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「好きを追求することが、自分らしいラグジュアリーを見つけるきっかけになる」鈴木万梨子さんに聞く、人生の彩り方【後編(全2回)】

政府が推進する働き方改革や、働く人の意識の変化など、さまざまな要因によって、国内の働き方は多様化しています。
「フルリモートで勤務したい」「旅しながら働きたい」「起業したい」といった、理想のキャリアを思い描いている方もいらっしゃるのではないでしょうか?

政府が推進する働き方改革や、働く人の意識の変化など、さまざまな要因によって、国内の働き方は多様化しています。
「フルリモートで勤務したい」「旅しながら働きたい」「起業したい」といった、理想のキャリアを思い描いている方もいらっしゃるのではないでしょうか?

今回は、株式会社きんゆう女子代表取締役を務めながら、日本とフランスの二拠点生活を叶えた、鈴木万梨子さんへのインタビューの後編をお届けします。
ご自身のライフスタイルに合わせて仕事と生活のどちらも充実させたい方は、ぜひご一読ください。

「好き」という気持ちを大切にした行動が、輝ける場所に導いてくれる

――鈴木さんはクリエイティブディレクター/起業家として活躍されていますが、現在のライフスタイルに至るまでの道のりを教えてください。

鈴木さん(以下、鈴木):日本とフランスを行き来する現在のライフスタイルに落ち着いたのは、ここ1年半ほどです。

これまでの人生を振り返ると、幼少期からアートが好きで、クラス全員の似顔絵を休み時間に描くような子どもでした。西洋美術の画集を眺めたときの、「ヨーロッパの文化って素敵だな」という憧れから、「フランス語を勉強して、フランスにいつか行ってみたい!」と思うようになりました。今考えると、幼少期の影響は大きいなと感じています。

フランス語の前にまず学んだのが英語です。中学校の英語の授業が楽しくて、海外により目を向けるようになりました。そして中学生と高校生のときの留学で挑戦したホームステイが、海外に長期滞在するきっかけとなりました。

――たしかに、幼少期や思春期のころの経験は、気づかないうちに将来に影響を与えていることがありますよね。高校生以降はどのような人生を歩まれてきたのでしょうか?


鈴木:高校と大学でフランス語と英語の授業を選択し、語学の習得に励んでいました。その際、フランスに関わるうえで大きな転機となったのが、大学を休学してフランスに1年間留学したことです。留学中は日本語教師アシスタントとして、日本語はもちろん、漫画や折り紙、習字などの日本文化をフランスの高校で教えていました。そして、この経験が将来フランスで生活するうえで重要な基盤になりました。当時教えた学生が大人になった今では、とても大切な友人として、渡仏時にサポートしてくれます。

大学卒業後は旅行会社に入社しました。フランス留学中にヨーロッパを巡る機会があり、旅行に携わる仕事に就きたいと思ったからです。当時は旅行業界にとても活気があり、女性が活躍しているイメージがあったので、「自立した女性に近づきたい」とも考えました。

そして、30代に近づくにつれて、お金に対する漠然とした不安や、金融リテラシーの大切さを感じるようになりました。そのことが旅行から金融へと、異なる業界への転身を決めた理由です。また、旅行会社では法人営業として会社経営者の方と接する機会が多くありました。「自分の軸となるビジョンを大切にしたうえで、お客様も社員も幸せにして、社会に貢献する」という経営者の考え方に感銘を受けて、30歳のときに起業しました。

起業したばかりのころは会社経営に関して手探りだった部分もあり、多くの壁にぶつかりました。それでも最終的な判断を自分の「好き」を軸に合わせつづけた結果、「今の私が輝ける場所に巡り会えたのかもしれない」と思っています。

――起業家を目指されたきっかけを教えてください。

鈴木:会社経営者の方々にお会いしたときに率直にかっこいいなと感じて、「私もこんなふうに仕事したい」と思ったことが、起業家を志したきっかけです。

本格的に起業するにあたっては、周囲の経営者の方からいただいた言葉にヒントが隠されていました。「まずはやってみてから、次のステップを考えたらいいんじゃない?」「思っているよりも簡単にできることもあるよ」といった言葉は道筋を示してくれました。その言葉をいただいて素直に行動してみた結果が、今につながっています。

起業と聞くと、とてもハードルが高い行動に思われるかもしれません。ただ、どのような人でも「自分の好きなことや得意なことで幸せになりたい」という希望は持っているのではないでしょうか。それを自分自身で実現するために、何らかのかたちで輝かせることができれば、"起業できた"と言えると私は思います。これから起業を目指す方にはもちろん、働くすべての方には「やってみたいと思ったことに素直になって、まずは行動してみてほしい」と伝えたいです。

――フランスへの留学や旅行会社での法人営業など、これまでのご経験を糧に挑戦を続けていらっしゃるのですね。現在のライフスタイルを実現できたのは、なぜだと思われますか?


