更年期の月経の悩み|フェムゾーンケアのポイントも解説

更年期に差し掛かった女性の身体には、経血量の増減や、腟の自浄作用の低下といったフェムゾーンの環境に影響が出るような変化もみられます。
更年期の変化に適切に対処し、不快感を少しでも軽減するためには、フェムゾーンケアが大切です。
本記事では、更年期にみられる月経の変化の内容と、更年期だからこそ意識したいフェムゾーンケアのポイントを解説します。
更年期を迎えられた方や、プレ更年期の方はご一読ください。
更年期の月経とは
更年期を迎えると、女性ホルモンの分泌量低下によって、月経のサイクルや出血量が変化することがあります。また、月経痛をはじめとするPMSが重くなる場合も。
人によって症状は異なりますが、以下の変化が更年期の女性に比較的多くみられます。
更年期によくある月経の変化
- 過多月経
- 過少月経
- 頻発月経
- PMSの悪化
上記のほかに注意したいのが、子宮筋腫や子宮内膜症、子宮体がん、子宮頸管ポリープといった婦人科系の疾患です。これらの病気は不正出血を伴うことがあり、過多月経や頻発月経といった更年期による月経の変化との区別がつきにくいため、発見が遅れる可能性もあります。
心身の状態の変化を実感したら、「更年期だから仕方ない」「放っておけばいつか落ち着く」と自己判断せずに、まずは婦人科にかかることをおすすめします。
更年期症状だとしても医療機関で適切な治療を受けられる可能性がありますし、もし万が一、婦人科系の疾患であれば早期発見で改善につながるためです。
月経以外でも、更年期やプレ更年期では、心身にさまざまな変化が出ます。こちらの記事では、美容家の神崎 恵さんに、更年期・プレ更年期を健やかに過ごすための考え方や、対処の方法についてお話しいただいております。
神崎 恵さんに聞く、プレ更年期・更年期を健やかに美しく過ごすために大切なこと【前編(全3回)】
更年期の月経における主な悩み

更年期に起きる月経の変化によって、さまざまな悩みを生じる場合があります。ここでは、更年期の月経における主な悩みを紹介します。
出血量の変化
更年期に差し掛かると、「過多月経」「過少月経」などにより、一度の出血量が変化することがあります。特に多くみられるのが、大量の出血が続く「過多月経」です。
過多月経では、通常の月経における2~3日目に見られるような、1回あたり150ml以上の出血が続きます。急激に出血量が増え、夜用のナプキンを使っても対処しきれずに悩む方も多いようです。
また、出血量そのものは少なくても、出血が2週間、3週間と長期間にわたりダラダラと続くケースも。「なかなか月経が終わらない」「いつまでも血が出ている」という不快感もまた悩みにつながります。
これまでよりも明らかに月経が長くなったり、あまりにも出血が多い場合は、婦人科で相談すると安心ですよ。
月経痛の変化
20~30代のときに、月経痛をはじめとするPMS(月経前症候群)が重かった方は、更年期を迎えるとさらに重い症状に悩まされる場合もあります。これは、更年期のホルモンバランスの乱れによるものです。
月経前の数日間は一時的に女性ホルモンの分泌量が減ります。そこに更年期におけるホルモンバランスの乱れが重なると、さらに月経痛がひどくなる場合があるのです。
日常生活に支障をきたすほどの月経痛は、我慢せずに婦人科で相談することがおすすめです。
閉経後の不正出血
多くの日本人女性は、50歳前後に閉経を迎えます。しかし、閉経後にも不正出血がみられる場合があります。
閉経からそれほど経っていないタイミングであれば、卵巣の働きによって出血があることも珍しくありません。しかし、炎症や子宮体がんをはじめとする、病気による出血の可能性もあるため、閉経後にもかかわらず出血する場合は婦人科を受診しましょう。
こちらの記事では、閉経後の不正出血について、考えられる原因や受診のポイントを解説しています。
閉経後に生理が...!?不正出血や病気のサインについて解説します
フェムゾーンケアで更年期の月経の悩みを軽減しよう

