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原千晶が語る | 30歳で子宮頸がんの診断「簡単な手術」が検診サボりの罠

「生理痛は重いけれど、薬を飲めば動けるから大丈夫」
「仕事が忙しいから、検診はまた今度でいいや」

もし今、あなたが少しでもそう思っているなら、スマホを置く前にこの話を読んでください。
タレントの原千晶さんが30歳で最初の子宮頸がんを告知されるまでの日々は、まさにそんな「働く女性なら誰にでもある油断」の積み重ねでした。
激痛を鎮痛剤で散らして笑顔を作った20代。不正出血を「疲れ」だと見逃した30代手前。そして、最初の手術が成功したからこそ陥ってしまった、「検診サボり」という罠。これは、2度のがんを経験し、子宮を失った原さんが、20年経った今も涙ながらに語る最初の後悔の記録です。

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タレント・女優

原 千晶

激痛でも異常なし?根性論で片付けていた20代の生理痛

「生理痛が重いのは体質だから仕方がない」「薬を飲んでやり過ごせば、なんとかなる」
多くの女性が一度は自分に言い聞かせたことがある言葉ではないでしょうか。しかし、その「仕方がない」という我慢の中に、重大な病気のサインが隠れていることがあります。原千晶さんが20代を駆け抜けた日々もまた、鎮痛剤と根性で「痛み」を押し殺す毎日でした。

「お腹が割れるような痛み」も我慢。母の教えと現代の医療のズレ

――30歳でがんが見つかるずっと前から、身体からのサインはあったのでしょうか?
原さん
実は私、14歳で初潮を迎えた瞬間から、もう「お腹が割れるんじゃないか」と思うくらい生理痛がひどかったんです。あまりの激痛にびっくりして、母に「お腹が痛い!」って訴えたのを覚えています。
――初潮からいきなり激痛......それは怖いですよね。お母様はなんと?
原さん
母は優しく「おめでとう」と言ってくれました。「痛いのは体が変化しているサインだから。これから毎月起こることだから、うまく付き合っていこうね」って。母が私を産んでくれたように、この痛みは将来お母さんになるための準備なんだと教えられました。
――なるほど。お母様の愛情ではあるのですが、当時はまだ「生理痛=我慢するもの」という考え方が強かった時代ですよね。
原さん
そうです。まさに昭和の根性論というか(笑)。「つらいなら寝てなさい」「薬を飲みなさい」とは言われましたが、根本的に病院へ行って治すという発想は全くありませんでした。「女性はみんな耐えているんだから、私も耐えなきゃ」と思い込んでしまって。
20代で芸能のお仕事を始めてからも、生理痛の酷さは変わりませんでした。しかし、現場に穴を開けるわけにはいかないので、マネージャーさんにも「私、生理が重いんです」と伝えつつ、鎮痛剤で痛みを散らして、ごまかしながら10年間も働き続けてしまいました。

【医師監修情報の解説】生理痛(月経困難症)は個性の範囲ではない

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生理痛は個人差があるからと放置されがちですが、日常生活に支障が出るほどの痛みは、医学的には「月経困難症」という立派な病気です。月経困難症の背景に、特定の疾患が隠れている場合があります。生理痛を放置すると、病気が進行しさらに生理痛がひどくなったり、将来的に不妊症やがんのリスクが高まったりする可能性があります。「私の生理、もしかして重すぎる?」と不安な方は、以下のリストをチェックしてみてください。

【危険な生理痛のセルフチェック】

  • 鎮痛剤が手放せない、または薬が効かないほどの痛みがある
  • 普通のナプキンでは1-2時間ももたないほどの多い経血量や、レバー状の大きな塊が出る
  • 8日以上出血が続くことがよくある
  • 生理の期間以外にも下腹部痛や腰痛がある
  • 生理のたびに寝込んでしまい、仕事や家事が手につかない

一つでも当てはまる場合は、体が発しているSOSサインかもしれません。まずは一度、婦人科で「この痛みは普通ですか?」と相談することから始めてみましょう。

針金先生

婦人科医師

針金 永佳 先生

Doctor's Comment

針金先生からのコメント

生理痛の原因として、何らかの病気が隠れている場合がありますので、まずは管理すべき疾患がないかを確認することが大事です。
検査で特に原因となる病気が見つからなかった場合でも、つらい症状があるときには治療の対象になります。我慢する必要はありませんし、定期的に婦人科を受診していただくことをおすすめします。また、生理に伴う症状はお腹の痛みだけではなく、頭痛、吐き気、気分の不調、便通の乱れなどさまざまです。ひとりで抱え込まず、どうぞお気軽に婦人科へご相談ください。