鈴木:自分の「好き」や「心地良い」という気持ちを、一番大切にしてきたからだと思います。

旅行会社に勤めていた20代の頃の私は、「いつかは二拠点生活を送ってみたいけど、夢のようで無理だろうな......」と思っているだけでした。それでも「どうしても、理想のライフスタイルを叶えたい!」と決意して、何をすれば実現できるのかを考えました。できることから少しずつ行動を積み重ねていった結果が、現在のライフスタイルを見つけ出せた理由だと思っています。

また、拠点の一つにフランスを選んだのは、アートや歴史、フランス人の生き方などに強く惹かれたからです。振り返ってみると、パリの美術館に足を運んだ際に「作品の説明書きを、フランス語で理解できるようになりたい!」と思ったことが大きなきっかけとなり、フランス語の本格的な勉強を始めました。私は学生時代に美術部に所属していたり、今も時間を見つけてはイラストを描いたりするほど、今も昔もアートが好きなので、芸術の国であるフランスにたどり着いたのは必然だったのかもしれません。

日本のラグジュアリーは「引き算」、フランスのラグジュアリーは「足し算」で作られている

――日本とフランスを行き来するなかで、フランスの文化や考え方に何を感じましたか。


鈴木:フランスは美しいものに触れる機会に恵まれていて、文化の豊かな歴史ある国です。そしてそれが、世界的なラグジュアリーブランドを生み出す環境につながっていると感じています。

美術館はもちろん、自宅に絵画や彫刻などを飾っているフランス人も多く、日常的に芸術を楽しむ機会があります。また、フランスでは歴史があるものをより大切にする風潮があるので、古い建物のほうが価値が高いと考えられています。これによって歴史あるパリの街の景観が守られており、街を散策するだけでも古き良き美しさに出会うことができるのだと思います。ビンテージのバッグやジュエリーに価値があるとされるのも、この考え方ゆえにです。

驚いたのが、「女性の身体はアートだから、大切にしてね」とフランス人の男性に言われたことです。男性がごく当たり前のことのように、女性の身体が作り出す曲線美を「アート」と表現できるのは、豊かな感性が育つ土地柄だからなのかなと思いました。日常に芸術が溶け込んでいる環境や、それによって生まれた考え方が、ラグジュアリーな価値観に紐づいているのではないかと考えています。

――日本のラグジュアリーとフランスのラグジュアリーについて、近年の変化をどのように思われますか?

鈴木:最近の変化としては、双方ともに相手のラグジュアリーに対するリスペクトの気持ちが増している気がしています。

日本のラグジュアリーは「引き算」である一方で、フランスのラグジュアリーは「足し算」だと思っています。一例を挙げるなら、京都の竜安寺のように、石と砂で表現された枯山水のわびさびを重んじる日本と、パリのオペラ座のように、シャンデリアや天井に描かれた絵画など、豪華絢爛なフランスといったイメージです。

ラグジュアリーの概念が対照的なので、日本的なデザインやラグジュアリーに関心を寄せるフランス人が増えていると感じています。フランスのアーティストやアンティークの雑貨を販売している方から、そういった話をよく耳にします。

逆に、フランスのラグジュアリーに憧れる日本人も多いと思います。一例として挙げられるのは、バカンスを4週間とるような過ごし方です。このような時間の使い方は日本ではまだそれほど浸透していません。休暇をしっかりと確保するためには日常に余裕が必要なので、フランスにはラグジュアリーな環境が整っていると考えています。日本人がフランスの時間の使い方に憧れるのは、当然のことかもしれません。

日本とフランス間を旅行する方も多く、SNSをはじめ情報共有できる手段も増えています。今後も2か国のラグジュアリーな文化の良いところを、お互いに取り入れられる世の中になっていくことが理想です。

ミニコラム:jg×スイス・パーフェクションの合同イベント「The BEAUTY BLUE Salon」

2023年12月に、"ジュエリーのように輝く極上の肌作り"をコンセプトとして掲げた、特別なイベント「The BEAUTY BLUE Salon」が行われました。

南青山のハイ・ジュエリーブランド「jg(ジェイジー)」と、スイスで誕生した高級スキンケアブランド「スイス・パーフェクション」の合同イベントです。jgのデザイナー兼創業者の永松麗子さんと、MC*、スイス・パーフェクションのブランドマネージャーがスキンケアの"今"についてトークを展開し、jgの輝かしいジュエリーに囲まれた空間で濃密な時間をプロデュースしました。

*MC:ミヤビブランドコミュニケーションズ代表 田中雅之さん

――鈴木さんは、「The BEAUTY BLUE Salon」に参加されたそうですが、ご感想を教えていただけますか?

