内環境を良くしたりする食材を食べるほか、朝食の際に心掛けるといいことはありますか?

更年期世代の女性は、冷えやむくみに悩んでいる人も多いと思います。自律神経の乱れは血流の流れを悪くするので、なるべく温かい物を食べるようにしてください。

また、血流を良くする働きのあるビタミンEが豊富なナッツ類のほか、たんぱく質には体を温める効果があるので卵や魚などもおすすめです。

――反対に、セロトニンの生成を促す上で避けたほうがいい食品があれば教えてください。

添加物を多く含む加工食品は避けていただきたいです。ビタミンをはじめとする体に必要な栄養素が少ないですし、添加物は腸内環境にも悪影響を及ぼします。それによってセロトニンの生成がうまくできず、自律神経のバランスが崩れることにもつながってしまいます。

――朝食を菓子パンで済ませたりするのはNGですね...。

そうした習慣は血糖値が急激に上がるきっかけにもなるので、ぜひ見直していただきたいです。

朝の空腹時に菓子パンを食べたり、朝食をとらずに空腹の状態でランチをドカ食いしたりすると、血糖値は急激に上がります。血糖値を下げるために、体内ではインスリンが大量に分泌されるのですが、それによって今度は血糖値が急に下がり、低血糖を引き起こす場合もあるんです。

こうした血糖値の乱高下は、自律神経の乱れにつながります。加えて、急激に上がった血糖値を下げるために分泌されるインスリンは、体内でエネルギー源として使われなかったブドウ糖を中性脂肪に変える働きを持つので、肥満防止という観点からも要注意。

血糖値を急激に上げないためには、小麦粉のパンよりも全粒粉のパン、白米よりも玄米にするなど、血糖値を下げる働きがある食物繊維が豊富な食品を食べるようにしましょう。

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朝の時間帯は自律神経を整えるチャンス

――セロトニンを増やす、血糖値の急上昇を防ぐことを考えたときに、おすすめのメニューはどういうものがありますか?

ご飯にお味噌汁、納豆、卵、鮭といった、「旅館の朝食」のようなメニューがいいと思います。発酵食品もとれるし、たんぱく質も入っているし、理想の朝食ですね。

――朝は忙しくて、そこまで用意できない人もいそうですね...。

もし時間がない、あまりおなかが減っていなくて食べられないという場合も、お味噌汁を1杯飲むことから始めてみるのはいかがでしょうか。温かいお味噌汁を飲むことで体も目覚めますし、血流も良くなりますから。

また、朝食をしっかり食べるためには、前日の夕食のとり方も大切になってきます。寝る3時間前には夕食を済ます、腹八分目にするといったことを意識すると、翌朝きちんと朝食が食べる準備が整うと思います。

――1日を通して食事のリズムを作ることが、自律神経を整えるには大切なんですね。

そうですね。そういう意味で、朝はチャンスだと思うんです。例えば、ギリギリまで寝たいからといって朝食を食べなかったり、休みの日はお昼まで寝ていたりすると、自律神経を整えるのに一番いい時間帯を逃していることになります。

人間の体は、2種類ある自律神経のうち、交感神経は日中に優位となり、副交感神経は夜に優位となるようにできています。ですが、更年期の女性は女性ホルモン(エストロゲン)の減少に加え、仕事や家庭のストレスなど、さまざまなことが引き金となって、そのバランスが崩れがちです。

ですから、毎朝決まった時間に起きて、朝日を浴びて、朝食をとるだけで、自律神経はだいぶ安定すると思います。朝の時間を、ぜひ有効に活用してくださいね。



profile
間瀬 有里(ませ ゆり)医師

三浦 知代(みうら ちよ)
管理栄養士/メノポーズカウンセラー

管理栄養士歴20年以上。病院給食業務の経験を経て、入院する前の食生活や栄養摂取の必要性に興味を持ち、サプリメントの企画販促に携わる道へ。
現在は、㈱アドバンスト・メディカル・ケアに所属し、est're<エストール>担当として、女性ホルモンマネジメント®の普及活動を行っている。
est're<エストール>「はじめよう!フェムケアプロジェクト!」マネージャー

est're <エストール> Instagram:
https://www.instagram.com/estre.official

※掲載している情報は、記事公開時点のものです。
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この記事は、働く女性の医療メディア
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