伝わりにくいことをより楽しく、おもしろく伝えたい!「ソイチェック」を広める高実子実奈子さんの挑戦

輝く人

大豆イソフラボンを基に体内で作られる成分「エクオール」を測定する、郵送検査キット「ソイチェック」を開発・販売している株式会社ヘルスケアシステムズ。そこで広報を担当している高実子実奈子(たかじつこ みなこ)さんは、「ソイチェック」が発売された翌年の2013年に同社に入社して以来、その普及に携わってきました。

「ソイチェック」

今でこそ研究の場に最も近い場所で働く彼女ですが、元々は文系出身。それまでと、まったくといっていいほど異なる職場に身を置く中で、高実子さんが自分らしく働くために心掛けていることについて伺いました。

なんだかおもしろそうなことをしている会社。その感覚を大切にした

――高実子さんは、元々健康や体のことに興味をお持ちだったのでしょうか?

高実子実奈子さん(以下、高実子):実は、今の会社に入る前は、こういった理系の分野には縁遠くて、博物館や歴史資料館で広報と企画を担当するなど、どちらかというと文系の仕事をしていたんです。前職を妊娠・出産を機に退職しまして、再就職というときに出合ったのが、このヘルスケアシステムズでした。

――こちらの会社で働くことにした決め手は何だったのでしょうか?

高実子:一番大きかったのは、やはり子供のことでした。自宅から通いやすい、保育園の送り迎えがしやすいなど、自分の理想のワークライフバランスがこの会社の働き方とマッチしたんです。一方で、わかりにくいものをわかりやすい形で多くの人に伝えるという、前職で担当していた広報の仕事に通じる部分があるなという風にも考えました。

弊社が研究開発を行っている、予防領域や機能性食品分野の専門ではない自分だからこそ、伝えられることがあるんじゃないかと。実は、採用面接の場で代表から業務内容の説明を聞いたときも、半分くらいは何をしている会社なのか理解できなかったというのが正直なところなんです(笑)。

ただ、なんだかおもしろそうなことをしている会社だな、という思いはあって。その自分の感覚を大切にして、就職することに決めました。

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――高実子さんがヘルスケアシステムズに入社されたのが2013年。「ソイチェック」はその前年に誕生していましたが、高実子さんご自身は当時、体のこと、健康のことにどのくらい興味を持っていましたか?

高実子:大豆イソフラボンという言葉自体は知っていましたが、それが体の中でどういう働きをするのかまでは知りませんでした。ましてや、エクオールなんてもちろん知らず...というような状態。ただ、子供を持ったことで、子供の体にとっていい物やいいことについて意識するようにはなっていましたが、自分自身に対しては無頓着でしたね。

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――そういう意味では、仕事も一から勉強するというか...。

高実子:まさにそうでした。当時はまだパートタイムの勤務でしたが、毎日毎日、自分が知らないことを知っていくような感じで、自分自身の意識が高まっていくのを実感しながら働いていました。弊社は元々、名古屋大学の研究室から出発している会社ですが、研究の場ではスタンダードなことも、一般の人たちまでは浸透していないことが多いんです。

なので、自分が研究の現場に近いところにいることで、正しい情報をもっと楽しく、もっとわかりやすく伝えられたらなぁという気持ちが日に日に大きくなっていきましたし、その思いは今も変わりません。

自分の体を知ることの大切さをアナウンスする

――「ソイチェック」は、今でこそ年間何万人もの方が利用するようになったそうですが、その普及においてはご苦労も多かったのではないでしょうか?

高実子:そうですね。まず、検査をやっていただく前に、いくつかのハードルを越えなければいけないという課題がありました。「この検査で何がわかるの?」から始まって、エクオールが測定できますといっても、「じゃあ、エクオールって何?」となりますし、そのエクオールについても、大豆イソフラボンから腸内細菌によって生成されるもので、日本人の2人に1人しか作れない...など、どうしても説明が長くなってしまうんです。

そのため、一般の方はもとより、メーカー様やメディアの方にも、すんなりとご納得いただくのが難しいという状況でした。

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エクオール検査キット「ソイチェック」。キットを取り寄せ、専用の容器に自身の尿を採って郵送するだけでOKな手軽な物。多くの医療機関や健診施設などで採用されているので、安心ですね。

――普段から多くの情報にふれる機会が多いメーカーやメディア側もそういう状況なのであれば、一般の方に対してはもっと難しそうですね。

高実子:おっしゃるとおりです。特に私が入社して数年のあいだは、「ソイチェック」がまだそれほど一般的ではなく、利用される方も婦人科の先生にすすめられて検査を受けることにしたという、すでに症状にお悩みの方がほとんどでした。

なので、弊社にお問い合わせいただく内容も、「エクオールが作れないという結果が出たけど、どうすればいいのか」など、改善策を求めている方が多くいらっしゃったんです。そうしたお客様の切実な声が、「ソイチェック」を広げるための大きなヒントになりました。

――といいますと?

