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「好きを追求することが、自分らしいラグジュアリーを見つけるきっかけになる」鈴木万梨子さんに聞く、人生の彩り方【前編(全2回)】

ラグジュアリーのもともとの意味は、「豪華」「贅沢」ですが、昨今では金銭的な価値だけではなく、「心の豊かさ」を象徴する概念としても捉えられています。

ラグジュアリーはもともと、「豪華」「贅沢」という意味を表します。
日本では、豪華や贅沢という言葉が必要以上にお金をイメージさせることから、あまり好印象をお持ちでない方も少なくありません。
ただ、昨今では金銭的な価値観だけでなく、自身の生活を本質的に改善する「心の豊かさ」を象徴する概念としても捉えられています。

今回はクリエイティブディレクター/起業家として活躍される鈴木万梨子さんに、「心の豊かさ」としてのラグジュアリーについてインタビューいたしました。
美を見極める審美眼を持ち、日本とパリを行き来する生活を送る鈴木さんに、「ラグジュアリーファッション」「ラグジュアリービューティー」に着目した内容をお話しいただいています。

「素敵」と思う気持ちに素直になることが、感性を輝かせてくれる

――鈴木さんは、日本とフランスを頻繁に行き来されていますよね。インスピレーションを受けやすいライフスタイルのなかで、ご自身の「輝き方・輝かせ方」を左右する「創造力」と「審美眼」を、どのように磨いていらっしゃいますか?

鈴木さん(以下、鈴木):質を高めるにはまず量が重要だと思っているので、美しいものに触れる機会を増やすことを大切にしています。意識的に機会を増やすことで、自分の好みや、直感的に惹かれる対象について、徐々に研ぎ澄まされていきます。そうして感覚を磨いていくことが眠っている「創造力」を呼び覚ますきっかけになると思っています。

たとえば、私が拠点の一つにしているフランスには無料の美術館が多くあるので、朝起きてから30分だけでも足を運んで、絵画や彫刻、写真を鑑賞する時間をとっています。広場で開催されている蚤の市にもよく足を運んでいますね。販売されているアンティークの日用品や雑貨などが五感を刺激してくれるので、心から満喫できますし、とても好きな空間です。

そして、「なぜかわからないけど、これに惹かれる!」と直感的に思ったもののことは、あえて調べないこともあります。調べた「情報」で判断するのではなく、まずは好きという自分の「気持ち」にしっかりと集中することで、創造力と審美眼を磨けると考えているからです。

ただ、最初からその感覚を意識していたわけではありません。多くの美しいものに出会い、好きという感情を一番に大切にしてきたことで、結果的に創造力と審美眼を身につけられたのかもしれない、と思っています。

――美しいものに触れながら創造力と審美眼を磨かれているのですね。美しいもののなかでも、「ラグジュアリーファッション」や「ラグジュアリービューティー」については、どのようなお考えをお持ちでしょうか。

鈴木:ラグジュアリーにおけるファッションやビューティーには、ただ美しい、品質が高いだけでなく、"深い哲学"があると感じています。ブランドストーリーを受け継ぎ、創業者や開発者の想いが込められた世界観が体現されている。そして、その世界観のもとに商品つくられ、お客様に届いている、という順序だと考えています。

もちろん、世界観から商品がつくられたものとは逆に、最初に商品が開発されるケースや、偶然的に生み出されたものもあるかもしれません。それでも、「誰かを幸せにしたい」といった想いや創業者の哲学のもとにつくられたものがほとんどだと私は思います。


本物のラグジュアリーこそ、ナチュラルに感じられるもの

――鈴木さんがこれまで出会われたなかでも、より「ラグジュアリーな世界観」を感じた場面を教えてください。

鈴木: 振り返ると、子どものころに集めていた可愛いものやキラキラしたものが、美しいものに惹かれた最初の体験なのかもしれません。多くの女性は、幼少期にスパンコールのついた洋服や、おもちゃの宝石のアクセサリーなどに夢中になった経験があるのではないでしょうか。私もその一人でした。

ラグジュアリーとの本格的な出会いは、海外旅行で行ったヨーロッパです。美術館を訪れてファッションの歴史を学んだり、ジュエリーブランドの個展に足を運んだりすることで、本物のラグジュアリーを実感できるようになったと思います。

旅行会社に勤務していたときの経験もその一つです。美容学校の学生向けに、パリとロンドンを訪れる2週間のオーダーメイドプランを企画したことがあります。「学生に美に対するインスピレーションを受けてほしい」というテーマのもとに、各地の美術館への訪問や、ファッションブランドの工場見学などを盛り込んだプランを組みました。計画する際に、現地への訪問やリサーチを通じてブランド創業の裏話を知り、プランに参加した学生の感想などを聞いて、私自身もあらためてラグジュアリーの世界に触れました。

会社経営者の方にお会いした際にも新たなラグジュアリーの扉が開きました。会社を経営されている方の多くはラグジュアリーな時計や靴などを身につけていたり、仕事のスイッチが入るアイテムを大切にしていたり、こだわりを持たれていると感じます。私が起業する際にも、応援の印として高級なボールペンをプレゼントしていただいた経験があります。鑑賞するだけではなく、実際にラグジュアリーなアイテムを日常的に使うと、意識と行動が変わるので、気持ちが引き締まって仕事のパフォーマンスも上がっていきます。

――鈴木さんにとって、ラグジュアリーはどのような意味を持つのでしょうか?