【見逃されたサイン】不正出血を都合よく解釈する心理バイアス

激痛が日常になってしまっていた原さんですが、身体はさらなるSOSを発していました。それが、不正出血です。しかし、人間には都合の悪い情報を過小評価する「正常性バイアス」という心理が働きます。忙しいという現実が目の前にあるとき、私たちは驚くほど簡単に、体の警告を無視してしまいます。

「止まったから大丈夫」仕事の忙しさを理由に病院から逃げる日々

――生理痛以外にも、「あれ?」と思うような身体の変化はあったのでしょうか?
原さん
一番わかりやすかったのは、不正出血です。生理じゃない時期に下腹部に違和感があってトイレに行くと、下着に鮮血がピッとついていました。出血だけではなく、生理前のイライラや落ち込みなどのPMS(月経前症候群)も、30歳手前ですごく酷くなっていて。心も体もボロボロでした。
――えっ、生理期間外に鮮血ですか?それはかなり驚きますよね。
原さん
最初は驚きましたが、数時間するとピタッと止まっていて。「あれ?止まった。じゃあ治ったのかな」って思いました。出血がダラダラ続けば怖くなって病院に行ったと思いますが、止まるから「たまたまかな」「疲れてるだけかな」って自分に都合よく解釈してしまいました。
――喉元過ぎれば......じゃないですけど、見なかったことにしてしまったんですね。
原さん
そうです。他にも茶色のようなおりものが出たり、生理の出血量が異常に多かったり。でも、「もうすぐ30歳だから体質が変わったのかな?」なんて、勝手な理由をつけて納得していました。
――病院へ行こう、とはならなかったんですか?
原さん
なりませんでしたね。「忙しい、面倒くさい、行かなくても平気」。
いくらでも行かない理由は作れたので。そもそも当時は子宮頸がんという病気の存在自体を知りませんでした。病名を知らないから、自分に関係があるとも思えない。無知だったからこそ、若いから大丈夫と根拠のない自信を持ってしまっていました。最終的には、あまりに様子がおかしい私を見かねた友人が、「絶対に病院に行きなさい!」とすごくきつく怒ってくれて......。彼女の言葉がなかったら、もっと手遅れになっていたかもしれません。

【セルフチェック】この出血は危険信号!見逃してはいけないパターン

原さんのように、ホルモンバランスの乱れと自己判断するのは非常に危険です。不正出血には、子宮筋腫やがんなど病気が原因の「器質性出血」と、それ以外が原因の「非器質性出血(機能性子宮出血)」などがあり、それぞれを自分で見分けることは非常に困難です。

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特に以下のような出血は、子宮頸がんの初期症状である可能性が高いため、ためらわずに受診してください。

【見逃し厳禁!危険な出血リスト】

  • 接触出血(性交時の出血):子宮の入り口(頸部)にがんができると、性交渉の刺激で出血しやすくなります。子宮頸がん特有の重要なサインです。
  • おりものに血が混じる:茶色っぽいおりものや、ピンク色のおりものが続く場合も要注意です。
  • 閉経したはずなのに出血がある:閉経後の出血は、がん(子宮体がん・子宮頸がん)の可能性が疑われます。
  • 生理が長引く、または終わった直後にまた出血する

生理不順で片付けず、病気が隠れていないか確認が必要です。たった一度の受診が、あなたの命を救う分岐点になります。

針金先生

婦人科医師

針金 永佳 先生

Doctor's Comment

針金先生からのコメント

不正性器出血は病気でなくても比較的よくみられる症状ではありますが、適切な鑑別診断が大切です。「この程度で受診していいのだろうか」と心配する必要はありません。気になる出血があれば、遠慮せず早めに婦人科を受診していただくようお願いします。

【30歳で最初のがん告知】簡単な手術が招いた最大の悲劇

友人の説得により、ようやく重い腰を上げて病院へ向かった原さん。そこで告げられたのは、「子宮頸がん」という予想だにしない診断でした。しかし、彼女を本当の悲劇へ突き落としたのは、がんそのものの恐怖ではなく、最初の治療があまりにも「簡単すぎた」ことでした。