大量の出血やひどい月経痛、不正出血といった、更年期の月経における悩みの根本原因は、婦人科で専門医に相談することが何よりの近道。
そのうえで、セルフメンテナンスとしてぜひ日常的に取り入れていただきたいのが、フェムゾーンケアです。
なぜなら、適切なフェムゾーンケアは、更年期の女性にとって身体とメンタルの双方にメリットがあるためです。
更年期では、女性ホルモンの減少により腟の自浄作用が低下します。その状態で、もし過多月経が起きて大量の経血が流れると、雑菌が繁殖してフェムゾーンにトラブルが生じるおそれもあります。
普段からフェムゾーンを清潔に保つことで、衛生面におけるトラブルのリスクを可能な限り抑えられるのです。
また、適切なフェムゾーンケアは、メンタルへのポジティブな影響も期待できます。
経血の不快感や月経痛のつらさによって気分が落ち込むこともあるでしょう。そんなときも、ご自身をいたわって一つひとつの小さな不快感を軽減していくことによって、気持ちが楽になるかもしれません。
こちらの記事では、実際の調査結果をもとに、フェムゾーンケアがメンタルに与える可能性について解説しています。フェムケアについてもっと知りたい方はぜひご覧ください。
フェムケアはメンタルにも良い?
【月経の悩みを軽減】更年期からはじめるフェムゾーンケアの基本

月経をはじめ、心身にさまざまな変化が訪れる更年期の方には、日常的なフェムゾーンのケアをおすすめします。ここからは、更年期のフェムゾーンケアで意識したいポイントを紹介します。
フェムゾーン用のケア用品を使う
フェムゾーンケアの基本は、毎日の洗浄です。月経時に付着した経血をきれいに洗い流すのはもちろん、月経でないときでも清潔に保ちましょう。また、内側からケアするためのインナージェルや、保湿用のオイルを使うこともあります。
いずれにしても徹底したいのは、フェムゾーン用のアイテムを使うという点です。
「洗浄は、身体用のボディソープでいいんじゃないか」と思われるかもしれません。しかし、身体用のボディソープは洗浄力が強く、フェムゾーンに刺激を与えてしまう場合があるのです。

酸性・アルカリ性を示すpHの値は、腟内はpH3.8~4.5、外陰部周辺はpH5.9前後とされており、いずれも弱酸性の環境です。対して一般的なボディソープはpH9.0~11.0程度のアルカリ性。フェムゾーンに使うと、フェムゾーンの環境が中性に傾き、自浄作用が低下するおそれがあります。
更年期になると、腟の自浄作用が落ちるのは先ほど解説した通りです。さらに環境を悪化させてしまわないためにも、フェムゾーン用のアイテムを使いましょう。
なお、こちらの記事では美容家の神崎 恵さんに、フェムケアで大切にしたい考えや、神崎さんが使われているアイテムについてお話しいただいております。
神崎 恵さんに聞く、プレ更年期・更年期を健やかに美しく過ごすために大切なこと【中編(全3回)】
正しい洗い方を身に着ける
フェムゾーンは「デリケートゾーン」ともよばれるほど、女性の身体で特に敏感で繊細な箇所です。余計な刺激を与えずに、かつ清潔な状態を保てるよう、正しい洗い方を覚えましょう。
洗う順番としては、「前から後ろ」が鉄則です。
フェムゾーンでもっとも雑菌が多いのはお尻のまわりなので、先に触れると雑菌が腟や尿道に入ってしまうおそれがあります。最初にアンダーヘアを洗って、そのあとは尿道口まわりと腟口、最後に肛門を洗います。

小陰唇と大陰唇のヒダの内側は、汚れがたまりやすく、月経期間中は経血が付着していることも考えられます。指の腹を使って丁寧に洗いましょう。
ただし、力を入れてゴシゴシとこするのは禁物。あくまでも優しく洗います。
なお、月経中で肌が敏感になっており、フェムゾーン用のソープでも刺激に感じる場合は、お湯でやさしく洗ってくださいね。
フェムゾーン用ジェルで保湿する
顔を洗ったら化粧水や乳液で保湿するのと同じように、フェムゾーンにも保湿が必要です。
更年期の女性は、女性ホルモンの減少により全身が乾燥しやすくなっています。特にフェムゾーンが乾燥すると、下着などがこすれることでヒリヒリとした痛みを感じたり、排尿時に尿がしみたりといった痛みや不快感につながることも。
乾燥によるトラブルを避けるために、フェムゾーンを洗い終えたらタオルで軽く押さえて水分を拭きとり、フェムゾーン用に調整されたジェルやクリームで潤いを与えましょう。
フェムゾーンケアを始めて、更年期の月経による不調ともうまく付き合おう
今回は、更年期の女性に多い月経のお悩みについて解説しました。
更年期に差し掛かると、月経の出血量や痛みなどに変化が出ることがあります。根本的な症状については婦人科での相談が望ましいですが、症状と言うほどではない小さな不快感もあるでしょう。
そういった不快感に対しては、毎日の丁寧なフェムゾーンケアが味方となってくれるかもしれません。
ぜひ、今回解説したポイントを意識して、フェムゾーンケアを始めてみてください。
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