高実子:この「ソイチェック」という検査が持つ意味は、「今の体の状態を知ること」なんです。この検査をしたことで症状が直接解決できるかといえば、残念ながらそうではありません。もちろん、検査の結果から、例えば必要なサプリメントをとったり、あるいはお医者様に診てもらったりといった解決法につながるものではあるのですが、それを弊社がお客様に対して直接することはできません。

なので、私たちが打ち出すメッセージとしても、ただ「検査を受けましょう」というのではなく、「自分の体を知ることの大切さ」や「体を知ることによって生活習慣を見直す目安になります」といったアナウンスに、徐々に転向していきました。特にここ数年は、世の中的にも予防の意識が高まっているので、そういう点でも時代にマッチしてきたかなと思いますね。

――それは、「ソイチェック」の利用者が2013年は200人程度だったのが、2017年には10万人を突破と、実際の数字にも表れていますね。

高実子:そうなんです。最新のデータでは、2018年末で22万人の方が受けてくださっています。

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子供には楽しく仕事をしている姿を見せたい

――ご自身の仕事において、ターニングポイントといえる出来事はありますか?

高実子:仕事と直結することではないかもしれませんが、入社して3年が経ったときに第2子を妊娠したんです。そのときには、パートタイムから社員に変わっていたんですけれども、実は当時、社員が産休・育休を取得するのは弊社では初めてのケースでした。

そのケーススタディのような形で、復帰後のことも含めて、社長やほかの社員と話をしながらスムーズに取得できたのは良かったなと思っています。また、個人的にも、この会社に入社してからの6年のあいだに、女性のワークライフバランスの理想的な形を作ることができた感覚があって、そういった経験が復帰後の仕事に活きてきているように思いますね。

――それは、具体的にはどういったことでしょうか。

高実子:「ソイチェック」は老若男女、誰にでも受けていただける検査ですが、弊社としては若い方にも積極的に受けていただきたいと考えているんです。なので、例えば小学生のお子さんとお母様との親子料理教室を企画したり、女子校の生徒さんに「ソイチェック」を受けてもらいつつ、女性ホルモンについての講座を開いたりなど、健康支援事業にも力を入れています。

――まさに女性目線であり、母目線ですね。

高実子:そうですね。私自身がそうだったのですが、やはり若いときって女性ホルモンの大切さを知らなかったり、ありがたみを実感する機会もあまりなかったりするじゃないですか。実際、「ソイチェック」を受けてくださる方の中にも、更年期が視野に入ってくる年齢になって初めて気付いたとおっしゃる方が多いんです。なので、若いときから女性ホルモンについての気付きを得てもらうことが大切だなというのは強く感じています。

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――高実子さんがこの会社に入社したのは、元々は子育てとの両立を考えてとのことでしたが、理想のワークライフバランスを叶えて得られたメリットはどんなことですか?

高実子:子供には楽しく仕事をしている姿を見せたいと思っているんですけど、そういったところはできているかなと思います。また、商品についてわかりやすく伝えたいという点では、子供たちも巻き込んでいます(笑)。

というのも、親子料理教室を開く際には、事前にレクチャーする内容を子供たちに説明してみて、どこがわかりにくかったかを聞いて参考にしているんです。なので、子供たちも納豆を見て、「これは大豆だよね?」とか、日常の中で大豆製品を意識するようになっています(笑)。

――では最後に、仕事に家庭に邁進されている高実子さんが、「自分を愛しむ」ために大切していることはありますか?

高実子:実は私、趣味でラクロスの審判をやっているんです。その時間というのは、もちろん運動不足を解消するという意味もありますけど、それ以上に、仕事や家事をする上で考える力がついたり、チームワークの大切さ、さらにはルールをわかりやすく伝えられたりするなど、今の私につながる要素がいっぱいあって。もう20年くらい続けていることでもあるので、自分にとってはとても大切な時間です。

<プロフィール>
高実子実奈子(たかじつこ・みなこ)

1979年新潟県生まれ。東京都在住。大学では歴史を専攻し、地学教材会社の営業事務を経て、資料館の広報・企画に従事。2013年に株式会社ヘルスケアシステムズに入社。広報として「ソイチェック」などの郵送検査のPRを担当するほか、若年層や親子への健康支援活動も行う。自身が関わった、10代への正しい食事の知識と健康リテラシー向上の取り組みが、「第7回健康寿命をのばそう!アワード」にて「厚生労働省子ども家庭局長賞」を受賞。2児の母。

(取材・文:片貝久美子/写真:垂水佳菜)

※掲載している情報は、記事公開時点のものです。

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