――がんが見つかったのは、お仕事が一番忙しい時期だったのでしょうか?
原さん
実は少し違います。20代を駆け抜けて疲れてしまい、29歳の時に芸能のお仕事を1年間休業していました。1年休んでリフレッシュして、「30歳になったし、もう一度仕事を頑張らせてください」と事務所にお願いし、復帰が決まったタイミングでした。
経済的にも頑張らなきゃいけない、やっと再スタートが切れる。そう意気込んでいた時にがんが見つかってしまって。「なんで今なの?」って、悔しくて仕方ありませんでした。

円錐切除術でスピード退院「がんはチョロい」という恐ろしい勘違い

――診断がついたときは、どのようなお気持ちでしたか?
原さん
友人に言われて、最初は近所のレディースクリニックへ行きました。そこで先生に「子宮の入り口に何かできものがある。ここでは詳しくわからないから、すぐに大きい病院へ行きなさい」と言われ、大学病院で精密検査を受けたら子宮の入り口(頸部)に13ミリの腫瘍があることがわかりました。
最初は驚きましたが、「円錐切除術」という手術を受け、これが私にとって「運命の分かれ道」になってしまって。全身麻酔で寝ている間に終わって、お腹も切らないし、痛みもほとんどありませんでした。術後の回復も早く、「えっ、がんってこんなに簡単に治るの?」って拍子抜けしちゃいましたね。
――手術がうまくいったからこそ、病気を軽く見てしまったのでしょうか?
原さん
そうです。「なんだ、チョロいじゃん」って気を良くしてしまった。これが最大の過ちでした。本当はもっと慎重になるべきだったのに、完全に油断してしまったんです。

【徹底解説】円錐切除術とは?メリットと再発のリスク

原さんが受けた円錐切除術は、子宮頸がんの前がん病変や初期病変に対し行われる手術で、組織学的な確定診断や病変の広がり具合を確認する手術です。診断結果によっては、円錐切除術のみで治療を完結できます。この手術の最大の特徴は、子宮を残せる点です。子宮の入り口部分を円錐状に切除する手術なので、妊娠・出産の可能性を温存でき、身体への負担も少なく済みます。しかし、これには重要な注意点があります。

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【円錐切除術のリスクと現実】

  • 完治の保証ではない:切除した組織の病理検査の結果次第では、がん細胞が取りきれていない可能性やさらに深い部分への進行が見つかることがあります。
  • 再発のリスク:子宮そのものは残っているため、再びがんが発生するリスクはゼロではありません。
  • 厳密な経過観察が必須:術後は数ヶ月に一度の定期検診が絶対に欠かせません。

この手術はあくまで経過観察のスタートラインに立ったに過ぎないことを、決して忘れてはいけません。

針金先生

婦人科医師

針金 永佳 先生

Doctor's Comment

針金先生からのコメント

円錐切除術は治療目的で行う場合と、その後の治療方針を決定するための検査目的で行う場合があります。
円錐切除術が最終治療となった場合でも、新たに病変が出現する可能性は十分にありますので、術後のフォローアップは欠かさずに受けていただくことが大切です。

医師の全摘提案を拒否。病院に行かなくなった「魔の空白期間」

円錐切除術でがんを取り除いた(ように見えた)原さん。しかし、医師の見立ては慎重でした。「念のため」と提示された追加治療の提案。ここでの選択、そしてその後の行動が、原さんの運命を大きく狂わせていくことになります。

――病理検査の結果、追加の手術を提案されたのですよね。
原さん
はい。先生は「原さん、やっぱりがんでした。でも、今なら「単純子宮全摘」で子宮を単純に取るだけの手術で済むから念のため手術しよう」と言ってくれました。
――円錐切除で終わりではなかった。でも、子宮を取るというのは大きな決断ですよね。
原さん
当時の私は、1年の休業を経て仕事に復帰したばかりで、また手術で仕事を休むなんて考えられませんでした。正直、「ふざけんな」って思いました。「周りの友達はみんな元気なのに、なぜ私だけ30歳でがんにならなきゃいけないの?」「なんで私ばっかり」って。
――先生や周りの方は、それでも手術を勧めたのでは?
原さん
もちろんです。先生も、親も、事務所の人たちも、みんなが「お願いだから手術を受けて、元気になってくれ」と必死に説得してくれました。怖さもありましたが、それ以上に理不尽さへの怒りで、心がひねくれてしまっていたんです。「いやだ、手術はしたくない」と一点張りでした。内心では、「これほど悩むなら温存し、何かあったら治療して、その後に子宮を取ればいいんじゃないか?」と、自分に都合よく考えてしまっていたんです。