鈴木:年齢を重ねるにつれて、私自身のラグジュアリーへの捉え方は変わってきたように思います。

20代のころは、高級なアイテムを買ったりリッチなエステを受けたりすることは、自分のステータスや気分を上げてくれるものといった、表面的な意味合いとして捉えている面がありました。

30代に入ると、職人の技術力の高さやコスメの成分へのこだわりなど、クオリティや内面的な要素に関心が移りました。この気持ちの変化によって、ラグジュアリーとは各ブランドの世界観をもとにつくられていて、これまでの歴史やノウハウの積み重ねがあるからこそ、本当の意味での質の高さがあることがわかりました。

また最近では、本物のラグジュアリーとは自然との融合であるとも感じています。人間の手によって自然本来の魅力がより引き出されることや、ありのままの美しさに改めて気づける感性を育むことが重要だという意味です。特に近年は、サステナブルファッションやオーガニックコスメなど、自然とつながるようなブランドが増えています。そういったアイテムに触れて、そのブランドの哲学を知ることが、本物を知ることなのではないか、と考えています。

プロの力も借りつつ、自分自身の心と体に向き合うことがラグジュアリーの始まり

――「ラグジュアリーファッション」や「ラグジュアリービューティー」を取り入れたい方は、まず何から意識すればよいでしょうか?

鈴木:最初のうちは、外見と内面のどちらもプロの力を借りると、自分に合ったものを見つけられると思います。

外見に関しては、デパートのコスメカウンターでのタッチアップや、スパのエステなどを利用する方法があります。内面なら、専門家の指導やカウンセリングを受けてみるのはいかがでしょうか。外見と内面が充実すれば、より品質の高いもの、より自分にとっての美しいものに自然と近づけると思います。

外見のお手入れは基本的にシンプルに考えてもいいと思います。たとえば、顔は気温や紫外線など外的要因の影響を受けやすいので、ちょっと良いクリームを丁寧に塗って優しくマッサージするだけでも少しずつ変わっていきます。日々の生活のなかで、自分を労わってリラックスする時間やその時間への投資が、少しずつ自分を高めてくれます。

内面のケアにおいては、身体の内側はもちろん、心にも目を向けたいですね。外から見えないものだからこそ人に気づいてもらいにくく、余裕がなくなると自分自身ですら見過ごしてしまいます。そんな心の不調が表に現れるまでになってしまうと手遅れになる場合もあります。前もって自身をメンテナンスする時間を確保していただきたいです。

私の場合は感受性が強いほうなので、クリエイティブな面では感性の鋭さが役立つのですが、感情が人一倍揺らぎやすくもあります。心をケアする時間を先取りしておかないと、感情が乱れてしまうことも少なくありません。

感情の揺らぎをケアする方法としては、朝起きてから少なくとも30分~1時間程度は自分のための時間をつくって過ごし、それから仕事に取り掛かるようにしています。また、「今日、何したい?」と心に問いかけて、自分自身と向き合ってから行動に移すこともあります。試行錯誤して、自分の気持ちや感情がポジティブになれるルーティンを見つけることも大切かもしれませんね。


ラグジュアリーが好きという気持ちを、とにかく自然体で楽しんでみる

ポートレート撮影:©Keiichi Kaneko

今回は、創造力と審美眼の磨き方や、ラグジュアリーなファッションやビューティーの取り入れ方を、クリエイティブディレクター/起業家の鈴木万梨子さんに伺いました。

ラグジュアリーを日々の生活に取り入れるには、外見と内面の両方においてご自身を労わることが重要です。これからラグジュアリーに足を踏み入れる方は、まずは美しいものにたくさん触れ、ご自身に合ったファッションやコスメを見極める審美眼を磨くほか、自分の心を見つめる時間を確保してみてはいかがでしょうか。

そして直感を大切にし、「好き」という感情に素直になってみることも、自分本来の美しさを見出すために必要なのかもしれません。

こちらの記事もぜひご覧ください。
「好きを追求することが、自分らしいラグジュアリーを見つけるきっかけになる」鈴木万梨子さんに聞く、人生の彩り方【後編(全2回)】

(取材・文:吉原緑子)



profile

鈴木万梨子(すずき まりこ)

ポートレート撮影:©Keiichi Kaneko

鈴木 万梨子(すずき まりこ)

株式会社きんゆう女子 代表取締役。新卒で大手旅行会社に入社し、法人営業としてオーダーメイドの旅行プランの企画・手配・添乗を担当。その後、起業を目指し、Fintechベンチャーに転職。金融業界に従事したことで、お金の大切さを感じ、金融のワカラナイを解決するコミュニティ「きんゆう女子。」を立ち上げる。2016年に起業したあとは、金融リテラシー向上のために活動しながら、金融機関や上場企業の女性向けのPR・IRなどを支援。また、クリエイティブディレクターとして、日本とフランスの二拠点生活を送りながら、創作活動も楽しんでいる。

公式Webサイト:
https://kinyu-joshi.jp/
Instagram:
https://www.instagram.com/mariko0913/

※掲載している情報は、記事公開時点のものです。
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