お酒が弱くなった...!?更年期世代とお酒の上手な付き合い方

withドクターズ

飲めるお酒の量が減り、お酒が抜けるスピードも遅くなった...と感じる人が多くなる更年期。残念ながら、年齢とともにお酒が弱くなっていくのは事実です。いつまでもお酒をおいしく楽しみたいなら、年齢に合った付き合い方を知ることが大切になってきます。

そこで今回は、加齢によってお酒が弱くなるメカニズムや、更年期世代のお酒との付き合い方について、東京ミッドタウンクリニックの消化器内科医師、古川真依子先生に教えていただきました。

体の機能が低下すると、お酒の許容量も落ちる

――お酒の許容量は、やはり年齢とともに減るものですか?

そうですね。年齢を重ねると体のさまざまな機能が低下していきますから、誰でも若い頃より飲めなくなっていくはずです。

「以前と同じ量を、同じペースで飲むと翌日までお酒が残る」「そもそも、深酒するほど飲めなくなった」と感じるのは、当然のことなんですよ。

――具体的には、どういった機能の低下が影響するのでしょう。

肝機能、腎機能のほか、体内の水分量の低下が影響します。女性の場合は女性ホルモンの減少も、お酒の許容量が減る原因のひとつですね。

・肝機能の低下

肝臓は、代謝や解毒を司る臓器。胃や腸で消化された栄養分を利用しやすくして各器官へ送り出したり、アルコールや栄養素を代謝したときに出る有害物質を分解・排出したりして休みなく働いています。

そのため、長年飲酒を続けることによって肝臓は少しずつ疲弊し、アルコールを分解する能力が落ちていきます

・腎機能の低下

アルコールを濃縮して尿として排出する腎臓の機能も、肝機能と同じように年齢とともに低下していくもの。排出できなかったアルコールは体内に長く残り、血中のアルコール濃度を上げる原因になります

・水分量の低下

アルコールを分解するには水分が必要ですが、体内の水分量は年齢を重ねるにつれて減っていくため、分解が追い付かずに血中アルコール濃度が高くなります

若い頃よりも、お酒を飲んでいるときのトイレ回数が減ってきたな...と感じたら、水分不足のサインかも。

・女性ホルモンの減少

そもそも、女性ホルモンのエストロゲンにはアルコールの代謝を抑制する作用があるため、女性は男性よりお酒に弱い傾向があります。一説に、エストロゲンの分泌が止まる閉経後はお酒に強くなる女性が多いといわれるのは、このためでしょう。

一方で、エストロゲンには肝臓を守る作用もあります。更年期に入ってエストロゲンの分泌が減少すると、肝臓の負担は増大し、分解能力の低下につながります

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週に2日、休肝日を作ることができたら◎

――お酒に弱くなったと感じたら、何かアクションを起こしたほうがいいですか?

まずは検診を受け、肝臓や腎臓に過度な負担がかかっていないか、思わぬ病気が隠れていないか、しっかり検査してもらってください。クリニックなどで、おなか周りのエコーや採血をしてもいいですね。

お酒への耐性がなくなったことをきっかけに検査して、判明することがある疾患はいくつかあります。

・慢性肝炎

6ヵ月以上にわたって肝臓に慢性的な炎症が生じ、肝臓の主な働きを担う肝細胞が壊れ続ける慢性肝炎。B型肝炎、C型肝炎が代表的な原因ですが、原因不明の場合もあります。

・自己免疫性肝炎

自己免疫性肝炎は、体内にある免疫が自分自身の肝細胞を異物と見なして攻撃し、破壊してしまう病気です。放っておくとゆっくり進行し、肝硬変に至ることも。

・膵炎

急性と慢性があり、みぞおちや背中の痛みが特徴の膵炎。いずれも原因として多いのは、アルコールの大量摂取と長期にわたる大量飲酒とされています。

検査の結果、特に問題になる疾患がなければ、お酒との付き合い方を変えるタイミング。

年齢に合ったスタイルに変えていきましょう。

――年齢に合ったスタイルとは、どういうものでしょうか?

次の日に残ってしまうほどの過度な飲酒は避け、今の自分に合った酒量を探りましょう。

適度な飲酒で心血管の疾患リスクが減るといわれているように、心身にメリットもあることがわかっています。そのため、"適量"を守って飲みすぎないことが肝心ですね。

――休肝日もあったほうがいいのですよね。

そうですね。休肝日を挟んで、肝臓をいたわってあげることは大切です。1日でもアルコールが抜ければ、肝臓も少しほっとするかもしれません(笑)。

毎日の晩酌が楽しみだという患者さんには、ストレスを溜めずに肝臓を休めていただけるよう、「週に2日休めたら立派」とお伝えしています。

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飲み方を一工夫して、お酒と良い付き合いを

――体の負担をできるだけ軽減しながら、楽しく飲む方法があれば教えてください。

心掛けていただくと良いことが3つあります。


寝る直前は飲まない

まず、晩酌をするなら、寝る直前までだらだら飲むのは避けましょう。寝酒をすると寝つきが良くなるように感じる人がいるかもしれませんが、実際には眠りが浅くなり、睡眠の質は低下します。

できればメリハリをつけて、食事といっしょに飲むようにするといいですね。


水やお茶といっしょに飲む

また、アルコールの代謝を促し、肝臓と腎臓の負担を少しでも軽減するために、お酒を飲むときは水、もしくはお茶も飲みましょう。

理想は、お酒と同量の水(お茶)を飲むこと。外食時にお酒を飲む際は、水やお茶もいっしょに頼んで飲むようにすると、翌日が楽だと思います。

宴席などで水が頼みづらかったり、忘れてしまったりしたときは、帰宅後や寝る前に飲んでも構いません


脂質、たんぱく質などを含むおつまみを食べる

最後に、おつまみを食べることも重要です。胃や腸に長くとどまり、アルコールの吸収を遅らせてくれる脂質やたんぱく質を含む物や、乳製品などをおつまみにすると、悪酔い・二日酔いの防止になります。

カロリーを考えてサラダなどを合わせたくなりますが、お酒との相性を考えると少しカロリーのある物がいいですね。

――飲む量を自分の体に合わせて調整したり、飲み方を工夫したりすることで、更年期以降もお酒を楽しむことができますね。

歳をとって、体の機能が少しずつ衰えていくのは普通のことですが、「若い頃は飲めたんだから、飲めないはずがない」と、今の自分を過信して飲んだりしなければ、高齢になっても十分お酒を楽しむことができます。

年齢に応じて、そのときの自分にとって無理のない量を知り、体に負担がかからない飲み方を意識することが、お酒と長く上手に付き合っていくコツですね。


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東京ミッドタウンクリニック


SUPERVISERこの記事を監修した人

古川先生

PROFILE

古川 真依子 (ふるかわ まいこ) 医師

医学博士/日本内科学会 総合内科専門医、日本消化器病学会 消化器病専門医、日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医・指導医、日本消化管学会 胃腸科専門医、日本ヘリコバクター学会 ピロリ菌感染症認定医 、日本カプセル内視鏡学会 カプセル内視鏡認定医、日本人間ドック学会 人間ドック認定医
専門分野:消化器内科・内科

2003年東京女子医科大学卒業
東京女子医科大学附属青山病院消化器内科で医療錬士として関連病院等にて診療にあたり、2008年帰局後は助手として指導にも尽力。2013年より東京ミッドタウンクリニック勤務。胃がん・大腸がん・腫瘍など消化器系の疾患だけでなく、便秘や産後の痔など女性ならではの悩みにも詳しい。

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※掲載している情報は、記事公開時点のものです。

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