経過観察と言われたのに、2年で通院を自己判断でやめてしまった

――先生も渋々、経過観察を認めてくれたと。
原さん
毎月必ず検診に来ることを条件に、許してくれました。最初は真面目に通いましたが、2年程経過した頃、毎月行っても異常なしだから、もう治ったのかなという慢心が出てしまい、そこから、病院に行くのをやめてしまいました。
――ご自身の判断で、ですか?
原さん
はい。そこから35歳で再発が見つかるまでの数年間、私は一度も検診に行きませんでした。その空白の期間に、がんがどうなっているかも知らずに......。

まとめ:後悔先に立たず。失ってから気づく「当たり前」の尊さ

原千晶さんが今、最も悔やんでいることは、無知と過信によって、自分の体を守るチャンスを自ら捨ててしまったことです。
「痛くないから大丈夫」「若いから大丈夫」「一度手術したからもう平気」
そんな根拠のない自信が取り返しのつかない事態を引き寄せていました。検診をサボり続けて約3年後。35歳になった原さんを待っていたのは、あまりにも残酷な現実でした。

【原千晶さんインタビュー記事一覧】
本サイトでは、原千晶さんの闘病から現在に至るまでの軌跡を、テーマ別の全3本のインタビュー記事でお届けしています。原さんが涙ながらに繋いでくれた「命のバトン」を、ぜひ他の記事からも受け取ってください。

▼ 第2弾:35歳での再発。結婚目前での壮絶な決断
35歳での再発発覚、診察室に響いた新しい主治医からの怒号、そして愛するパートナーとの別れを決意した「子宮全摘出」の瞬間について、涙ながらに語られた真実に迫ります。

▼ 第3弾:術後のリアル。後遺症との闘いと「未来の守り方」
「がんは切って終わりではない」。術後14年目に発症したリンパ浮腫や、結婚前から続くセックスレスの真実、そして痛みを知るからこそ伝えたいHPVワクチンと検診への強い想いを伺いました。

よつばの会

30代で2度の子宮がんを経験したタレントの原千晶が37歳の時に立ち上げた婦人科がん患者会「よつばの会」。
参加資格は乳がん、子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がん等、女性特有のがん経験者です。
年齢も背景も異なる女性がそれぞれの経験を気兼ねなく話したり、がん経験者同士の交流や病院・治療についての情報共有を行う場として15年間続く会です。

よつばの会

関連サイト

よつばの会

https://www.yotsuba-kai.com/

SUPERVISER この記事を監修した人

原千晶

PROFILE

原 千晶(はら ちあき)

タレント・女優

1974年生まれ。北海道出身。1994年クラリオンガールに選出され、その後タレント・女優としてドラマや映画で活躍。 30歳の時に子宮頸がんを患い、円錐切除術を受ける。その後、35歳の時に子宮体がんが再発し、子宮全摘出手術を受ける。

現在は、自身の経験を活かし、婦人科がん患者を支援する「よつばの会」を主催。 また、一般社団法人「日本キャンサーアピアランスケア協会」の理事をつとめている。 全国での講演活動や、がん検診の啓発活動に尽力している。

SUPERVISERこの記事を監修した人

針金先生

PROFILE

針金 永佳 (はりがね えいか) 医師

医学博士
専門分野:婦人科

東京ミッドタウンクリニックに勤務。日本医科大学医学部卒業。日本産科婦人科学会専門医。周産期新生児医学会周産期専門医。女性医学学会女性ヘルスケア専門医。新生児蘇生法「専門」コース修了。由利組合総合病院産婦人科、日本医科大学武蔵小杉病院 女性診療科・産科を経て現在に至る。

東京ミッドタウンクリニック:https://www.tokyomidtown-mc.jp/

※掲載している情報は、記事公開時点のものです。
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この記事は、働く女性の医療メディア
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