「体の中は一人ひとり違う」イラストレーター・たかはしみきさんが、早発閉経の診断を受けて気付いたこと

輝く人

2018年6月に、コミックエッセイ「わたし、39歳で「閉経」っていわれました」(主婦と生活社)を出版した、たかはしみきさん。そのタイトルどおり、40歳を目前に「早発閉経かもしれない」と医師から告げられ、自身の卵巣と向き合う日々を送ってきたといいます。

日本人の平均閉経年齢は約50歳。10年も早い閉経の疑惑に、たかはしさんも当初は戸惑いを隠しきれなかったそう。たかはしさんが卵巣を元気にするために実践してきたことや、これから閉経を迎える世代に伝えたいメッセージについてお聞きしました。

心の拠り所ができ、不安が軽減された

――たかはしさんは、不妊治療のために通っていたクリニックで、検査の結果「卵巣が弱っている」「早発閉経かもしれない」と告げられたそうですね。どのような心境でしたか?

たかはしみきさん(以下、たかはし):最初は「信じないぞ」「私は違う」と、頭の中で一生懸命否定をしていましたね。お医者さんから「ストレスもあるかもしれない」と言われたので、その言葉をいいほうに解釈して「そうか、きっと何か潜在的なストレスがあるんだ」と自分に言い聞かせていました。それさえ取り除けば、何とかなると思いたかったんです。

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――検査結果を聞いてから、専門のクリニックに行くまでの時期が、一番不安が大きかった?

たかはし:そうですね。早発閉経の情報って、すごく少ないんですよ。インターネットで検索しても、情報が古かったり、名医といわれる先生の名前もほぼ出つくして、同じような情報しかなかったり...。実際に早発閉経の治療を受けている人のブログは情報源として助かりましたが、ネガティブな気持ちをつづった記事も多くて、「私もそのうち...」と考えると精神的に苦しかったです。


――それでも早発閉経専門クリニックで治療を受けることにしたのは、どのような気持ちからでしょうか?

たかはし:何もせずに後悔したくないと思い、最後の賭けとして飛び込む感じでした。情報の少なさが不安の一因だったので、卵巣を専門に研究している先生に診てもらえるという安心感は大きかったですね。心の拠り所ができ、「自分の状態を受け入れて、正面から向き合おう」という気持ちに変わっていったんです。

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昔から「冷えは良くない」といわれているのには意味がある

――卵巣が弱っているという兆候は、診断を受ける前からあったのでしょうか。

たかはし:まったくありませんでした。婦人科の病気にかかったことも、ひどい風邪を引いたこともなかったので、むしろ健康には自信があったんです。「生理が不順ぎみだな」とは思っていましたが、健康に対して変に自信があったので、「生活を整えれば治るでしょ」と、特に気にしていませんでしたね。


――診断を受けて以降、生活習慣や体調管理に対する意識は変わりましたか?

たかはし:卵巣を元気にするために、日常的に何をすればいいか専門クリニックの先生に聞いたところ「血流を良くすると卵巣の動きも良くなる」と言われました。女性にとって、「血のめぐりが悪くなる冷えは大敵」といわれるのは、そういう理由なんだと腑に落ちましたね。昔からいわれていることには、ちゃんと意味があるんですよ。それからは「ストレスにならない程度の運動」と「血流を良くすること」を意識するようになりました。

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――著書の中でも、血流を良くするためのさまざまなアプローチが紹介されていましたね。

たかはし:姿勢を整えたり、冷え性対策をしたり、さまざまなアプローチをしました。運動をまったくしない生活をしていたので、モチベーションを上げるためにルームランナーを買おうか悩んでいたんですが...夫から「絶対1ヵ月後には洗濯物がかかってるよ」と言われたので、踏みとどまりました(笑)。

私が実践した中でおすすめなのは、かかと上げ下げ運動です。その場でかかとを上げ下げするだけなので手軽ですし、仕事中などは座りながらでもできます。この運動を始めてから筋力がつき、冷え性がだいぶ改善されましたね。

私は、小学生のころから冷えに悩まされてきて、冬場は足先が氷のように冷たくなってしまい、湯たんぽがなければ眠れなかったんです。でも、かかとの上げ下げ運動のおかげで、今年の1~2月は湯たんぽなしで過ごすことができました。体の変化を実感できるとうれしくなり、モチベーションも上がりますね。

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親子でも、体の中は一人ひとり違う

――著書の中で「30代では100人に1人の割合で早発閉経が起きている」というデータが紹介されていました。ILACY読者の中にも、「もしかして早発閉経?」と不安を抱えている女性がいるかもしれません。早く気付くにはどうすればいいでしょうか?

たかはし:卵巣は自覚症状が出にくく、何かトラブルがあっても気付きにくい臓器といわれています。その卵巣が、一番わかりやすくサインを出せるのが生理なんですよね。私は「生理不順」という体からのサインを見逃していましたが、生理の始まりと終わりをスケジュール帳にマークするだけでも「普段とちょっと違うかも...」と気付くきっかけになると思います。

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――これから更年期・閉経を迎える女性に伝えたいことはありますか?

たかはし:同世代の友人や芸能人が、高齢で妊娠・出産したという話を聞くと、自分の卵巣もまだまだ元気なのではないかと考えてしまいがちです。私も「早発閉経になりかけ」と診断されるまではそうでした。でもそれは、高齢妊娠・出産をした人の卵巣がたまたま元気だっただけ。「体の中は一人ひとり違うんだよ」ということを伝えたくて、「わたし、39歳で『閉経』っていわれました」を書いたんです。

たとえ血のつながった母娘でも、体質はそれぞれ異なります。自分は生理が順調でも、お子さんはそうではないかもしれません。娘を持つお母さんは、何かトラブルが起きたときにすぐフォローしてあげられるように、生理や卵巣に関する知識をしっかり持てるといいですよね。


――早発閉経の当事者になってから、苦しい思いをしたことも多かったと思います。著書の中ではそうした思いも隠さずつづられていて、ぜひ多くの女性に読んでほしいと感じました。そうした時期を乗り越えた今、たかはしさんが毎日の時間の中で大切にしていることを、最後に教えてください。

たかはし:夕食時に、息子と「一日お疲れ様」と乾杯をすることです。息子は未成年なので、水で乾杯するのですが(笑)。最近、息子がお酌をしてくれるようになったんです。大人になっていっしょに飲めるようになるまで、まだまだ元気でいなきゃいけないなと思いますね。

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<プロフィール>

たかはしみき(たかはし・みき)

1975年、千葉県生まれ。イラストレーター/キャラクターデザイナー。多摩美術大学卒業後、サンエックス株式会社に入社。「こげぱん」「あまぐりちゃん」などのキャラクター原案をはじめ、ステーショナリーデザインや絵本の制作を手掛ける。2002年からフリーランスで活動中。著書に「わたし、39歳で『閉経』っていわれました」「ニンプ道」「カアチャン本舗」(主婦と生活社)など。

ilacy_3.jpg 『わたし、39歳で「閉経」っていわれました』
著:たかはしみき 定価:1100円+税
http://www.shufu.co.jp/books/detail/978-4-391-15201-2
コミックサイト「パチクリ!」にて立ち読み公開中
http://pachikuri.jp/39hk/


(取材・文:内島美佳/写真:垂水佳菜)

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