鈴木:ジュエリーと化粧品、それぞれのブランドの世界観を楽しめる、素晴らしいイベントだと思いました。会場の空間はもちろんのこと、輝かしいjgのジュエリーを身につける機会が設けられていたり、スイス・パーフェクションのアイテムを使用したリッチなハンドマッサージを受けさせていただいたり、心身ともに満たされました。

また、参加者同士でコミュニケーションを取れる時間があったので、「ブランドだけではなく人とのつながりを大切にするイベントだな」とも感じました。美しいものや美しい方々に出会うと、やはり幸せな気持ちになります。

スイス・パーフェクション SWISS PERFECTION | 日本公式サイト

jg(ジェイジー) | 公式サイト

挑戦したい気持ちが芽生えたら、まずは第一歩を踏み出してみる

――プチプラが流行しているなか、ラグジュアリー市場の将来性については、起業家としてどのようにお考えでしょうか?

鈴木:プチプラの流行が続いても、ラグジュアリー市場がなくなることはないと考えています。むしろ、ラグジュアリーの価値を重視する、精神的に豊かな方が増えるのではないかと思います。

精神的に豊かになり感性が育ってくると、ラグジュアリーの質の高さが本当の意味で理解できるようになるので、「値段で決めるのではなく、自分がほしいと思ったから買う」という価値観が生まれてくるはずです。「好き」という気持ちに準じて、身の回りのアイテムを選んでいくことをおすすめします。

――最後に、鈴木さんの今後の展望を教えてください。

鈴木:起業家として、これまでの経験や、いただいたチャンスをもとに、社会や周囲の方へ前向きな影響を与えていきたいです。

特に、「私も起業したい」と思える女性が、増えていくと嬉しく思います。あと数年を目安に、独立を希望する女性への事業承継や事業への出資というかたちで応援するなど、私にできるサポートを最大限行いたいと考えています。

また、個人としては、絵画や彫刻などアートの道を極めてクリエイティブな道にもっと進みたいと思っています。その準備として、絵本のコンテストに応募しているほか、いつか個展を開催できるように、創作活動に取り組んでいます。

私の事業をきっかけに、多くの女性たちがより自分らしく輝ける場所に出会える、そんな環境や体制を整えていきたいです。

素直に行動しつづけることが、理想のライフスタイルを叶える

前編に引き続き、ラグジュアリーにも焦点を当てながら、企業するまでの道のりや日本とフランスの違いについて、鈴木万梨子さんにお話しいただきました。

自分らしく輝ける場所にたどり着くには、「好き」を軸としながら行動を積み重ねていくことが大切です。理想のライフスタイルを思い描いている方は、できることから少しずつ挑戦してみましょう。

一つひとつ努力を重ねていけば、好きなことや得意なことで輝ける自分に、きっと出会えるはずです。

こちらの記事もぜひご覧ください。
「好きを追求することが、自分らしいラグジュアリーを見つけるきっかけになる」鈴木万梨子さんに聞く、人生の彩り方【前編(全2回)】

(取材・文:吉原緑子)



profile

鈴木万梨子(すずき まりこ)

ポートレート撮影:©Keiichi Kaneko

鈴木 万梨子(すずき まりこ)

株式会社きんゆう女子 代表取締役。新卒で大手旅行会社に入社し、法人営業としてオーダーメイドの旅行プランの企画・手配・添乗を担当。その後、起業を目指し、Fintechベンチャーに転職。金融業界に従事したことで、お金の大切さを感じ、金融のワカラナイを解決するコミュニティ「きんゆう女子。」を立ち上げる。2016年に起業したあとは、金融リテラシー向上のために活動しながら、金融機関や上場企業の女性向けのPR・IRなどを支援。また、クリエイティブディレクターとして、日本とフランスの二拠点生活を送りながら、創作活動も楽しんでいる。

公式Webサイト:
https://kinyu-joshi.jp/
Instagram:
https://www.instagram.com/mariko0913/

※掲載している情報は、記事公開時点のものです。
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